連邦の朝
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第二十八話 空に舞う鉄の竜
前書き
ワイアットは、念願のあるものを見つけます。
そこには、男が立っていた。
その男は、ワイアットがこの世界に生まれて見たことが無い色の髪の色をしていた。
黒い髪に、着流し(ワイアットもゴップが着ている所しか見たことがない。)とホリの浅い顔に黒い目さ身長は小さくだが、寒村の人間よりは大柄な肉付きの良い、筋肉が程よく付いた眼光鋭い武人の様な男だった。
「そこには、触れるな!」
男は、腰に付けた銃を手に取り、ワイアットに構えた。
「な、何を!」
ジャンヌは剣を抜こうとしたがワイアットはその剣を納めさせるために、剣の柄を掴んだジャンヌの手を掴み止めた。ワイアットは、顔を見てきたジャンヌに首を振り体をジャンヌの前に置き、顔を男の方に向き直った。
「すまない、無礼だった。許しほしい頼む。」
ワイアットは、スッと頭を下げた。
「そ、そうかそれならば…」
男はワイアットの謝罪に毒気を抜かれた。何故ならば、ワイアットから一瞬殺気と鋭い目、そして、戦争中に見たことがある、高官特有の雰囲気に圧倒されていた。
「図々しいかも知れないがこの中をどうしても見たいのだ。その許しを…」
ワイアットは、王族の立ち振舞いと大将時の威圧を使いつつ頼んだ。
「わ、わかったが…それには、とりあえず家に行こう。」
ワイアットの静かだが、近づいたら一刀のもと首を切り落とされそうな気がする上に、完全にワイアットのペースに乗せられていた男に断ると言う選択肢はなかった。
神社の様な所から少し歩いた場所に結構大きな家があった。
「うん?これは…大きいな、そして中々の家だな。」
ワイアットの先祖は、建築家だった為に家の良し悪しがわかる。そして、ワイアットは王だ。下調べをワイアットは入念にし、報告書の品を買い取るために物価等を調べた。それによりタルブの人件費と材料費計算を瞬時にして、ワイアットは彼がこの村の村長よりも資産を持つことを導きだしたのだ。
「えぇ…まぁ、去年建てたものですので、此方が本館です。」
ワイアットに話を合わせるように彼は言った。本人はまだ気付いていないが、ワイアットの気迫や圧力、高貴な雰囲気に飲まれているのだった。
「本館?別邸等があるのか?」
ジャンヌは彼に聞いた。
「いや、これは家ではなく宿です。中にどうぞ。」
彼はワイアット達に、宿の中へと誘った。
「これは、紙!こんな高級品をどうやって?」
コルベールは、彼に聞いた。それもそのはず、どの国も紙は戦略物資に選ばれる程に貴重とされてきたのだ。国家でも何か書くときは羊皮紙が殆どで、条約等の大切な時以外は紙は使われない。
「自分で作りました。簡単につくれますよ。」
彼は何を驚いているのだと、呆れ顔だった。
そんなやり取りを終えると宿の玄関にワイアット達は入った。
「靴は、お脱ぎください。そして、彼方の方に預けて下さい。預けた時に、木の板が貰えますのでそれを持っていて下さい。」
彼は言い終わるとそそくさと宿の奥の方に消えた。
~男side~
男はかつて、遥かなる遠い地で生まれた。
その地は、男が生まれる前には極東の憲兵と呼ばれた事がある日がのぼる国だった。
だがしかし時間が過ぎるなかで人間、欲は大きく広がるものである。
世界的好景気から、人々の欲は肥大した。各国の欲は留まることを知らず、一般人は口に泡が出るほどに株や土地を買い漁り、企業も、株や土地を転がしたり馬鹿みたいに何でも買い漁り、何でも作りそれが、売れていくような一種の熱狂的な渦に人々が飲まれ、またそれを政府は良しとした。
結果は、一部の資本家達と上手く立ち回った投資家、石油等の必要資源を持つもの、熱に浮かされなかった者以外は、熱狂的な渦が産んだ悪魔に喰われてしまった。
人々はそれを世界大恐慌と呼んだ。
それをソ連が笑って見ていた。各国はソ連の成功とイタリアの政権による熱狂的支持に、未来を見た気がした。各国は己の欲の結果を他国か、植民地に求めた。
