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とある碧空の暴風族(ストームライダー)

作者:七の名
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出会い
  Trick04_未熟者ですがよろしくお願いします


「能力については、何も分かりませんね・・」

誘拐事件を解決した次の日。

御坂、白井、初春、佐天の4人は風紀委員の第117支部にいた。

この第117支部には白井と初春が所属している。

ちなみに御坂と佐天は風紀委員ではないが、この場所によく“遊び”に来る。
そのために「勝手知ったる他人の家」状態だった。

初春はパソコンを操作して書庫(バンク)にアクセスしていた。

書庫とは学園都市の総合データベースである。基本的に生徒や能力など学園都市に
関わる情報の全てが登録されている。

今回、アクセスしている対象は“西折 信乃”についてだ。


「西折信乃。15歳だから高校1年生ですね」

「これが例の学校ですわね。何て読むのでしょうか? この≪神理楽高校≫という字は?」

「私も分かりません。ちょっと検索してみます」

初春の手がキーボードを叩き始めた。


数分後

「あれ~、おかしいですね。読み方を探しても出てこないです。
 でも、学校の内容については少しわかりましたよ」

「どんな内容ですの!?」

「落ち着いてくださいよ、白井さん。え~とですね

 神理楽高校

 ・世界でも即戦力となれる警備、護衛を教育する学校。

 ・卒業者の就職率は100%を常にキープするだけでなく、一流企業の警備担当や
  世界的要人のボディーガードなど、かなりの優遇と信頼を得ている。

 ・入学する際には実力を確かめるだけでなく、その人の過去も調べて
  性格の適性をとる。

 とありますよ。」

「・・・なるほど、納得しましたわ。これでは風紀委員よりも信頼されて
 当然ですの」

風紀委員も訓練を受けているが、あくまで学園都市での限定活動を想定して
訓練を受けている。

対して神理楽高校の生徒は世界規模で信頼を得ている訓練高校。
警備員からの信頼は当然、風紀委員よりも強い。

「ちなみに、就職先のほとんどは世界的財閥の≪赤神(あかがみ)≫グループに
 入っているみたいですよ。すごいですね~!」

調べた内容で西折のすごさを再確認した初春は感嘆の声を出した。


赤神グループ。表向きでは世界的財閥として名を知られている。
実際は
 赤神(あかがみ)  謂神(いいがみ)  氏神(うじがみ)
  絵鏡(えかがみ)  檻神(おりがみ)
の五大財閥、≪四神一鏡(ししんいっきょう)≫と呼ばれる組織だ。

四神一鏡は世界的財閥ではなく、本当は世界の財力を支配している組織だった。


そして四神一鏡が組織した下部組織、神理楽(ルール)が存在する。

神理楽は四神一鏡専属の“傭兵”や、実力者を集めている。

以前は澄百合(すめゆり)学園と言う名の学校があり、
そこが四神一鏡専属傭兵養成学校だった。

しかし、20年ほど前にこの学園は廃校と化し、同じことを
この“神理楽高校”で行っている。
神理楽という言葉の読みを知っている人が少なく、表向きには神理楽(かみりらく)高校と呼ばれている。

もっとも20年前の失敗を糧にして、神理楽高校は“普通”の傭兵学校に近い
教育をしているので卒業生全員が四神一鏡に属さず、一部では世界的要人の
ボディーガードの職につく者もいる。



そんなことを知らない4人は単純に就職先に驚いていた。

「そんなすごい人だったんだ。・・(ボソ)ますますかっこいいな・・・」

「佐天さん、最後の方が聞きこえなかったですけど何と言ったんですか?」

「なな何でもないわよ初春! 気にしないで!!」

呟いた声が聞こえていたら大変なことになるので焦った佐天。

「? 何で声が上ずっているんですか? まあ西折さんの他の情報について調べます」

「まずは能力を調べて欲しいですの。わたくしと同じ空間移動者(テレポーター)のようですが
 ただの空間移動者にしては不可解な点が多くありましたわ」

「了解しました」

端末を操作してすぐに『西折信乃』の個人データが表示された。

「こっちはすぐに出ましたね。
 ってあれ? 能力が未測定ですよ」

端末に表示されている、能力に関わる項目には全て『未測定』とある。

「な、それはどういうことですの!?
 あれほどの能力者が未測定で放っておかれるわけがありませんわ!
 自分自身を瞬間移動している上に相手の動きを封じる能力の応用!
 もう一度調べ直しなさい!」

