【完結】剣製の魔法少女戦記
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第五章 StrikerS編
第百十七話 『昇格試験とエリオとキャロの出会い』
前書き
今回は昇格試験のシホ視点描写とエリオとキャロの出会いシーンです。
Side シホ・E・S・高町
今、私はなのはと一緒にスバル・ナカジマとティアナ・ランスターの魔導師ランク昇格試験を見守っていた。
「…でも、四年前のあの少女がここまでやってくるなんてね」
「うん。驚いたね」
「ま、二人はなのはが受け持つスターズ分隊の候補だから心配はしちゃうかしらね?」
「そんなことないよ。でも、二人の成績を見させてもらったけどかなり伸びしろはあると思うよ」
「そう。教導官のなのはがいうなら確かかもね」
「そういえばランとレンはどうなの?」
「二人はすでにBランク昇格試験は通過済みだから後は機動六課が完全に始動したら十分な戦力になると思うわ。
ま、昔の私だったらまだいい年の二人にはこんな仕事には付いてほしくないけど…もう管理局色に染まった私からはなにも言えないからね。
二人も手伝う! と何度も言われちゃったから管理局入りも許したわけだし…」
「なんか、シホちゃん達って親子っていうより兄妹姉弟みたいな関係だね」
「まぁね。二人は私の魔術の弟子でもあるし…」
っと、そろそろ試験が始まりそうね。
リインが二人の前にスクリーンで現れて説明をしている。
そしてリインが敬礼をすると二人も敬礼を返す。
なのははコースのチェックを再確認しながら、
《範囲内に生命反応、危険物の反応はありません。コースチェック終了です》
「うん。ありがとう、レイジングハート」
レイジングハートがそう言って私達は後は見守るだけになった。
さて、どんな手を使ってくるのか同じ教導官としては楽しみではある。
「サーチャーとオートスフィアも設置完了。私達は全体を見ていようか」
《Yes.My Master.》
「そうね」
開始のカウントがされる。
そして始まったと同時に二人は走り出した。
「でも、ナカジマ二等陸士はローラーブーツってまた特殊なものを使っているわね」
「そうだね。ま、二人のおてなみ拝見といこうか」
見ていたらまずランスター二等陸士がアンカーガンを射出してビルに刺して二人の体重を一気に抱えて飛び立つ。
あれも結構古そうな武装の銃だけど使えそうね。
それでナカジマ二等陸士がビルの中にガラスを割って侵入。
次々とオートスフィアを破壊していく。
「いい動きね」
「うん」
そしてランスター二等陸士が外でポイントターゲットを破壊していきダミーターゲットはきっちりと残している。
うん、射撃もいい腕だ。
射撃型だとなのはが教えるのが一番適しているわね。
そして二人は今のところのターゲットを全部破壊して合流する。
「いいコンビね。息があっているわ」
「だね」
「でも、ここからが大変よね。大型のオートスフィアで大抵の受験者達は半分以上が脱落しているから」
「どんな行動をするのか試験管としては楽しみではあるよ。今の二人のスキルだと防御も回避も難しいからね」
そして二人は進んでいきターゲットを次々と破壊していき、次は一斉射撃を受けるところにやってきた。
サーチャーで確認したらアンカーガンが伸びてきて天井に刺さる。
でも上がってきたのはアンカーガンだけで担い手のランスター二等陸士の姿はない。
そして攻撃を受けるアンカーガン。
…あれは意思があったら多分後でデバイスが文句を言っていただろう。
そしてローラーの走行音が聞こえてきてサーチャーで確認すると多分幻術魔法を使っているのかローラーの音だけが響いてくる。
そして透明のまま次々とスフィアを撃破していく。
途端二人の姿は見えるようになってナカジマ二等陸士のリボルバーシュートとランスター二等陸士のクロスファイヤーシュートでスフィアはすべて破壊されていった。
それで二人は意気揚々としているけどまだ一つだけ残っていたスフィアに攻撃されてなんとか撃墜するがなぜか私達が見ていた画面が映らなくなった。
この映像を見ているフェイトとはやても多分同じ状況だろう。
「直前の映像だとサーチャーに流れ弾が当たったみたいね」
「うん。トラブルだね。リイン、一応様子を見に行くね?」
『はい、お願いします』
《私もセットアップしますか?》
《そうですね。セットアップしましょう》
レイジングハートとアンリミテッド・エアからそう言われる。
なので私となのはは二人してジャケットを展開して見に行くことになった。
…しばらくしてランスター二等陸士だけが走ってきた。
ナカジマ二等陸士は…?
