転生とらぶる
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魔法先生ネギま!
番外編015話 0251.5話
夜も更けた学園長室。そこには現在3人の人物が存在していた。この麻帆良学園の学園長であり、関東魔法協会会長でもある近衛近右衛門。麻帆良学園でもトップクラスの実力を持つ高畑・T・タカミチ。そして600年を生きる真祖の吸血鬼、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ。
そんな人物達の話題はと言えば、当然つい数分前までこの学園長室に存在していたイレギュラーについてだ。
「学園長、本当にアクセル君を受け入れてもよろしかったんですか? それも、2-Aに転校させるなんて」
高畑のその言葉に、近右衛門は右目だけを開けて視線を向ける。
「じゃが、彼の実力はエヴァに勝るとも劣らぬ程じゃ。その彼を敵に回すというのは得策ではあるまい?」
「なら、穏当にこの麻帆良から出て行って貰えばよかったんじゃないですか?」
「もちろんそれも考えた。じゃが、あれ程に腕の立つ者を放逐してそれが麻帆良に敵対的な勢力に雇われるという可能性を考えると……な」
近右衛門のその言葉に、今まで無言で話を聞いていたエヴァがニヤリとした笑みを口元に浮かべる。
「確かにな。奴の話を完全に信じるのなら奴はいわゆる異世界人だ。私達が全く知らない技術を隠し持っているのはまず間違い無いだろう」
エヴァの脳裏に浮かんだのはアクセルとの戦闘だ。銀色のスライムを無詠唱で召喚して自在に操り、己の全く知らない身体強化魔法を駆使する。そして極めつけは、どのような手段かは分からないが自分の動きを止めたのだ。……この麻帆良に封印されて力が落ちてるとは言え、600年の年月を生きる吸血鬼の真祖である自分を。
「うむ。エヴァの言う通りじゃな。それだけに、彼が儂らの味方になってくれれば非常に心強いじゃろうて」
「……その為の楔があの2人、か?」
「人聞きが悪いのう。あの2人を庇護するというのはアクセル君自身が望んだことじゃ。……まぁ、そういう意図が無いと言えば嘘になるがの」
雪広あやか。那波千鶴。この2人をアクセルが庇護するという事は、逆に言えばこの2人からアクセルが離れられなくなるという事だ。つまり、あの2人がいるこの麻帆良からも。
「じじぃ、一応言っておくがあの2人を利用してアクセルを上手く使おうとは考えない方がいいぞ。今はその2人の存在故に大人しくしているが、奴の本性はとてもではないがお前達の言う『正義』では無い」
そう呟くエヴァの脳裏に浮かぶのは、アクセルとの戦闘で起きた最後の出来事だった。タカミチが乱入したから現在は無事であるものの、もしタカミチが助けに入らなければ自分はあの男の持つ銃弾でズタボロにされていた可能性が高いだろう。そう、悔しい事に外見年齢的にはそうアクセルと変わらない子供の自分を、だ。子供相手でも敵対する相手には躊躇無く殺しに掛かる。それは少なくてもこの学園の連中が標榜する『正義の魔法使い』のやる事ではない。
「……うむ。了解しておる。タカミチ君もいいな?」
「はぁ……では、監視についてはどうします?」
「それもやめておいた方がいいな。奴には私達の常識は通用せん。どういう手段かは分からないが、監視を見破るという可能性も考えられる。折角友好的な関係を築けたのに、それを台無しにしたくはないだろう? ……それに」
くくっ、と含み笑いを漏らすエヴァ。
「あの雪広あやかの手元にいるんだ。奴がいなくなるなりなんなりすれば、勝手に騒いでお前達に知らせてくれるだろうさ」
「……まぁ、確かに」
自分の教え子である少女の趣味を思い出し、思わず苦笑するタカミチ。
「決まりじゃな。監視については無用。アクセル君の動向についてはあの2人を通して間接的に把握するという事で良いかな?」
近右衛門の言葉に、エヴァ、タカミチの2人が頷く。
この麻帆良における実力TOP3の意見が一致した以上、他の魔法先生や魔法生徒もその言葉に従うしかないだろう。
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