「未測定なのは仕方ないことかもしれないわよ」

調べようとしていたのを止めたのは御坂の一言だった。

「どういうことですの、お姉様!? あの方が未測定でも仕方がないとは!?」

「黒子近い近い! 一度離れなさい!!」

興奮をそのままに御坂へと問いただす白井。顔の距離が10センチもないほど
近づいる。

「いいえお姉様! 黒子がお姉様と離れることはありませんの!
 今日はこのまま2人きりで熱い夜をアギャギャギャ!!」

話が何故か別のことに変わってそのまま迫ってくる。

お決まりの電撃を浴びせられ御坂の足元で白井は手足がピクピクと動いて痙攣していた。

「白井さん、相変わらずですね・・」

呆れたように初春。佐天は口には出していないが初春と同じ目で白井を見ていた。

「でも御坂さん、仕方ないってどうしてですか?」

仕切り直すように佐天が聞いた。

「それはね、信乃にーちゃんは学園都市に来てから1カ月ぐらいしか経っていないのよ。
 だからまだ身体検査(システムスキャン)を受けてない可能性があるもの」

「・・お姉様・・西折さんのこと『信乃にーちゃん』て読んでますの?」

いつの間にか復活した白井が足元で倒れたまま呆れたように質問した。

「////! いいでしょ別に! 小さい頃から呼んでいる癖がちょっと出ただけじゃない!」

「ですがお姉様、常盤台の生徒ともあろうものが『にーちゃん』だという呼び方は
 あまりよろしくないですの。もっと言葉づかいを正して呼んだ方が
 お姉様のためだと思いますわ」

「う、うるさいわね! 私がどう呼んだって私の勝手でしょ!」

「私も白井さんの意見に賛成です。常盤台中学校の御坂美琴さんが、
 いくら知り合いである私に対してでも『にーちゃん』という呼び方は
 御坂さんの品位を疑われますよ」


男性の声が4人の後ろから聞こえた。


4人はゆっくりと体を後ろに向けた。

そこにいたのは西折信乃、その人だった。

「え、えええーーーー! 信乃にーちゃん!?」

「「西折さんどうしてここに!?」」(初春&佐天)

「ふ、風紀委員の支部に無言で入るなんて不法侵入罪ですわよ!?」

4人は調べていた本人が急に現れてかなり驚いている。

白井にいたっては話をごまかすように風紀委員らしいことを言った。


一方の西折の方はどこ吹く風で笑顔を浮かべながら答えた。

「いえ、私もこちらでお世話になることが決まったのでその挨拶に来ました。
 そしたら私の話で盛り上がっているみたいですから、何も言わずに後ろに立って
 いつ気付くかと楽しみにしていたのに誰も気づかないので声をかけてしまいました」

「い、いつから聞いていましたの!?」

「私がただの瞬間移動者じゃないとか、その辺りからです」

「そうですの。・・・・え"!? 今、何とおっしゃいました?」

「私がただの瞬間移動者じゃないとか、その辺りからです」

「ではなくて、その前です!」

「後ろに立っていたとか、こちらでお世話になるとか、にーちゃんと言う呼び方が
 どうとか言いましたよ。」

「こちらでお世話になる!? どういうことですの!?」

再び興奮する白井。ただし御坂を相手にしたように詰め寄ったりはしない。

「西折さん、何か悪い事でもされたんですか?」

呑気な初春が変なことを言う。

「バカ! 西折さんがそんなことするはずがないじゃない! 私達の恩人だよ!」

何故か力説する佐天。また顔が赤くなっている。おそらく力説が原因ではなく
最後の単語に別の意味が込められていたからだろう。

「ここでお世話になるって・・信乃にーちゃん、まさか!」

答えに予想がつき、驚きの表情のまま口をパクパクと御坂は開閉させる。

そして、西折が4人へ向けて礼儀正しくお辞儀をすた。

「明日づけて風紀委員第177支部に配属されることになりました。
 神理楽(かみりらく)高校1年生。西折信乃と申します。
 未熟者ですがよろしくお願いします。」

「「「「え~~~~!!!!」」」」



つづく

 
 

 
後書き
作中で不明、疑問などありましたらご連絡ください。
後書き、または補足話の投稿などでお答えします。

皆様の生温かい感想をお待ちしています。
誤字脱字がありましたら教えて頂くと嬉しいです。 
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