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久遠の神話

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第四十六話 また一人その四

「それでなんだよ」
「身体にいいんですね」
「ああ、そうだよ」
 中田は笑ってこう話した。そうした話をしてからだった。
 彼はまたオープンのところを見てこう上城に言った。
「できたぜ」
「じゃあ今から」
「ああ、食うか」
 その羊のオープンで焼いたものをだというのだ。
「たっぷりと焼いたからな」
「量もあるんですね」
「身体動かすんならな」 
 剣道だけではない。剣士としての言葉でもある。
「やっぱり肉と野菜をな」
「かなり食べないといけないんですね」
「果物でもいいけれどな」
 野菜のところはそうしてもよかった。
「とにかく食べるからにはな」
「たっぷりとですか」
「それもバランスよくな」
 ただ多く食べるだけではなかった。
「そうして食べないとな」
「いけないですね」
「ああ、だからな」
 それでだとまた言う中田だった。
「野菜だって大量にあるからな」
「はい、それじゃあ」
「食うか」
 こうして二人でマトンを焼いたものやその他に山の様な野菜料理も食べた。上城はその食事の中であることに気付いた。
 それは主食だ、御飯はというと。
「何か色々入ってますね」
「ああ、これな」
 見れば米だけではない。麦等雑穀がかなり入っている。中田もその雑穀を入れたものを食べながら言うのだった。
「身体にいいからな」
「それで麦とかをですか」
「一緒に入れて食ってるんだよ」
「雑穀入りですか」
「十六な」
 御飯に入っている雑穀の数はそれだけだというのだ。
「それだけ入れてるよ」
「十六ですか」
「麦飯とかも食ってるさ」
「それもですか」
「白い御飯だけじゃ今一つ栄養がよくないんだよ」
「ええと。確か」
 白米の話から上城はあることに気付いて話した。
「海軍のあれですよね」
「ああ、海軍は麦飯だったけれどな」
「白い御飯だけでは、ですよね」
「脚気とかになったりバランスが悪いんだよ」
 それでだというのだ。
「俺も今はな」
「白米は止めたんですか」
「ああ、、完全にじゃないけれどな」
 それでも白米だけを食べる回数はかなり減ったというのだ。
「止めたんだよ」
「健康を考えてですか」
「流石に脚気なんて今時ないけれどな」
「まあそれは」
 帝国海軍が麦飯にした理由はこれだ。白米だけを食べているとどうしてもこの病気から逃れられないのだ。
「そうですけれど」
「けれどなんだよ」
「雑穀を入れた方がいいんですね」
「栄養的にな。それに」
「味もですか」
「いいだろ」
 中田は笑顔で言う。
「身体のことを考えるとな」
「そうした料理がいいんですね」
「ああ、それは人間だけじゃなくてな」
 こう言うと同時にだった。三毛猫が中田のところに来て家の外から犬の鳴き声が聞こえてきた、猫と犬を見て聞いてこう言うのだった。
「猫も犬もなんだよ」
「いいものを食べないと駄目なんですね」
「こいつ毛並みいいだろ」
 中田は目を細めさせて右手で猫の背を撫でる。猫はごろごろと喉を鳴らして中田にその身体を擦り付けてくる。その猫を見ながらの言葉だった。 
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