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転生者が歩む新たな人生

作者:冬夏春秋
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第3部 魔法先生ネギま!
  第11話 メルディアナに着いて

 
前書き
やっと「ネギま!」に。
まだ、原作前ですが。

なお、魔法使いに対しアンチが入りますのでアンチが嫌な方はブラウザバックして下さい。 

 
 まぁ、特になんてこともなく英国に着いた。
 時は2002年2月、もう3ヶ月も経てば9歳だ。

 高畑さん(タカミチでいいとか言われたが、親しくもない年上の人を呼び捨てにできるワケもない)に連れられてメルディアナ魔法学校へ。
 お供は飼い猫の振りをするため、移動用のカゴに入ったリニスだけだ。

 オレの住んでいた村は名目上廃村、実際は魔法使い達により封鎖されており、中に入ることはできないらしい。

 メルディアナ魔法学校に連れて来られたのは、バカ親父の父つまり祖父さんが校長を務めているからだ。
 向こうはどう思っているか知らないが、サギ・スプリングフィールドに戻る気のないオレとしては、一通り書類にサインをもらい、とっとと日本に帰りたい。

 日本の便利さに慣れてしまうと他で住みたいとはとても思えない。

 それに後1年もすれば、「魔法少女リリカルなのは」の事件も起きる(ハズ)。忍義姉さんが管理人をしているんだ、ジュエル・シードに街を破壊されるなどゴメン被る。さっさと帰って対応を練らないと………。

 えっ? 「ネギま!」の原作も始まるって? 

 別に放置でイイじゃん。

 ネギ兄さんが苦労して英雄(笑)になればいいよ。

 放置、放置。

 酷い言い方かもしれんが、日本の魔術師としての立場からすれば、見も知らぬというか、迷惑をかけられ謝罪もされていない魔法世界が滅びようとどうでもイイし。
 むしろ、修学旅行編のイベントが現実でも起これば、便乗してクーデターを起こすのも良いかも。わかっているのかどうか知らないが、それくらい詠春殿の立場はマズイ。
 まぁ、今回の(中部魔術協会の一員である)オレの(関西呪術協会というか詠春殿主導の)行きたくもない英国行きも、詠春殿の(中部魔術協会内での)だだ下がりの評価の一因だが。

 自分で言うのも何だが、オレは符術師としても神鳴流剣士としても若手の有望株である。というか、符を売ったり、結界張ったり、怪異の討伐に参加したりで組織的にもけっこう貢献している。
 それを他組織に引き渡す、しかも本人は残留希望なのに、所属協会の意向を無視して、関西呪術協会からの直接の命令で、だ。それはつまり中部魔術協会の魔術(この場合主に符術)が他組織に流れると同義なのにだ。
 忍義姉さんを通じて中部魔術協会に戻って来るという意志を伝えて置いたから良いものを、ぶっちゃけ英国行きの途上で口封じされてもおかしくない状況だったりしなくもない。

 もちろん、こんな迷惑かけられたオレからの詠春殿への評価はストップ安だ。





 授業中ということもあってか、人気のない廊下を高畑さんと一緒に歩く。

 リニスにはカゴから出てもらい頭に乗っかってもらってる。
 「(イン)」でリニスの魔力とオーラを隠してもらっているので、危険度の少ない使い魔と誤解してもらえれば、御の字だ。
 最悪不意打ちされても、手札で最も堅いリニスの「プロテクション」があれば、一手は防げるだろう。そこから逃げるなり応戦すればいい。

 そう言えば、高畑さんて、中学校の先生だよな。只の友達? 先輩? 仲間? の息子を連れてくだけで学校休んでるけど良いのか?

「高畑さん、連れてきてもらってなんですが、職場の方は大丈夫なんですか?」

「気にしなくてもいいよ、サギ君。学校には出張扱いになっているから」

 をい! 公然と学校さぼんなや!!

 もしかしてあれか? 原作で何度かネギ兄さんに会っていたことになってたけど、出張扱いで遊びに来てたのか?

 はぁ………。あきれてものも言えん。



 そんな風にくだらない話しをしていたら、いつの間にか校長室に着いたらしい。


  ☆  ★  ☆  


 ノックをして、返事をもらい部屋に入る。
 とてつもなく長い白いひげの爺さんがいる。
 なんとなくわかる。
 この人がオレの祖父なんだろう、まったく記憶にないが。

「よう、帰って来たなぁ。サギ。ほら、もっと顔を見せい」

 予想通りオレの祖父さんらしい。

 何の感慨も湧かない。
 当たり前か、あの事件の前、何度村を離れようと連絡を取ってもなしのつぶてだったし、実際に顔を合わせたことがあったかももおぼろげだ。

 オレにとっては結局英国に招いた疫病神でしかないので、適当に挨拶を交わし、来客用のソファーに座る。
 リニスは膝の上だ。


 もっと感動的な再会を期待していたのか少しションボリした感じだ。
 どうでもいいが。

 とりあえず、聞きたいであろうあの事件の日から今までのことを話していく。

 バカ親父の日頃の行いから、日本への転移、しかもまったく無関係なところへ跳ばされたことについては直ぐ納得してくれた。

「そうか、そうか。とにかく、無事でよかった」

 こちらの話しが終われば、次は祖父さんの話しだ。

 しかし、こちらから今の今まで連絡しなかったことに疑問は無いのかね?