それと大型スフィアの攻撃でランスター二等陸士は撃たれてしまった。
直撃かと思われたがそれはやはり幻術魔法だったみたいですぐに姿は掻き消えた。
「フェイクシルエット…うまい使い方をするわね」
それで次々とランスター二等陸士の姿が現れる。
それで他のサーチャーで確認するとナカジマ二等陸士がビルの上に立っていて固有魔法なのだろう青い道が出来上がりそれはまっすぐ大型オートスフィアまで道をつないだ。
大型スフィアはナカジマ二等陸士の方にビームを撃とうとするがそれはフェイクシルエットで次々と現れるランスター二等陸士の幻影にスフィアは混乱していた。
その隙をついてナカジマ二等陸士は魔法の道を走り出す。
そして中に侵入。
一気に大型スフィアまで走り拳をぶつけていくがそれはバリアで防がれる。
でも負けじと手がバリアを貫通してバリアを破壊する。
そして一旦退避するとロートカートリッジをして、
『一撃必倒! ディバイン・バスター!!』
青い砲撃が放たれ大型スフィアが破壊された。
「へぇ…なのはのディバイン・バスターを使うなんて、なかなかの好かれようじゃない? なのは」
「し、シホちゃん。からかわないで…」
なのはをからかいながら二人を確認する。
後はゴールを目指すだけだ。
でもどうやらランスター二等陸士が足を怪我しているようでナカジマ二等陸士が背負って一緒に進んでいる模様。
ナカジマ二等陸士が魔力を全開にして一気に駆けるが、
「…あれ、止まる事を考えていないわよ? なのは」
「そうだね。ちょっと危険行動で減点かな?」
「私は古代ベルカ式だからそこまで精密なミッド式魔法は使えないからなのは、お願いね?」
「うん。それじゃしょうがないな…。アクティブガードとホールディングネットもかな?」
なのはが魔法を展開して二人の走行場所に魔法を設置する。
そして二人は見事網にかかって緊急停止した。
そこにリインが怒りながら二人に寄っていき、
「二人共、危険行為で減点です! 頑張るのはいいですが怪我をしては元も子もないんですよ! そんなんじゃ魔導師としてはダメダメです!」
二人はリインに怒られているのというのに呆然としていた。
ランスター二等陸士が「ちっさ…」と呟いている。
ふむ、あれはあんまり効果が無さそうな説教ね。
「それじゃいこっか。シホちゃん」
「そうね、なのは」
それで私となのはは二人の下へと向かい、
「あはは、まぁまぁ。ちょっとびっくりしたけど無事でよかった…。
とりあえず試験は終了ね。お疲れ様」
それでなのはとリインが魔法を解除し、二人は地面に降りる。
「リインもお疲れ様。ちゃんと試験官できていたよ」
「そうね。成長したわね」
「わーい。ありがとうございます。なのはさん、シホさん!」
そして私となのははジャケットを解除し、なのははナカジマ二等陸士による。
「まぁ細かいことは後回しにして…ランスター二等陸士」
「あ、はい!」
「怪我は足だね。治療するからブーツ脱いで?」
「あ! でしたら治療なら私がやるですよ?」
リインがランスター二等陸士に寄っていく。
「なのはさん…シホさん…」
「ん?」
「なに?」
「あ! いえ、あの…! 高町教導官一等空尉、シュバインオーグ教導官一等空尉!」
「なのはさんでいいよ。みんなそう呼ぶから…」
「私もシホさんで構わないわ。そっちは背中がムズ痒くなるから」
「それより四年ぶりだね。背、伸びたね“スバル”」
そうなのはに言われるとあの時のように涙を浮かべて、
「えっと、あの、あの…」
心の整理ができていないようね。
それにどうやら私はお邪魔のようだ。
だから二人を見守っていることにした。
「うん。また会えて嬉しいよ」
なのははそう言ってスバルの頭を撫でる。
そして泣き出してしまうスバル。
「私とシホちゃんの事、覚えていてくれたんだ」
「あの、覚えているっていうか…あたし、ずっとなのはさんとシホさんに憧れていて…」
「嬉しいな。バスターを見てちょっとびっくりしたよ?」
「あっ!?」
それで何を思ったのか大声を上げるスバル。
「す、すみません。勝手に使用して…!」
「ふふ…いいよそんなの」
私はなのはにスバルを任せて、ランスター二等陸士に寄る。
「ランスター二等陸士、足は大丈夫?」
「あ、はい! 大丈夫です!」
「ランスター二等陸士はなのはさんとシホさんの事ご存知ですか?」