世は、全体主義か、民主主義(強硬外交)と共産主義の時代になった。自国を守るためには他国への武力威圧や他国を売り飛ばしもやむなしと言う雰囲気に包まれた。
1939年それは当然に始まった。各国の有識者は、開戦やむなしと考えていたが…。民衆は、きらびやかな実際には虚栄でできた、強力な政権にかつての強かった祖国を夢見ながら、従いそのドイツに対抗するように、イギリスの民衆も立つと思われたがイギリスには、大陸のことは、あまり気にしなかった。
ヨーロッパの戦争は、日本にアメリカに戦争熱気を渡した。アメリカも日本も十年間以上前の熱狂的空気を覚えていたら、戦争に至るような事をしなかったであろう。
日米は、開戦した。
日本は、太平洋の島々を全て影響下に置いた。上海などをソ連に売り得た金で満州を更に開発し、建造した艦隊で、日本はオランダの島々を占領しイギリス領フィジー等の珊瑚海を電撃攻撃そして、フィリピン等を占領し、日本は勝つかに思えたが、アメリカの物量作戦に防衛線は崩れた。
それでも、日本は戦いドイツ、イタリア等が降伏するとドイツ研究者やイタリア研究者をヨーロッパ派遣武官が潜水艦で連れ出し、見事満州へと研究者を運んだ。
そんな、中に男がいた。名を佐々木武雄と言った。
彼は父が航空設計士と開発者で、母は、旅館の経営者一族の一人娘だった。幼き頃は、母方の旅館の近くに住み紙職人の工房に入り浸り、父の転勤で満州の秘匿兵器開発計画のために作られた人里で育った。
父の職場に今度は入り浸り、職場の職員たちから武坊と可愛がられて設計の仕方や計算法等を教えられた。
佐々木は、ある程度の歳になると父の職場に、事務として仕事をした。
職員たちからは、好かれており快適だったらしい。零戦に初めて乗せて貰った時に、佐々木はパイロットと設計士、開発者になると決めたのだった。
時間は流れ、終戦間近。
ドイツとイタリア、日本の開発者等は新たな艦上戦闘機を開発していた。佐々木は、開発者、設計士、テストパイロットが出来る人材として大尉に昇進してた。
日本は本土を捨てて、戦艦隊に対潜装備を大量に装備させ逆に潜水艦を狩り何とか補給線を維持し朝鮮半島から、満州に人々を移しアメリカに対して日本全土を機雷と地雷が大量にあるが、人がいない空城の計を模した計略を食らわしていた。日本全土からの人々は、戦争開始時や開始前より、工場地帯を除き満州に移されていた。
そんな、満州にて佐々木武雄は完成した零式艦上戦闘機86型決戦仕様に乗り込み、着艦試験をやっていた。
その空母は、引き上げたアメリカ空母ワスプだった。それに随伴の竹級量産型駆逐艦7隻と 退役巡洋艦青葉、作業用に改装された戦艦日向、戦艦空母伊勢が艦隊で運用試験もかね佐々木の眼下に集まっていた。
佐々木は、ワスプに向かいダイブした。そして、ワスプに着いた時に、それは起きた。黒い化け物に艦隊が、包まれた。佐々木は意識を手放した。
気付いた時には、ワスプの上に零戦に乗ったままいた。佐々木は叫んで人を呼ぶも返事はなく、佐々木は艦内を全て回りボートに乗り込み、他の艦内も探した。誰も居なかった。幸い食糧と水があり船は錨を落としていた。
しかし、頭が狂いそうに佐々木はなった。自分以外居ない上によくわからない異邦の地である。仕方ない事だった。ある決心のもとに佐々木は準備し、零戦に乗り込み、飛び立った。
タルブに着いたこれが男の過去である。
ところは、かわって現在。
「何なんだ。あの男は?」彼は日本語で呟いた。
仕方ないが要求を飲もう子供もいるしな…
~男side終わり~
ワイアット達は、通された応接室で待っていた。
従業員が来て、ワイアット達の前に緑色の液体を出した。
「これは、沼の水か!」
ジャンヌは驚き従業員に詰め寄ろうとした時、ワイアットはそれを飲み従業員に
「これを作ったのは誰かな?」
かなり興奮した様子で聞いた。
「これを作ったのは、宿の主のタケオ様です。」
従業員は冷静に答えた。
ワイアットの顔に笑みが刻み込まれた。
後書き
長くなったので分割しました。
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