 まぁ、祖父さんから聞いた話しの中では、特にオレの原作知識と齟齬は無いようだ。

 原作通りネギ兄さんは2年飛び級し、今年の7月に主席卒業する予定みたいだ。

 まぁ、がんばってください。



 で、そろそろ良いかと思い、肝心の話しをしようと思う。

「で、お祖父さん。大事な話があるんですが」

「ふむ。なんじゃ」

「ごく個人的なことなんで」

「どうしたんだい、サギ君」

 いや、なんで高畑さんが聞いてくるの?

「だから個人的なことなんで身内だけで話したいんですが」

「うん?」

 だから、なんで当たり前のように聞こうとするの? 高畑さん。

「あぁもう。身内だけで話したいことがあるので、すみませんが、高畑さんは席を外してくれませんか?」

「え?」

 え? じゃねぇよ。ナチュラルに身内扱いされると思ってんな。アホかと。なんでこうバカ親父の仲間はこんなんばっかなんだ?

 ジト目で黙ってるとようやく理解したのか、「ははは、ごめん、ごめん。じゃぁちょっと外でたばこでも吸って来るよ」とか言って、席を立ち、校長室から出て行く。

「サギ! なんじゃ今の態度は!!」

 えっ? オレが怒られる展開?

「なんじゃと言われてもこれから話すのは個人的な話しなんで、よその人は外してもらいたかっただけですが」

「何がよその人じゃ。タカミチ君はお前の父親の仲間で………」

「あぁもう。その辺にしてください。親父の仲間がどうの言われてもオレにとっては3日前に初めて会った他人でしかありません」

「いや、じゃがな」

「もういいです。とにかくこの書類にサインをお願いします。そうすれば直ぐに帰りますので」

 そう言って、持ってきた書類を渡す。
 もちろん書類は、「スプリングフィールド家から籍を抜く書類」「ナギ・スプリングフィールド及びその妻からの遺産放棄」「遠坂家の養子縁組による入籍への追認」「メルディアナ魔法協会からの脱退」などなど。英語と日本語で書かれた、英国と日本で法的に成立する「スプリングフィールド及び魔法使いからの絶縁」の書類だ。

「な、なんじゃ、これはっ!」

 当たり前だが想像だにしなかった書類なんだろう、祖父さんは激高する。

 だからまぁ、一から説明する。

 村にいた頃からのナギ教(笑)の人からの嫌な視線、扱い。
 日本に転移させられ、月村の家で幸福に育てられたこと。
 そのおかげでわかった(ことにした)両親の育児放棄と村人の歪んだ態度。
 月村の家に育ててもらった恩返ししたいこと。
 遠坂 (あきら)として、符術師として生きて行くこと。
 そのためにスプリングフィールドの姓は邪魔でしかないこと。

 理路整然とあるいは情に訴えるように細々話した。

 が、頑として聞き入れようとしない。

 ほとんど会ったこともなかったのに、孫として祖父として一緒に生きたいとか、どうよ?

 しょうがない、切りたくないけど、切り札を切るか。
 言いたくなかったんだけどなぁ。変に祖父さんが粘るから………。

「ねぇ、祖父さん。そんなに言うなら父さんのことだけじゃなくて母さんのことも話してよ。それと村はどうなったの? スタン爺さんやおじさんやおばさんはどうなったの?」

「それは………」

「それに、今でもネギ兄さんは母さんのことは何も聞かないの? 父さんのことだけを追いかけてるの? あと、やっぱり父さんが戦争でしたことを理解していないの?」

「なっ………」

 まぁ、絶句するわな。歪められて教えられた家族の歪な家族関係を認めたら、即ちそんなとこに戻る必要性がないことを認めることなのだから。

「サギよ、ワシらを恨んでおるか?」

 どれくらい沈黙していただろうか。祖父さんがやっと口にしたのはそんな疑問だった。

 恨む? 誰を? 両親を? ネギ兄さんを? 祖父さんを? 村の人を?

「いや、別に。幸か不幸か自分の周りがおかしいと感じたのは月村の家で幸せに成れたからだし。どうにも思わないよ。ただ………」

「ただ?」

英雄(ナギ)の息子というのは、オレの人生には邪魔かな」

「………そうか」

 そう言うと、あきらめたように目を閉じて、大きなため息をつき、渡した書類にサインをして返してくれた。

「すぐに日本に発つのか?」

「えぇ。もうここには用はないですし。とっとと帰ります」

「そうか、帰る(・・)か。ネギ達には会って行かんのか?」

「会ってどうしろと。どうせ話してもこじれるだけですよ」

 バカ親父を絶対視しているネギ兄さんにはどう言ったって理解できないだろうし。

「それじゃぁ、お元気で」

 そう言って席を立ち、扉へ向かう。

「あぁ、サギも「(アキラ)です」、そうか、そうじゃな。元気でな、遠坂 暁君」

「ありがとうございます」

 そう言って別れられれば良かったのだが、ドアノブに触れようとした瞬間、ノブが回り、扉が開いた。

「サギが、サギが帰って来たの?」

 そう涙ながらに入って来たのは高畑(もう心の中では呼び捨てでいいや、こんな奴)に教えられ、連れて来られたネカネ従姉さんだった。 
 

 
後書き
祖父さんと交渉 > 成功裏に終わる > ネカネさん乱入 という流れが書きたかった。
なお、リニスは交渉中膝の上で丸くなって警戒しているので、交渉に参加していません。
基本、ウチのリニスは強化系(単純、一途)なので、頭脳明晰であるにも関わらず交渉事に向いてませんし、その自覚もあります。
 
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