「はい…知ってます。本局武装隊のエースオブエース。航空戦技教導隊の若手ナンバー1。高町なのは一等空尉。
そして同じく航空戦技教導隊の実力は高町なのは一等空尉を凌ぐと言われている『魔弾の射手』という異名で呼ばれているシホ・E・S・高町教導官一等空尉」
「はいです!」
「あはは…変な異名が流れているものよねー」
「あの…私はなのは一等空尉よりあなたの方を尊敬しているんです。
魔術事件対策課という未知の部署で超長距離から放つ矢の話はよく聞きますから同じ射撃手として会えて嬉しいです…」
「そう」
それから空からヘリが降りてきてそこからフェイトの顔が見えてスバルは敬礼をしていた。
◆◇―――――――――◇◆
場所は移り、私は今フェイトとはやてと三人+リインでスバル達に話をしている最中である。
二人には部隊を設立する経緯を説明して、
「………と、まぁそんな経緯があって八神二佐は新部隊設立のために奔走」
「四年ほどかかってやっとそのスタートを切れたというわけや」
「部隊名は時空管理局本局遺失物管理部『機動六課』ですよ!」
「八神二佐が立ち上げる部隊の名よ」
「登録は陸士部隊。フォワード陣は陸戦魔導師が主体で特定遺失物の捜査と保守管理が主な任務や」
それでランスター二等陸士は少し考えるポーズをして、
「遺失物…ロストロギアですね」
「そうや」
「でも広域捜査は一課から五課までが担当するからうちは対策専門だよ」
フェイトがそう答える。
なにかそれで二人は念話で会話をしているっぽいがはやては話を進めていく。
「それでスバル・ナカジマ二等陸士。それにティアナ・ランスター二等陸士。
私は二人を機動六課のフォワードとして迎え入れたいって考えてる。
厳しい仕事にはなるやろうけど濃い経験は詰めると思うし昇進機会も多くなる。どないやろ?」
はやての問いに二人は少し困った表情をした。
「スバルは高町教導官に直接魔法を教われるし…」
「はい…」
「執務官志望のティアナには私でよければアドバイスとか出来ると思うんだ」
「あ、いえ…とんでもない!」
それでティアナは何度も言葉を言い直してはしどろもどろに答えるばかりだ。
やっぱり緊張をしているのだろう。
そこになのはが試験の結果を持ってやってきた。
「いま取り込み中…?」
「大丈夫やよ」
「とりあえず試験の結果ね。二人共技術はほぼ問題なし。でも危険行為や報告不良は見過ごせるレベルを越えています。
自分やパートナーの安全だとか試験のルールも守れない魔導師が人を守るなんてできないよね?」
その意見には賛成だ。
でも、昔はよく私ももみ消していたからなぁ…。
あまり強く言えない。
「はい…」
「だから残念ながら二人共不合格。………なんだけど」
なのはの言葉に二人は揃って声を上げる。
なにか続きがあるのか?という眼差しだ。
「二人の魔力値や能力を考えると次の試験まで半年間もCランク扱いにしておくのはかえって危ないかも。
というのが私とシュバインオーグ一等空尉とリイン試験官の共通見解」
「です~!」
「そうね」
「と、いうわけでこれ」
なのはは二人に封筒を渡す。
「特別講習に参加するための申請用紙と推薦状ね。これを持って本局武装隊に三日間の特別講習を受ければ四日後に再試験を受けられるから」
それで二人は戸惑っている。
「来週から本局の厳しい先輩達にしっかりと揉まれて安全とルールをよく学んでこよう。そうしたらBランクなんてきっと楽勝だよ。ね?」
それで二人は感謝の言葉を述べた。
「合格までは試験に集中したいやろ? 私への返事は試験が済んでからってことにしとこうか」
それで二人は敬礼をして出ていった。
それから中庭で色々と会話をしている二人の光景を見ながら、
「ま、あの二人は入隊確定やね」
「だね」
「そうね」
「なのはちゃん、嬉しそうやね?」
「二人共育てがいありそうだし時間かけてじっくり教えられるしね」
「はは、それは確実や」
「私とフィアとヴィータ、サーヴァント達も手伝うからみんな強くしていこうね、なのは」
「うん!」
「新規のフォワード候補はあと、四人、確定しているのはランとレン。後の二人は…」
「二人共別世界。今、シグナムとランサーが迎えに行ってるよ」
そこにフェイトとリインがやってきて、
「―――なのは、はやて、シホ。おまたせ」
「おまたせですー!」
「ほんなら次に会うんわ六課の隊舎やね」
「みなさんの部屋もしっかり作ってあるですよ!
