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神々の黄昏

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第一幕その十一


第一幕その十一

 彼に応えてだ。そのうえで話した。
「では私に彼女を」
「そうだ。しかしだ」
「しかし?」
「彼女のいる岩屋は激しい炎に包まれている」
 これもハーゲンが言うことと同じであった。
「それをどうするかだが」
「そこを通り抜けなければならないのか」
「そうだ、だが貴方はその危険を冒すことはない」
 ジークフリートからの言葉である。
「だからこそだ」
「だからこそ?」
「私が行こう」
 ハーゲンは今の彼の言葉を聞いて笑わなかった。しかしであった。
 その目の光をさらに黒く強くさせてた。そのうえでジークフリートを見続けて彼の話を聞いていた。
「それでいいか」
「君がだというのか」
「そうだ、私が行こう」
 彼はまた言った。
「そして彼女を貴方の妻に」
「では私はだ」
 グンターもそれに応えて微笑んで言ってきた。
「グートルーネを君の妻に」
「それでは」
「しかしだ」
 ここでグンターはジークフリートに問うた。
「君が行くのだな」
「そうだが」
「しかし私が行かなくてはならない」
 夫とするからにはである。
「それはどうするのだ?」
「その心配はない」
 だがジークフリートは微笑んで彼の問いに返した。
「その心配はだ」
「というと?」
「私には隠れ兜がある」
 ハーゲンが指摘したそれがである。
「これを使って貴方の姿になってだ」
「そのうえでか」
「そうだ。そのうえで向かう」
 まさにそうだというのである。
「それでどうか」
「わかった。ではそうしてくれ」
「うむ、それではだ」
「話は決まったな」
 二人の話をこれまでじっと聞いていたハーゲンが出て来た。その手にはまた杯がある。しかしその杯は今は何も入ってはいなかった。
「それではだ」
「それでは?」
「誓いをする時だ」
 その時だというのである。
「今はだ」
「誓いをか」
「そうだな。兄弟の誓いをしよう」
 グンターも言ってきた。
「君は私の妹の夫となるのだしな」
「我々は義兄弟となるのだな」
「そうだ」
 まさにその通りだというのだ。
「それではだ」
「よし、それなら」
 ジークフリートもそれを受けることにした。
「私の血と貴方の血を混ぜ合わせ」
「そのうえで飲み合うとしよう」
「それではだ」
 その儀式に入る。まずはそれぞれの腕を持っている剣で傷つけてそこから流れる血を杯の中に入れてである。それを飲み合うのだった。
「信義を誓って友と飲もう」
「今日の誓いが何事にも妨げられる」
 二人で言い合う。
「兄弟のよしみが栄えるよう」
「どちらかがこの誓いと信義を破れば」
 その時はともいうのだった。
「今日飲み合ったこの清き血が光熱となって流れ出てその報いとなるよう」
「では今から」
「飲もう」
「しかし」
 ここでジークフリートはハーゲンを見て彼に問うた。
 
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