吾輩は猫である
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無印
吾輩、天敵を見つける
月村家で朝食を喰った帰り、公園で寄り道してからさざなみ寮に戻ろうと考えた。
「それにしてもこの公園は変わらんな~」
猫のまま公園を見渡す。まぁ、2年程度じゃそんなに変わるはずないか。
それにしても……。
「子供が全然いないな」
そうか……ついにこの公園も時代の波に飲まれて過疎化されていくんだな。もう子供は公園で遊ぶんじゃなくって冷暖房完備の自宅で知り合いをゲームをする時代なんだな……。公園に来るのはバカっぽいカップル、ホームレス、変質者……世も末だなおい。
「過疎化していく公園……時代の流れは残酷だな神」
――うんうん、そうだね。最近信仰してくれる人がめっきり減ってね(´・ω・`)
返事が帰ってくるのは分かってたが……神も大変なんですね。
――やっば、オデンのジジイが戻ってきやがった!
お前の上司オデンかよ、てかお前北欧の方の神かよ。
――いや、俺は日本の神だが?
なんでオデンが上司なんだよ! 天照とかじゃねぇの普通!
――あの糞b、天照様はヒッキーです。それに、今はもう神話もグローバル化が進んでるんだよ!
神の世界も世知辛いな。
「ちなみに公園に人がいないのは俺が細工したからだぞ」
「あっ、そうなんですか~」
後ろから突然声をかけられたのでついつい返事をしてしまった。てかこの状況を作ったのは後ろにいる奴らしい。是非ともその顔を拝んで――
「なん……だと……!」
そこにはなのは嬢の幼馴染であり、殺人鬼が命乞いをするほどのゲスい笑顔を浮かべる白衣を着た鬼畜眼鏡がいた。
「波河……一哉」
「俺のこと知ってるんだな」
「なのは嬢が惚れてる相手だからな……のろけ話を5時間も聞かされたわ!」
あの時はきつかった。目を輝かせながら波河一哉について延々と聞かされ続けた。
「そいつはご苦労さん」
「で、吾輩になんのようだ? なんで吾輩のことを知ってるんだ?」
今までこいつの匂いはしなかった。だから吾輩の近くには近づけないはずだ、遠方から見てたりしたら何も言えんが。
「おいおい、そんな可愛い顔を向けんなよ。撫でたくなるだろ」
「野郎に撫でられても嬉しくないわ!」
こんな鬼畜眼鏡に撫でられたら腐った女性の餌にされるだろうが、鬼×混で夏の薄い本が厚くなってします。
「まぁまぁ、俺の研究所に来てくれないか? そこで説明するから」
「研究所……ハッ! 貴様、吾輩を実験する気だな!」
「YES!」
こいつ悪びれもしねぇよ。
「それはそれは、これはこれは、説明した後実験するが」
「嫌に決まってるだろ!」
なんでわざわざこんな鬼畜眼鏡に実験されなきゃならんのだ。
もちろん女性なら歓迎するが。
「報酬付きでも?」
「報酬~? その報酬って何なんだ」
「これさ」
鬼畜眼鏡が白衣のポケットからある見覚えがあるあれを取り出した。
◇<やぁ、僕のこと覚えてるかい?