なのはさんとフェイトさんは同室。サーヴァントの人達は各部屋。
そしてシホさん、アルトリアさん、ネロさんは同じ部屋。
フィアットさんも一人部屋…と色々と作ってあるです!」
「うん!」
「楽しみにしてる」
「アルトリア達と同室ね。分かったわ」
「後、魔術師の工房部屋も手配してあるのでシホさんはそこでランとレンの二人の魔術の腕を鍛えるといいですよ?」
「ありがとね、リイン」
「はいです!」
それで解散となり、
「それじゃ私とシホちゃんは隊に帰ろうか」
「そうね」
「私、車で来ているから中央まで送っていくよ」
「ホント? ありがとう」
「そういえばなのは。体調は平気…?」
なのはの体調か。やっぱりフェイトとしては不安よね。
あの事故以来前より無茶はしなくなったとはいえ。
「にゃはは。平気平気。全然問題なしだよ」
「だったらいいんだけど…」
「そうね」
「二人共心配性だな。フェイトちゃんもシホちゃんも私の頑丈さを知っているでしょう?」
「知ってるけど…心配はするよ。友達だからね」
「本当に平気だから。心配しないでね」
「うん…」
「ま、いざって時は私が無理やりなのはを撃墜してでも止める所存だけどね」
「シホちゃん、おっかないよ…」
「それだけなのはには不安があるんだから自覚しなさい」
「はーい…」
◆◇―――――――――◇◆
Side エリオ・モンディアル
僕は今迎えに来るというシグナム副隊長とランサーさんを待っていた。
時間を確認するとちょうどいい時間であってそこにシグナム副隊長とランサーさんがやってきた。
「お疲れ様です! 私服で失礼します。エリオ・モンディアル三等陸士であります!」
「ああ。遅れてすまない。遺失物管理部機動六課のシグナム二等空尉だ。長旅ご苦労だったな」
「よー、エリオ。久しぶりだなこうして会うのはよ」
「はい、ランサーさん!」
久しぶりにランサーさんと直に会うことが出来たので嬉しい気持ちになる。
ランサーさんは僕の槍の師匠だから色々と教えてもらう予定だ。
「…ところでもう一人は?」
「はい。まだ来ていないみたいで…」
確か、キャロ・ル・ルシエさん。僕と同い年の女の子。
フェイトさんが保護しているもう一人の僕の兄弟みたいな子という話だ。
「あの、地方から出てくるということですので迷っているのかもしれません。探しに行ってもよろしいでしょうか?」
「頼んでいいか?」
「はい!」
「エリオ、しっかりと守ってやれよ?」
「わかりました!」
それで僕はルシエさんを探しに向かった。
そして名前を出しながら探しているとエレベーターの上からルシエさんが走ってきた。
でも、少し危なっかしい。
思ったとおり、ルシエさんは足を躓き、倒れそうになる。
《Sonic Move.》
ソニックムーブを展開してルシエさんをすぐに抱きかかえる。
でも安定が保てずそのまま転んでしまった。
「あいってて…すみません、失敗しました」
「い、いえ。ありがとうございます。助かりました。ん…?」
「あ…」
それで僕はある事に気づく。
ルシエさんの胸を揉んでしまっていた…!
「…あ、すみません。すぐにどきます」
「あ、あの! こちらこそすみません!」
ルシエさんは気にした素振りも見せずにすぐにどいてくれたけど…。
忘れろ! 忘れるんだ!
それで息を整えていると、バックが揺れて中から竜が姿を現した。
「あ、フリードもごめんね。大丈夫だった?」
「キュックルー」
「竜の子供…?」
僕はすぐに関心が竜の子供に移っていた。
「あの、すみませんでした。エリオ・モンディアル三等陸士ですよね?」
「あ、はい!」
「はじめまして。キャロ・ル・ルシエ三等陸士であります。それからこの子はフリードリヒ。私の竜です!」
「よ、よろしくお願いします!」
それで僕達はシグナム副隊長とランサーさんの下に戻った。
「お、キャロ。久しいな」
「はい、ランサーさん」
「では揃ったことだし向かうとしようか」
「「はい!」」
それで僕達はシグナム副隊長に連れられて機動六課に向かっていくのだった。
後書き
今回はここで切らしてもらいました。次回から機動六課は始動します。
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