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ワンピース*海賊と海軍、七武海と白髭。

作者:斎藤海月
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第一部
  名前呼び

多分、船室の外にでも聞こえそうな程…


リノ「だからそれ嫌だってば!!」


ナミ「女なんだからこれぐらいは上等でしょ!?」


リノ「はあ!?女にそんな掟があんの!?」


ナミ「あるのよ!!」


一つの露出度が高すぎる服を巡っての言い合いが起きていた。


第一、お腹周りが露出してるとか有り得ないでしょ!?


鎖骨から上しか露出してないあたしが、上半身胸だけしか隠してない服を着るとか…


リノ「絶対嫌」


ナミ「何でよ!?」


リノ「これ着て喜ぶバカはいるかっての」


ナミ「あらぁ~?リノ、貴女もしかして自分がコレ着ると似合わないからとか思ってるんじゃないのぉ~?」


リノ「うんそうだけど」


ふつーうに言うと、ナミが服を持ったままズッコケる。


第一、そういう名台詞には対処方法とかちゃんと学んでたおかげでナミは眉間に皺を寄せた


きっとあたしがここで折れるとか思ってたんだろうね。


ナミ「男を見返したくないの!?」


リノ「気になる奴はいないんで」


ビビ「…(汗)」


ナミ「エースさんはどうなのよ!?」


リノ「あいつはただの蛆虫((キリ」


ナミ「何その顔」


リノ「これがあたしの顔。」


ビビ「真顔で言うのもどうかと…(汗)」


いやいやだってさ(笑)


本当に、こんなの着て喜ぶ蛆虫いんの?


第一、一生涯、絶対にこんなのは着たくないわ。


ナミ「ハッ!!)リノがコレ着て喜ぶ男もいるかもよ~??」


頬と頬が寄り添いそうな程にナミが近づくと、


頬の前に両手を入れてナミを押し返す。


リノ「気になる蛆虫も恋に落ちる予定の蛆虫もいないから。」


ナミ「しぶといわね…」


リノ「どんな手段でもあたしは絶対着ないから」


あたしがそう言って振り向いた時だった。


ナミ「今よビビ!!」


ビビ「えっ!?」


リノ「∑は!?」


後ろを振り返ろうとした途端に重い何かが来ると、


一瞬で服を脱がされて一瞬で服を着けられる。


あたしの黒い服を持ったナミがニヤリと口角を上げたかと思うと、


電撃の盾が二人を麻痺する前にナミの胸の前にはあたしの服が思い切り抱きしめられていた


ナミ「あたし、実は〝泥棒猫〟って呼ばれてたのよねー♪

女の服をサッと脱がしてサッと着ける事は容易いことなのよ♪」


リノ「ちょっ…!?それ、返してよ!!」


ナミ「嫌よ♪もったいなーい!

そんなスタイルしてて真っ黒コート?ありえなーい!!」


ビビ「本当ですよリノさん!!」


リノ「お世辞は分かったからそれ返せ」


ナミ「い・や・よ♪」


あたしが二人の前に立つと、妙に上半身で風が当たると背筋がゾクゾクッとするだけで


あたしはどれほど黒いコートを愛用していたのかが分かった


リノ「アンタって人は…」


ナミ「リノが悪いのよ~」


不敵な笑みを浮かべたナミが一歩ずつ、ドアの方に向かっていく


…ちょ、まさか…


ナミ「返して欲しかったら奪ってみなさい!!」


あたしの勘が直感すると、ナミがドアを大きく開けて飛び出して行く


リノ「ちょっ!!返してよっ!!」


大きく開けたドアが閉まりそうになった所を電撃の盾がドアを思い切り壊すと、


逃げ腰というか逃げ足が速いナミはどんどんあたしの先を行って、


あたしは慣れない足場で走る。


第一、この靴も走りにくいんだよ…!!


リノ「返せっー!!!」


ナミ「奪い返しなさいって♪♪」


あたしが黒いコートを掴みそうになった途端、目の前が明るくなったかと思うと階段の手すりから甲板に落ちそうになった程だった。


リノ「そうだった、あたし二階にいたんだっけか」


辺りを見回してナミの姿を探して階段を下りるとあたしはまだ気付かなかった。


リノ「ナミィィィィッ!!!」


そう言って、


あたし自身が何処に向かってるのかも分からずに舵の近くにいたナミに近付いて行った時、


妙にあたしに降り注がれる視線に気付いて横を向くと


リノ「∑∑∑!?」


蛆虫全員の目が、あたしに向けられていた。


サンジ「ブハッッッ!!!」


ゾロ「な…っ!?」


チョッパー「うほぉぉぉぉ」


レオン『ほぅ…リノ自身からそんな姿に…』


……そうだった、あたし…今のナミとビビ…二人と同じ服を着てるんだった…!!