「またジュエルシードかよ!? 本当に厄介な物だなおい!」
どこぞの魔女を量産させてる白い悪魔並だな。
「お前それどうしたんだ?」
「うちで飼ってるペットに拾わせたんだよ」
拾わせたって、随分と雑な扱いだな。一応これは危険物ぽいし、暴走したら何が起きるか分からない。
それを分かってて喰ってる吾輩はきっと馬鹿野郎なのだろう。だが反省はしない。
「これが食べたいんだろ? やるから実験させろ」
「どんな実験をするんだ?」
実験によっては許可してもいい、ジュエルシードを喰いたいからな。
「何をするだって? そんなの……解剖して、解体して、解析して、接合して、薬物実験して、耐久度を調べて、燃やして、冷却して、改造して――」
気づいたら既に走り出していた。
吾輩はジュエルシードの誘惑を一瞬で忘れ去り、この公園から逃げ出そうとする。
「ぎゃぁぁぁぁぁあああ!! お助けぇぇぇぇぇぇええ!! 変態に壊されるぅぅぅぅぅぅううう!!」
あいつの説明してる時の顔はやばかった。狂気しか見受けられない。
「まったく、面倒だから強制的に来てもらうぞ」
後ろで何か言ってたが吾輩にはまったく聞こえてない。
すると突然地面が光りだす。徐々に光りが強くなり、あまりの眩しさに目が開けられなくなった。
「うおっまぶしっ」
目を開けるとそこは機械だらけの研究所だった。
「ようこそ、俺の研究所へ」
もう相手の腹の中みたいだ。
「ちなみに逃げない方がいいぞ。この研究所もといこの魔術工房は来る者拒まず、去る者死すをモットーに考えて、周りを正規ルートでない限り、異界化された道になってるからな」
もうダメかもしれない。
「大丈夫、傷は付けない……多分」
「今多分って言ったよね!」
「安心しろ、苦しいのは少しの間だけだ。すぐに痛みを感じなくなる」
「安心できねぇよ! それ痛覚が完全に壊れてるだけだろ!」
こいつ笑顔でなんてゲスいことを言いやがるだ。
「さて、逝こうか」
「やめて! 吾輩にひどいことするんでしょ! エロ同人みたいに! エロ同人みt」
「ほざけ」
どこからともなく飛び出てきた機械に触手に捕まり、奥に引きずり込まれる。
謎のポットに引きずり込まれ、閉じ込められてしまった。ポットの周りには何に使うか全くわからない様々な機械があった。
ただ、あの周りで理解できたのはなぜか混じっていたアイアンメイデンとギロチンだ。……殺される!
「あれ? ち、力が出ない」
「そのポット、AMFが展開されてるから魔法系は使えんぞ。それにそれミスリル製だからそう簡単にk「バリバリゴリゴリ」なんで食えるの!?」
魔法が使えなくっても吾輩にはこの口がある!
……ミスリルってどこで取れるんだ? 是非とも採掘しに行きたい。
「仕方ない、このまま実験を開始するか」
待って、今食事中。
「スイッチオン」
ちょっ、待て待てなんか機会が一斉に動き出したぞ! 一つずつ実験するんじゃなくってまとめて実験するのかよ!? いや、待て待てなんでドリルが真っ先に来る!? その後ろになんでアイアンメイデンとギロチンが控えてるんだよ!? これ実験だよな!? これじゃただの拷問処刑だああああああああ!!!!
「みぎゃぁぁぁぁっぁああぁぁあぁぁあああぁぁぁ!!!!!」」
―――――― 実験中 ―――――――
「イタタタタタタタ! 魔力付きのマシンガンを乱射するな!」
「うひょぉぉぉ! 掠った、ビームサーベルが掠った!」
「待て、待つんだ! そんな黒くって逞しいドリルなんて入らない! だかr――アッーーーー!!!」
「らめぇぇぇぇぇええ! そこはらめなのぉぉぉぉぉおお!」
「ひぎぃ!? 逝くぅぅぅ逝っちゃう!! あの世に逝っちゃうぅぅぅぅうう!!!」
―――――― 実験終了 ――――――
「ふぅ……いいデータが取れた。ほれ、約束のジュエルシード」ホクホク
ホレ(゚Д゚)ノ⌒◇
「」ベチッ
「……返事がない、ただの屍のようだ。いったい誰がこんなひどいことをッ!!」
「お前のせいだよ!!! 俺があの黒くってぶっといドリルにどんな気持ちで掘られたと思ってるんだ!」
「どうどう、キャラが壊れてるぞ」
怖かったんだぞ! 痛かったんだぞ! あのドリルが後ろから迫ってくるプレッシャー半端ないんだぞ!
