ネタ帳(旧:没ネタ集)
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前書き
これはにじファン時代に投稿しようとしてサイトが閉鎖されたために投稿できなかったやつです。
ハリポタものです。
私が生まれて間もなく、父がいなくなった。
私には赤ん坊のころからの記憶がしっかりと残っている。 普段は物心がついたころからの記憶がおぼろげにあるだけだと思うのだが、なぜかしっかりと記憶のある私は、たった数日しか記憶のない父を思い出す。
思い出せる父の顔は精悍で、イケメンと呼ぶにふさわしかった。 そして、超がつくほどのナルシストで超極がつく親バカであった。
生まれたばかりの私を腕に抱き、顔をほころばせ、ことあるごとに写真を撮りまくっていた。 めちゃくちゃかっこつけたポーズで撮影していたので、私を取りたかったのと合わせて自分も取りたかったのだろう。
そして、仕事? から帰ってくるたびに私にお土産を買ってくるのである。 数日の記憶しかないが、その数日で私のベビーベッドの周りはお土産だらけになったほどである。
そんな父の口癖は「この子は将来とんでもない美人になるぞ!! なんたって俺の娘だからな!!」と「俺の娘だからとんでもない魔法使いになるだろうサ!!」だった。 無駄に白い歯がキラリと光るのはなんなんだろう? イケメンだから許される所業である。
そんな父との最後の記憶は、玄関先での一コマ。
私を抱きかかえる母に対して、
「今日で最後にしようと思う。 今日の仕事が終わったら俺、娘といっぱい遊んであげるいい父親になるんDA☆」
と、日本の漫画でいう死亡フラグとやらをぶったてて出て行ったのである。
で、いなくなったというわけ。 日本の漫画で死亡フラグというのを見た時に思わず、「お父様はフラグを立てたからいなくなったんだわ!!」と叫んでしまったほどである。
あぁ、私の家は魔法使いの一家である。
父はそれなりに有名な魔法使いだったようで、父がいなくなったと聞き半狂乱になった母の代わりに様々な家から支援のお話があった。
支援を申し出てくれた様々な家を少しづつ転々としながら生活していた私だったが、半狂乱になった母が正気を取り戻し、「あの人と私の子供です!! 私が育てます!!」と、私を引き取りに来たのが5歳のころ。 あの当時は私と同い年の男の子がいる家に住んでいた。 あの子は元気にしているだろうか?
それから世界各国を回りながら母と二人で生活を送っていた。 各家々を回りながら魔法に関する様々な知識、礼儀作法などを教えられていたので、教える事がないじゃないと半泣きになる母。 その後すぐに、「でも5歳でこの魔法知識はすごいわ!! さすがあの人と私の娘!!!」とめちゃくちゃいい笑顔で喜んでくれる母が私は好きだった。
そんな私たち一家に転機が訪れたのが9歳の頃。
久しぶりに故郷に帰ってきた私たち母娘。 父と最後の記憶があった家はきれいに掃除された状態でほこりも一切積もっていなかった。 母に聞いてみると、定期的に誰かが掃除しているとのこと。 誰かは教えてくれなかったけど……。
そして、母が買い物に行ったのだが帰ってこなかった。 ちょっと夕食の買い出しに行ったはずなのに2時間たっても帰ってこない母を不審に思ったりもしたが、懐かしい故郷で古い友人とでもあって話がはずんでいるのだろうと思っていた。
私も別に一人で何もできないお嬢様というわけではないので、部屋を掃除したり、ちょっと紅茶を入れてみたり、ゆっくり本を読んでみたりと、自由に過ごしていたわけである。
母が帰ってこなくなって3時間ほど経過した頃だろうか?
我が家の玄関が軽やかにノックされた。
『お客様が来たら扉をあける前に玄関先で身元を問いなさい。 身元不明なら魔法で吹き飛ばしても問題ありません』という母の教えを忠実に守り、ドア越しに声をかける。
問いかけた私の問いに対する答えは「魔法省のクラウチと申す者です」という言葉。 「魔法省の方からきました」とかいう詐欺的な言葉ではなかったのと、魔法省という一応しっかりとした場所からの来訪とあり、ドアを開け、一応身分証も確認させていただいた。 身分証の真贋を見極めるような事は私には出来ないので、提出されたものを信じるしかなかったのだが……。
それよりも初めてのお客様である。 『しっかりおもてなししなくてわ!!!』と気合いを入れ、リビングに通す。
3人組みで来られた魔法省の方々はなぜかおっかなびっくりといった様子で、壁に触れることすら恐る恐るで、慎重に廊下を進んで付いてこられていた。 リビングについた時、クラウチと名乗った魔法省の方以外は、「意外に普通の家ですね」、「いや、油断するな……どこに悪質な罠があるかわからん!!」なんて小声でささやき合っていた。 失礼な!! 普通の家に決まっているでしょうが!!
席を進め、紅茶を入れて振舞う。 お茶菓子としてクッキーも出したが、なぜか三人とも手をつける気配がなく、仕方なく一人で食べていた。
「突然の訪問、誠に申し訳ない」
突然話し始めたクラウチさん。 聞いたところによると、父→悪い人、母→父の協力者なので私もその素養がないか調べるということ、また、母は現在魔法省に連行されているということ。 母は最悪、暴れられるかとも思っていたが、意外におとなしく付いてきたのでびっくりしたということが語られた。
突然の話に驚愕で言葉も出ない私を余所に、クラウチさんが問いかける。
「お嬢ちゃん? お父さんの名前はわかるかな?」
「お父様ですか? 確か……『ヴォルデモート』だった気がします。 家名は……あ、そう言えば家名は聞いたことがありません。 お父様の家名はご存知なのでしょうか?」
質問に質問で返すなという言葉があるが、私の場合は相手の質問にも答えているので問題ないだろう。
「家名は聞いたことがないな。 だがそう、君の父親は、『闇の帝王』と呼ばれた、魔法界始まって以来の最強最悪の魔法使いだったのだよ」
「え!?」
そう、これが私『リア・V・インゴート』の転機の瞬間だった。
後書き
なんでしょうね。
この無理やり感。
実際に調べてみると、いろいろと違うところが出てきたので没にしたネタでした。
勢いと情熱だけで駆け抜けた作品です。
なのに二話目を作っていたりしてました……。
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