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駄目親父としっかり娘の珍道中

作者:sibugaki
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第3話 自分で撒いた種は自分で刈り取ろう。でも内容によっては無理しないように

 懸賞金目当てで化け物を倒した万事屋一向ではあったが、何故かそのご一行は懸賞金を受け取りに行かずに、何故か万事屋に戻って来ていたのであった。
 何故戻って来たか知りたい方が居ましたら、是非前のお話を見て頂くか最寄の知らない叔父さん辺りに聞いてみて下さい。
 因みに、後者を行った場合、この作品一同は一切責任を負いませんのであしからず。

「どうだったアルかぁ?」
「良く分かんないけど、今はぐっすり眠ってるよ」
「そうかい、まぁ特に何もないってんならそれでも良いか」
 
 一同がホッと安堵しながら万事屋の客間に落ち着く。そして、その中には見慣れない少年の姿があった。以前銀時達の獲物を横取りしようとした曲者である。

「さぁてと、そんじゃ話を聞かせて貰おうかぁ。あの青い石っころは一体何だ? そんで、家の屋台骨は一体どうなっちまったんだ?」
「銀さん。本当の事とは言えそんな風に言ってて悲しくないんですか?」

 銀時が言う屋台骨と言うのは勿論なのはの事である。彼女が金銭管理から仕事の請負まで何でもやってくれる為に此処では影で屋台骨と呼ばれているのだ。
 本当に彼女が居なかったら今頃万事屋はどうなってたか気が気でない。
 そんな一同に睨まれながらも少年は多少居心地の悪さを感じながらそっと口を開いた。

「これを言って皆さんが信じてくれるとは思い難いんですけど、お話します。実は僕、この世界の人間じゃないんです!」

 何と、いきなり少年の口から超絶的な大発言が飛び出した。この少年は要するに異世界からやってきたと言う事になるそうだ。
 正しく驚愕の超展開。怒涛の新展開と呼ぶに相応しい発言であった。
 それを聞いた銀時達も滅茶苦茶驚く……訳なかったようで。

「ふぅん、それで?」
「え?」
「だぁかぁらぁ、それがどうしたんだって聞いてるんだよ。別にお前がどっかの星から来た星の王子様だろうとM○8星雲から来た宇宙人だろうと関係ないんだよ! 俺が知りたいのはどうすりゃ家の屋台骨を治せるかって事だけだ。お前の素性なんざ知っても意味ねぇんだよ其処んとこ察しろや」

 長々と銀時のコメントが木霊する。まぁ、確かに今更少年の経緯など聞いてもしょうがないのは勿論なのだが。実際にそう言われるとちょっぴり凹んでしまう少年だったりした。

「言い過ぎですよ銀さん。それで、君とあの青い石は何か関係でもあるの?」

 其処は流石は新八である。このまま銀時に任せていては恐らく今回のお話ずっとこの少年に対する愚痴で終わる危険性があったので自分が代わりに少年に質問をしたのだ。
 それに対し、少年は静かに頷く。

「実は、あの青い石は僕が見つけたロストロギアなんです」
「ロスト……何?」
「銀ちゃん、あれアルよ。赤い髪の芸人と金髪の芸人のコンビ名あるよ」
「それ全然違うから! 後神楽ちゃんと銀さんは黙ってて! 話がややこしくなるだけだから」

 非常事態であってもボケを忘れないお茶目な二人を横目に新八は少年から話を聞く事にした。今はとてもボケてる時間ではないのだ。

「それで、そのロストロギアって何なの?」
「ロストロギアとは発達した文明が滅びた際に残した遺産みたいな物です。でもその殆どが制御不能の代物だったりするんでとても危険な代物なんです」
「はた迷惑な話だな、そりゃ」

 正しくその通りである。だが、それだけでは良く分からない。あれがロストロギアだと言うのは分かった。だが、結局あれと少年の接点は何なのだろうか?

「それで、あの青い石は【ジュエルシード】と言うロストロギアなんです」
「な、何か高価そうな名前だね。でも、それと君に一体どんな関係があるの?」
「それが、あれを掘り起こしたのが僕だからです」
「な、なんだってぇぇぇぇぇ!」

 少年のその一言にその場に居た三人は同時にはもりだす。

「どどど、どう言う意味なの?」
「実は、僕は古代遺跡の発掘を生業とした部族出身なんです。それで、僕がとある古代遺跡の発掘調査をした際に見つけたのが……あれなんです」
「つまり、君が遺跡の発掘調査をした為に見つけたのがあの青い石って訳なの?」
「はい、そうなります」

 新八の問いに頷く少年。だが、その直後、突然神楽が少年の胸倉を掴み挙げだした。

「てめぇゴラァ! どう責任とってくれるんじゃボケェ! お前のせいで家の屋台骨が永遠に目覚めない眠り姫状態になっちまったじゃねぇかゴラァ! どう責任とるつもりアルかゴラァ! 責任とっててめぇ今この場で丸坊主にしたろうかぁぁぁ!」
「ちょっ、神楽ちゃん落ち着いて! 此処でこの子を責めたって何にもならないじゃない!」

 荒れ狂う神楽を必死に抑える新八。が、神楽はそう簡単に抑えられる代物ではなく、かなり荒れ狂う始末であった。

「つまり、あれはお前が見つけちまったとんでもない代物だってのは良く分かった。じゃ本題に入るがよぉ。なのはの中に入っちまったあれを取り出すにはどうすりゃ良いんだ?」
「それは……分かりません」

