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とある英雄の逆行世界

作者:大城晃
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幼年期編
閑話
  交わる運命

 
前書き
お久しぶりです。今回はつなぎ的な話になります。



やっとタグのクロスオーバーが役に立つところまで来た…。

まぁ亀更新だからしかたないっちゃ仕方ないんですが…。 

 
??? イギリス ロンドン


 ロンドンの町はずれにある一軒家。その一室は一言でいえば異様…だった。まずは床に描かれた魔方陣のようなもの、一番目立つのはそれだが一目見ただけでオカルト関係の道具、何かの薬品やビーカー、フラスコetc.etc――オカルト関係と科学関係のものが無節操に部屋の中にはあふれていた。…何故か機械の類は全然なかったが。

 その一室に3人の男女の姿がある。一人は黒髪をストレートに伸ばし赤を基調とした服をまとった女性。その女性の斜め後ろにはオレンジがかった髪の長身の男性がいた。そしてその後ろ2歩ほど下がったところには金髪碧眼の小柄な蒼の少女。三人が三人とも何かしら異様だった。

 赤の女性の手には歪な形をしたクリスタルのようなものでできた剣(?)が、オレンジ色の髪の男性はまるでゲームの住人であるかのようなボディアーマーに赤い外套を身にまとい、金髪碧眼の少女は銀色に輝く鎧を身に着けていた。


「じゃあ、始めるわね」


 赤の女性がそう声をかけると後ろの二人は軽く頷く。それを合図としたように女性が呪文のようなものを唱え始めた。すると、それに呼応するように床に書かれた魔法陣に光が灯っていく。

 それと共に湧き上がるのは濃密な圧迫感とも言える物だ。


「…すごいな、ここまで濃密な魔力の気配だといくら俺でも感じ取れるぞ」

「流石はこの数年の研究の成果といった感じでしょう」


 そんな男と少女の会話をバックに女性の詠唱は続いていく。

 少しずつ濃くなっていく魔力に、光量を増す魔方陣。

 そして女性の詠唱が最終段階に差し掛かったとき―――女性の手あった歪な剣の様な何かが瓦解する。



 女性は慌てて自分の手にある剣を放り投げる。

 続いて防御の体制をとろうとしたところを、自分と剣の間に入ってきた男性に抱きしめるようにして庇われた。少女は男性の後ろ、剣と間に立って剣を構えたような格好でいる。


 そして女性の投げた剣が爆発し部屋の中を目を開けていられないレベルの光量と濃密な魔力が部屋の中を支配した―――。


 

 ……数瞬後、光が収まった際には部屋の中には誰の姿もなかった。






 ヨーロッパのある高級ホテルの一室、そこに一人の日本人が宿泊していた。名を御坂旅掛といい御坂美琴の父である。

 
 旅掛はたまたまこのホテルに宿泊していたのだが今まで一度もあったことのない事態に少々当惑していた。なぜなら何もない空間からいきなり人が3人も現れたのだから。

 旅掛はショートした頭のまま、目の前の人物たちを観察していた。一人目は日本人だろう特長を持った黒髪に赤いセーターのまごうことなき美女、二人目はアジア系の顔立ちの長身の男性で、プレートアーマーなどを着込んでいることからちょっと時代錯誤な傭兵というイメージがある。三人目は鎧を着た金髪碧眼の美少女。


(うん、とても…ファンタジーだな)


 心の中でそう呟き一瞬の現実逃避は完了。旅掛にはこの人物たちの正体に2件ほど心当たりが合った。ひとつは学園都市の能力者、彼らの中にいる空間転移能力者であれば今回のような事も可能であろう。だが旅掛の勘はもうひとつのほうだと言っていた。すなわち…


「さて、魔術師さん達、俺は御坂旅掛という。…不法侵入の理由を聞こうか」

 
 これが“この世界における”どの組織にも記録の存在しない魔術師たる遠坂凜・衛宮士郎(凜いわくヘッポコ)とその使い魔であるセイバーと旅掛との出会いだった。



 




1年後  日本――御坂邸


 日常が戻ってきた感覚とでも言うのだろうか?その心地いい感覚につられるようにわたしは自然に笑顔になっていた。やはりわたしにとっては美琴ちゃんも当麻くんもすぐ近く、手の届く範囲にいるのが当り前なのだろう。


(だってここまで自然に笑顔が出るなんて、ここ数ヶ月はなかなかなかったもの)


「…zzz」

「…ふふ」


 ソファのほうに目を向けると“いつものように”美琴ちゃんに膝枕されて当麻くんが寝ていた。まぁいつもの光景だ。いつもの光景なのだが


(…熟年の夫婦かっての。ヘタすると私とあの人よりもよっぽど夫婦やってんじゃない)


 そんな感想が出てしまうのはわたしだけではないはずだ。

 それにしても美琴ちゃんがわたしの微妙な変化に気が付いてくれるとは思わなかった。まぁそのこと自体は嬉しかったが“太ったでしょ”はないだろうと思う。後で教育的指導をくれてやらねば。


(美琴ちゃんビックリするだろうなぁ。でも…喜んでくれるわよね?) 


 わたしはお腹に右手を当てながらゆっくりと目をつぶる。ああ今日もいい天気だ、…エアコンの効いた部屋から出たくはないが。


「…あれ、みことおはよう」


「うん、おはよう。でもアンタ今日それ二回目よ?」


 当麻くんも目が覚めたみたいだし、とりあえず今日のメインイベントといこうかなと思い、2人に声をかけることにする。外には車の音の後に詩菜さんの声と男女の声が聞こえてきた。うんナイスタイミングだ。


「美琴ちゃん、当麻くん。じゅーだいな発表があるからこっちいらっしゃいな」 


 うん、とりあえず2人の反応が楽しみだ。
 
 

 
後書き
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