RPG WORLD ―ろーぷれ・わーるど― ~復讐の少年~
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一章 出会い
休息 後
前書き
過去編からスタート!!
幼稚園時代。
確かあのときは夏で、夏休み手前の幼稚園の帰りだった気がする。
『おとーさーん!」
『ああ?』
『ほら!バッタさん!捕まえたんだ!』
あの時、僕は宝物のように捕まえたバッタを抱えて父に見せた。
ほめてもらえると思って。
...でも、結果は違った。
『バカかテメエは!』
そう言って殴り飛ばされた。
勿論、幼稚園児が大人の拳に耐えられるわけなく、吹っ飛ばされ、地面に転がる。
半泣きになりながら、父のほうを向いてか細い声で『お父さん...?』と聞いた。
でも、父は...
『バッタなんか金になんねえモンとってくんじゃねえ!んなもんより金持ってこい!』
そう言いながら、地面に転がった僕を...
地面に転がったゴミを見るような目で僕を見た。
その時には気付かなかったけど、あの人は僕のことをゴミ、と思っていたんだろうな...。
『...でも...お金なんて僕、持ってないよ...』
泣きじゃくりながら父に言った。
『だからてめえはバカなんだ! 金がねえなら他人から取ってこい!』
そう言いながらあの人は家の中にある一升瓶を開封してラッパ呑みしていた。
『でも...そんなの...犯罪だよ...』
確か5歳だったけどそのくらいは知っていた。
でも...あの人は...続けてこういったんだ...。
『ああ?だからてめ――
―☆―☆―☆―
「ソラさん?」
「ん?ああ、何?」
イシュラが話しかけてくる。
どうやら考え事に没頭して話を聞きそびれてしまったみたいだ。
周りを見ると、オランドゥさんが焦った感じで何かの図鑑のページをめくっている。
「今、イシュラが父にガードアントの話をしたところです」
と、ちょっと深刻そうな顔をしながら空気を読んだレヴィアさんが教えてくれた。
...ガードアントって、確か僕がイシュラを護るために倒したやつだよね。
一応ゲーム内のモンスター図鑑では、クイーンアントが巣を作るときにその巣の周りを警戒する、と書かれていた気がする。
「あった!これだ!」
本のあるページを開き、ドン、とテーブルに置く。
「ガードアント...。 卵を産むクイーンアントが巣を作り始めると、巣の周囲を警戒する大アリで、ジャイアントアントよりも遥かに強い、とある。 いかん、いかんぞこれは!草原にクイーンアントが巣を作っておる。となると、数ヵ月後にはジャイアントアントが大発生してしまう。村まで押し寄せてくるかもしれん! すぐに対策を立てないと!」
「待ってください」
と、僕はそこで口をはさんだ。
「どうかしたのですか、ソラさん」
ちょっと焦ったように聞いてくる。
「はぐれ、という可能性があります。僕も旅の時に一度、はぐれのガードアントと戦いました」
ま、旅じゃなくて、ゲームでだけど。
それを聞くと、オランドゥさんは「むぅぅ...」とうなり始めた。
「だったら、僕が見てきます」
そう言うと、慌てたようにオランドゥさんが言いだした。
「し、しかし、アルダ村はさして裕福でもない村です。ソラさんのような高レベルの方を雇えるお金はありません」
「えっと、あの、別にお金はいらないです。その代わり...」
そう、僕は言うと、オランドゥさんがちょっと険しい顔で、「その代わり...?」と聞いてきた。
「その代わり、教えてほしいことがあります」
「教えてほしいこと?なんですか? それは」
オランドゥさんに聞かれる。
「ダイス、という人のことです。この村にそんな名前の人を見た人を見つけたら、僕に教えてください。それだけです」
「それはかなりありがたいのですが...。本当にそれだけでよろしいので?」
オランドゥさんはあまりにも話がうまいものだと思って、疑っているようだ。
まぁ、しょうがない...けど、
「はい。逆に情報が見つかったらこっちがお金お払いたいぐらいです」
「むぅ...」
オランドゥさんは少し迷い、それから、
「わかりました。...ではお願いします!」
オランドゥさんが頭を下げる。
「いえいえ」
そう言いながら僕も頭を下げる。
そして口を開く。
「...ただ」
「ただ?」
「明日にしてもいいでしょうか?FOOD値とHP、MP全てが0と0に近い数字なので」
後書き
この話の過去の話、またいつか使うかもしれません。
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