 申し訳なさそうに俯く少年。すると今度は銀時までもが少年の胸倉を掴み挙げる。

「てんめぇぇぇ! いい加減な事言ってんじゃねぇぞゴラァァァ! てめぇが見つけたんならアフターケアも万全を期しろってんだろうが馬鹿野郎がぁぁぁ! どうすんだよ家の屋台骨をよぉぉぉ! このままじゃ俺ババァにどれ程請求が来るか分かんねぇんだぞぉ!」

 後半全く関係ない事を言ってる気がしたがまぁそれは置いておいてである。とにかく、このままでは拉致があかないのは事実だ。
 少年にはなのはの中に入ってしまったそのジュエルシードを取り出す方法はないらしく、ましてや江戸の町でそんな事が出来る人間など居る筈がないのだ。

「ねぇ、それじゃ他にそれが出来る人とか知り合いとか居ないの? それに、このままだとなのはちゃんどうなっちゃうの?」
「実際ジュエルシードは融合したらすぐに暴走する筈なんです。でも、今回のあれは極めて稀なケースなんです。だから、僕自身もどうなるか分からないんですけど……多分、最悪の場合――」
「俺達がさっき戦った化け物みたいになっちまう……って言うのか?」
「いえ、あれはジュエルシード単体の姿です。もし人間がそれを起動させたら……それこそとんでもない事に―――」

 一瞬にして場の空気が凍りついた。今なのはの中にはとんでもない爆弾が埋め込まれたも同然の状態なのだ。
 何時起動するか分からない超絶危険な爆弾。それが起動しよう物ならなのははあの毛むくじゃら以上の化け物に変貌してしまう事になる。
 それだけは何としても避けなければならない。しかし、どうすれば回避出来るのか?
 前にも言ったが此処に居る少年にはそれを取り出す技術も知識もないし、江戸には勿論そんな方法などない。つまり、此処に居てはまずなのはが暴走するのを只待つだけでしかないのだ。

「只、もしかしたらですけど……方法があるかも知れないんです」
「どんな方法アルか?」
「僕の居た世界には【時空管理局】って言うあらゆる時空を管理する組織があるんです。もしかしたら其処でなら彼女の治療法も見つかるかも知れません」
「だったらさっさと呼べば良いじゃねぇか。携帯なりなんなり使ってよぉ」

 どうやら光明が見えてきた。その時空なんちゃらとか言う組織でならなのはを助ける事が出来るようだ。
 だが、其処でまたしても大きな問題が浮上しだしたのである。

「それが、残念な事にこの世界は管理局の管理外の世界なんです。なので、連絡も繋がらないんです。それに、僕携帯持ってないもんで」
「とことん使えないなぁ。お前」
「すみません」

 蔑むように言い放つ銀時に対し少年は深く頭を下げてしまった。言葉がないとは正にこの事である。

「どうするんですか銀さん? 連絡方法がないんじゃお手上げですよ」
「何言ってんだよぱっつぁん。連絡がつかないならこっちから出向きゃぁ良い話だろうが」
「流石銀ちゃんネ。私達の考え付かない事をサラリと言ってのけるアル。其処に痺れるアル! 憧れるアルよぉ!」
「まぁ、大概の事は銀さんにしか出来ない事ですけどね……でも、どうやってその時空管理局のところに行くんですか? この子の話だとその組織があるのって異世界なんでしょ? 幾ら江戸のターミナルを使ったって異世界に行くのは無理があるんじゃないんですか?」

 確かに無理がある。江戸を代表するターミナルは地球と天人を繋ぐゲートの様な物だ。だが、それでも異世界へ繋がる事は出来ないのだ。
 ターミナルと言えども万能ではないのである。
 だが、それに対し銀時は不敵な笑みを浮かべていた。

「甘いぜぇぱっつぁん。お前は天使甘栗よりも甘い。ターミナルなんざはなから使う気はねぇよ」
「じゃ、どうするつもりだったんですか?」
「源外の爺に頼むんだよ。あの爺なら異世界へ飛べる装置を作る位朝飯前だろうが。良く他のところでも作ってるだろう? あれで飛ぶんだよ」
「メタ発言止めぃ!」

 確かにメタ発言ではあるが、銀時の言い分は強ち間違ってはいない。天才からくり技師である平賀源外であればその類をもしかしたら何かの間違いで作っちゃったりしちゃったりするかも知れない。そんな淡い期待があったのだ。

「うし、そうと決まったら善は急げだ! お前等支度しろ。今すぐ源外の爺んとこ行ってその時空なんちゃらって所に乗り込みに行くぞ!」
「オッケェイ!」

 確証はないが今の所それしか方法はなさそうだ。そんな訳で三人満場一致する。一方で、一人だけ置いてけぼりを食らう少年は寂しそうに座っているのであった。

「そう言えば、ずっと聞き忘れてたんだけど、君名前は?」
「どうせ適当な名前で良いじゃねぇか。この際【ああああ】で良いだろうよ」
「違いますよ! 僕の名前は【ユーノ・スクライア】って言います。スクライアは部族の名前ですからユーノが僕の名前です」
「また偉く堅苦しい名前だなぁおい」

 まぁ、そんなこんなでユーノを交えた一同は一路、万事屋を飛び出し源外の待つ工房へと向うのであった。




     つづく 
 

 
後書き
次回【疲れた時は無理せず休め】お楽しみに 
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