転生者拾いました。
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蒼風の谷
VSサイモン・K・イースト
階段を登り切ると大きな白亜の大戸があった。戸の向こうから膨大な魔力に感じる。
その扉自体は簡単に開き、中にはいる。
「ようこそ、我が新居へ。」
「本物のサイモンか?」
「そうさ、ボクがサイモン・K・イーストだ!」
大仰な素振りで自らを指した。
「今度はあんな魔法体じゃないよな。」
「ボクをあんな人形と同列にしないでくれ。」
「それは悪かったな。」
世間話もそこそこに戦闘モードに移行する。
腰の剣を抜き中段に構える。セリナも同様に剣先をサイモンに向けた。
「まあ待て、showの前にいいことを教えよう。徳のある者は他を導くは必要があるからな。」
「御託はいい、何だ。」
「いいだろう。」
一拍置いてサイモンが口を開いた。
「君たちは白光教会をどう思う?」
「どうとは?」
「聞くところによれば人間至上主義を掲げているらしいじゃないか。それに君たちは彼らと剣を交わしたのだろ?」
「ああ。」
「だったらあの者たちは何を求めていた?カネか?権力か?女か?」
「なぜそのことを聞く、オレ達は何も聞いてない。」
「そうだな。だが、彼らの実情は見たんじゃないかな?」
見たもなにもオレ達はただ剣を交えただけ。実情を何も知らないし変態に遭ったことしかない。
「彼らはどこから資金を得ていると思う?」
突拍子のないことを言って来た。
「あれだけの人数を動員するにはかなりのカネがいる。その資金源はなんだ?」
「誰かが支援していると?」
「その誰かとはだれか。死神の二つ名を持つ君なら分かるんじゃないかな?」
「まさかと思うが、サイモン。お前が?」
「そうだ、僕が支援している。なぜ?と思っているだろう。答えてやる。
今この世界は人間以外にも多種多様な言語を持つ種族がいる。その多くは人間と親しくしている。だが、なぜ、僕たちが人ならざる者共と仲良くしなければならない。人ならざる者は人にひれ伏すべきだ。
そして人間の中でも優劣がありホワイトが最も優れている。つまりこの世界の生物で最も優れているのだよ。
わかるかい?君たちイエローもボクにひれ伏さなければいけない。
そうとも、世界はこのボクのモノだ!誰にも否定させないよ。だけどこの世界はいったん滅ぼすよ。浄化させる必要がある。そのうえで再生を行う。
その世界に君たちは必要ない。ここで粛清してくれる。」
長セリフが終わってサイモンが掌をこちらに向けると、魔力が集中しだした。
長セリフで油断しきっていた俺たちは慌てて全方位に防御魔法をはる。
次第に魔力が収束し魔力球が現れた。
魔力球とは?
魔力のくせして質量エネルギーが馬鹿げているワザ。初歩の初歩で教えられる魔法の一つだが、使いこなすとこれ以上に便利な魔法はない。ただし誘導性はないため直接投げつける感覚で使う。
全方位に防御をはったのは魔力球が後ろで爆発したときの対処。
防御で動けないオレ達についにサイモンが魔力球を投げつけ、それが防御魔法に命中、夥しい光を放ち一瞬視界が真っ白に。
「カズヤ、私が防御するから攻撃して!」
「わかった!」
「そんな暇があるのかね?」
「なっ!?」
張っていた防御魔法が次々破られる。いや、斬られている。
しかし、サイモンは武器を持っていない。右手を手刀にして振っているだけ。
「ほらほら。ボクに死神の力を見せてくれよ!」
「このっ!Donner・Magier!Donner・Pfeil(雷の矢)!」
防壁をはりながら弾速の速い魔法の矢を放ちサイモンを牽制するが、それに意を介さず次々と魔力球を投げ、手刀を振る。
セリナの放った魔法の矢も防壁と同様に切られて消滅する。
「君たちの力はこの程度じゃないだろ?もっと僕を楽しませてくれ!」
「どうすれば……。」
後書き
終わりの見えない戦
動き始まる鼓動
次回 運命
サイモンにはああ言ってもらいましたが私はそんな差別意識はありません。
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