蛆虫(サンジ)が海に鼻血を吐き出していると、殆んどの蛆虫があたしを見て異常反応をする


リノ「う…あ…ちょ…ナミィィィィ!!!」


バッと服を取り返してコートだけを上から羽織るように着ると、ナミに詰め寄った


リノ「この…ッ!!」


ナミ「まあまあ良いじゃない(笑)

結構喜んで貰ってるみたいだし?」


リノ「はぁ!!?」


全く悪い事をしていない、という顔でナミが蛆虫の方に人差し指を向けて


イライラしながらも蛆虫どもを見るとかなり驚いている蛆虫第一号(エース)と目があった


エース「!?」


しかも反らされたし?!


リノ「もうアホバカ変態最低!!」


ナミ「はいはいお褒めの言葉として預かっとくわ(笑)」


リノ「褒めてないっっっ!!!」


レオン『リノ、綺麗だったぞ?』


さっきまではチョッパーの隣にいたはずのレオンがあたしの足元に来ると


満足そうな笑みであたしを見上げる


リノ「お世辞とかいいし。」


レオン『アイツらの反応を見てお世辞と言えるのか?』


リノ「お前…さっきの続き、しようか?★」


レオン『俺は正直に話しているだけだぞ』


ナミ「てことでまあ?コレはコレで♪」


『バッ』という音が聞こえた後で、行き成り上半身が妙に涼しくなったかと思うと



リノ「何すんのォォォォッッッ!!!????」


ナミ「アラバスタに着くまではその格好でいて貰うわよ」


リノ「は!?」


目の前にいるナミが悪魔並の笑顔を浮かべたかと思うとあたしの黒いコートを持ったまま


いつの間にか来ていたビビの横に並ぶ


だから人は…嫌いなんだよ…!!


リノ「この悪魔めェェエェ!!!!」























*その夜*


皆が寝静まった頃、未だに眠れないあたしは船の手すりに持たれて夜の海を眺めていた


リノ「うぅ…(涙)」


ナミが何処かに隠した黒いコートさえあれば、あたしは普通に寝られるのに


黒いコートが恋しいよぉ…(涙)


リノ「コ~ト~…お願いだから戻って来てよ…」


傍から見たら可笑しな人だと思われても良い程に、


ほとんど狼狽えながら言った時…


「…何、してんだ?」


そんな声が背後から聞こえたかと思うとテロンガハットの帽子を片手で抑えた、


不思議そうな声音で蛆虫(エース)が近付いて来た


リノ「ああ…アンタか」


エース「あのさぁ…俺ァ…エースってんだけど」


リノ「男は全員蛆虫」


エース「……そうかよ」


あ、納得してくれたんだ、良かった良かった


――――グイっ


え?


気付けば、あたしの露出しまくった左腕が捕まれていた


そしてかなりの近距離であたし達は見つめ合っていた(?)


エース「名前で呼べよ」


……命令形で言うなよ←


しかも電撃の盾、何処行った←←


リノ「…蛆虫」


エース「エースだ」


一音一音をかなり強調しながら、顔を近づけて来る


そしてあたしも少しずつ頭が後ろに下がって行く


エース「言えよ」


……この状況さ、絶対に誰かが見たら勘違いするよね。


特にナミとかナミとかナミとか←


リノ「…別にさ、蛆虫でもいいと思うんだよね。

何であたしに名前で呼べって言うの?皆から呼んでもらってるのに」


エース「……皆がとか関係ねェーよ…。

お前に、呼んで貰えなきゃ…生きてる意味、ねェーだろ」


リノ「!?」


凄く哀しい瞳で、あたしを見つめる


…この瞳、何となく昔のあたしと…同じ目をしてる


あたしも小さい頃から〝海姫〟って言われてたし、あたしもずっと七武海として海軍として素顔を隠し続けてたけど


正直言ってあたしも表は強情って言うか、自分の素顔を知られたくなくて意地張ってたみたいな感じだけど


…分かるような気がする。


力が無ければ誰よりも必要とされなくて、自分が本当に生きてるのかが疑っちゃう程に…。


あたしは本当にこの世界に来ても良かったの?って思う事、あったから分かる


リノ「……___」


エース「?」


リノ「……エース……」


エース「!!」


恥ずかしくて俯いたまま言うと捕まれていた腕が離されたかと思うと、


―――ギュっ


リノ「ちょっ…」


前から大きく抱きしめられて、ちょっぴり嬉しいような気もした


エース「…呼んでくれて、ありがとな」


……分かったから、お願いだから耳元で囁くだけは止めてよ… 
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