八条学園怪異譚
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第三十二話 図書館その五
「立派なものじゃない」
「よく男の子達が見るけれど」
「胸とお尻、脚はそうよね」
男が見る三大ポイントだ。
「後はウエストとか腋よね」
「つまり全部見られるのはね」
「女の子はね、それが宿命よ」
「見られるのは女の子ばかりっていうのは」
ちょっと、と愛実が困った顔で言おうとすると。
美紀はその彼女にすぐにこう言ったのだった。
「私達も見てるじゃない」
「そうかしら」
「男の子の背とか体型とか足の長さとか」
「そういうのをなの」
「そう、全部見てるでしょ」
「言われてみればそうかしら」
美紀は愛実の話を聞いてこう言った。
「私達も」
「そうよ、結構ね」
「そういえばプールでもこんなお話したし」
「お互い様よ、ましてや私達商業科だから」
女子の方が遥かに多いその商業科だからだというのだ。
「いつも無意識のうちに見てるわよ」
「そうなってるのね」
「商業科では女の子はどうしても残るから」
男子の方が遥かに少ない、つまり男にとってはハーレムにもなれるが女にとっては修羅場になってしまう世界なのだ。
「だからね」
「見てしまうのね」
「これでも元女子校とかよりましよ」
こうした学校も多い、かつて女の園だった場所は。
「そうした場所だと普通に十対一とかあるから」
「十対一なの」
どちらが十でどちらが一かはこの場合言うまでもない。
「それってもう」
「蟻か蜂よ、性別が逆になった」
「きついわね、それも」
「うちの商業科もやっぱり女の子方がずっと多いから」
そして狙い合い、奪い合いになるからだというのだ。
「見てるわよ」
「そういうものなのね、今はっきりわかったわ」
「でしょ?そもそもこういうお話をする時点で子供じゃないわね」
「あっ、そうね」
「そういえばそうよね」
愛実だけでなく聖花も美紀の今の指摘には笑って返した。
「そうなるわよね」
「実際にね」
こう話すのだった、そして。
愛実は聖花と美紀に少し残念な顔でこう言った。
「子供だったらね」
「座敷わらしちゃんに会えたかもね」
「そうなってたかもね」
「そのことは残念よ」
こう言うのだった、このことは三人共残念に思っていた。
そうした話をしてからドリンクコーナーを出てそうして本を借りた、三人共自分達がそれぞれ望む本を借りることが出来た。
目当ての本を借りてからだ、二人は美紀と別れてから神社に向かった。そこに向かいながら二人で話をする。
愛実はこう聖花に話した。
「私も小さいけれど」
「先輩よね」
「そう、青木先輩ね」
茉莉也のことを話すのだった、ここで。
「あの人私より小さいから」
「座敷わらしちゃんに会えるかもっていうのね」
「出来るかしら、それ」
「無理でしょ、あの人は」
「無理かしら」
「だって、絶対にキスどころかね」
聖花は怪訝な顔になって茉莉也に返した。
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