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魔笛

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第二幕その十二


第二幕その十二

「そうすればね」
「それだけでわかるっていうのかい」
「ええ、わかるわ」
「それでわかるのなら苦労はしないよ」
「じゃあ振り向くのね」
「そうさせてもらうよ。じゃあ」
 こうして振り向くと。
「今から・・・・・・って」
「振り向いたわね」
「本当に十八歳だったんだ」
「そうよ。言わなかったかしら」
「聞いたけれど信じられるものか」
 こう返すパパゲーノだった。
「こんなことって」
「それじゃあどうするの?」
「是非一緒に」
 パパゲーノは一転して能天気になった。
「楽しくやろうか」
「よし、それならだ」
 こうしてであった。二人で楽しく手を取ってだ。
 明るく踊りはじめた。しかしここでまた僧侶が出て来たのだ。
「まだだ」
「まだってどうしたんですか?」
「そなたにはまだやってもらうことがある」 
 こうパパゲーノに言うのである。
「わかったな」
「わかったも何も」
「じゃあ私は?」
 二人はそれを聞いてであった。少し呆然となった。だがパパゲーナは僧侶に対して明るい調子で言葉を返すのであった。
「私はこれで」
「えっ、ちょっと」
 パパゲーナのその言葉を聞いてであった。パパゲーノは驚いてそのうえで話すのだった。
「それって」
「わかったな。そなたはここに来い」
「そんな、まだ何かあるんですか」
「何事にも手順がある」
 パパゲーノに対して告げた言葉だった。
「いいな、それではだ」
「そんな、何てこった」
 しかしこのまま連れて行かれる。パパゲーナも部屋から去っており後に残ったのは誰もいなかった。部屋は暗闇の中に包まれていた。
 そして少年達はだ。ピラミッドのある部屋の中にいた。そこで誰かを待っているようだった。
「もうすぐ朝だね」
「うん、朝だ」
「もうすぐだよ」
 まずはこう言い合うのだった。
「太陽が黄金のはじまりに燦然と輝く」
「間も無く迷信は消え失せて」
「間も無く聡明な人間が勝利を得る」
「そうして」
 彼等の言葉は次々に出されていく。
「安らかな憩よ」
「天を降り再び人の胸に帰り来たれ」
「その時この地上は一つの天国になり」
「死すべき者も神々に似たものとなる」
「そして」
 ここで少年の一人が言ってきた。
「パミーナは」
「そうだね。今とても落ち込んでいる」
「絶望の中に沈もうとしている」
「まずいね」
「その彼女が来たよ」
「うん、やっぱりここに来たね」
 そのパミーナが虚ろな足取りで部屋に入って来た。そうして絶望した顔で言うのだった。
「もう何もかもが終わったのね」
「まずいな」
「うん、かなり」
「僕達にも気付いてないし」
 少年達はそのパミーナを見ながら話す。
 
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