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神々の黄昏

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第三幕その四


第三幕その四

「涼しく心地よい場所だ」
「そうか、それならばだ」
 ハーゲンが彼のところに来て応える。彼が先頭でありその後ろにグンターと他の家臣達が来ている。
 彼等はジークフリートのところまで来てだ。また言うのだった。
「ここで休むとしよう」
「そして食事を」
「まずは飲もう」
「酒を」
 言いながら酒も出してきた。そうしてまずはそれを飲み一息つくのだった。そのうえでハーゲンがジークフリートに問うてきた。
「それでだ」
「何だ?」
「貴方は何の獲物を得たのか」
 そのことを彼に問うのである。
「一体何を」
「残念だが」
 ジークフリートは申し訳のない顔で彼に応えるしかなかった。
「私は今日はまだ」
「獲っていないのか」
「申し訳ない」
「また何故だ?」
 ハーゲンは彼にさらに問うた。
「獣より速く駆けることのできる貴方が」
「水鳥達に出会った」
 乙女達をこう表現するのだった。
「そして彼女達をだ」
「捕らえようとしたのか」
「しかし彼女達の言葉を聞いて」
「そういえばだ」
 グンターが彼の今の言葉を聞いてあることを言ってきた。
「君は鳥や動物の言葉がわかるのだったな」
「そうだ、わかる」
 それはその通りだという。
「私はだ」
「そうだったな、それは」
「ところでだ」
 ここで話を変えてきたジークフリートだった。
「いいか?」
「どうしたのだ?」
「喉が渇いたのだが」
 それだというのである。
「それで水か酒を欲しいのだが」
「では酒だな」
「済まない」
 こう言ってである。ハーゲンが酒を持って来るのを見届けた。彼はすぐに杯の中に入っているその葡萄酒を出してきたのであった。
「葡萄酒でいいな」
「有り難う」
 こう彼に礼を述べる。
「それでは早速飲ませてもらう」
「それでだ」
 ハーゲンはここで親しげに彼に声をかけるのだった。
「聞きたいことがあるのだが」
「私にか」
「そうだ。君の過去のことだ」
 それをだというのだ。
「聞きたいのだが」
「そうか。それならだ」
「話してくれるか」
「喜んで」
 微笑んでハーゲンに応えてだった。そうして話しはじめた。
 まずはだ。森の中のことだった。
「かつてミーメという男がいた」
「ニーベルング族のか」
「そうだ、あの一族のだ」
 ここでジークフリートの顔が歪む。
「嫌な奴だった」
「そこまでか」
「小ずるい奴だった」
 彼にしてみればそうだったのだ。
「けしからん下心で私を育て」
「そして?」
「どうするつもりだったのか」
「私を森の中で宝を護っている大蛇に向かわせるつもりだったのだ」
 このことも話すのだった。
 
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