「それにしてもオラクル細胞はかなり万能だな。そういやお前も転生者だっけ?」
「も? てことはお前も転生者ってことか」
「そそ、お前が食ったであろう衛宮と皇咲と同じ転生者だよ。てっきり俺らしかいないと思ったが、猫にいるとは思わんかった」
俺もお前が転生者とは思わなかったよ。
「そうそう、お前が実験されてる間に面白いことが起きてたぞ」
波河が俺を大型スクリーンの前まで来るように合図をしてくる。
「なんだ?」
「これだ」
スクリーンには純白の天使なのは嬢と黒い露出死神フェイトが戦ってるのが映し出された。
フェイト嬢から放たれる黄色い魔力弾をなのは嬢はプロテクションを展開して防ぎながら躱し、なのは嬢から放たれる桃色の魔力弾を目にも止まらぬ速さで避けていくフェイト嬢。
これぞ中二病患者が憧れる戦いってな感じの状況がスクリーン上で繰り広げられていた。
「ああ、なのは嬢、いつの間にかこんなにも逞しくなって……吾輩感動しちゃう」
「たしかに逞しくなったな~。むしろあの戦闘民族高町なのになんであんなに運動音痴なのか疑問だったけどやっと覚醒か」
「いや、なのは嬢は今でも運痴だぞ」
「……じゃなんでフェイトの速さについていけてるんだ?」
「魔法の補助とかじゃないのか? それとも魔法の才能が半端ないとか」
「魔法の才能が天才的なのは知ってる。だけど才能があっても無理なものは無理だろ?」
「そこはなのは嬢の努力ってことで」
とりあえずなのは嬢の努力ということで二人は納得した。
だがなのは=運痴であることはもう二人のあいだで確立した。
「お前、これがなんの原作か知ってるか?」
「カオスでいい。いや全然知らん!」
そうそう、それをずっと知りたかったんだ。
「この世界は魔法少女リリカルなのはの世界だ。もっとも俺らがこの世界に転生したから原作はもう崩れてると思うがな」
リリカルなのは? あ~、あれか魔法少女モノなんてまどマギくらいしか見てなかったよ。
名前的になのは嬢が主人公みたいだな。
「だからあいつらはなのは嬢に付きまとってたのか」
「そうそう、未来のなのはやすずか達は超美人になるからな。桃子さんや忍さんを見れば分かるだろ」
たしかにみんな将来有望だ。だけど小学生にナンパとかあいつら確実にロリコンだと思う。
「お前はどうなんだ?」
「ロリには興味ありません」
ですよねー。
「時と場合によっては気が変わるかもしれない」
「おい」
「もっとも精通してないがな」
それもそうか。
「お、なのはが何かするつもりだぞ」
なのは嬢がフェイト嬢に杖を向けて高らかに叫ぶ。
『フェイトちゃん、これが私の本気だよ! ディバァァァイィィィィン』
杖に魔力が収束されていく。あのくらいならまで出来なくはない。
すると突然2人の間に魔法陣が浮かび上がり、黒い少年が現れ――
『この戦闘は危険すぎる! 今すぐy『バスタァァァァァァァァアアアア!!!』え』
――そして散った。
『クロノーー!?』
『クロノ君ーー!?』
空間に画面が現れ、額になんか付いてる緑髪の女性と茶髪の女性が、おそらく今なのは嬢に撃ち落とされた男の子の名前を叫んでる。
「「……」」
確かに出てくるタイミングが悪かったと思うが、なんというか……ご愁傷様!
「あんなに躊躇なくディバインバスターを撃つなんて、本当になのはのやつ逞しくなって」
「確かに逞しくなったな……ちなみに今の攻撃はどんな攻撃なんだ?」
「魔力を収束させて、相手にぶっぱする力技だが? 応用も効くいい技だぞ」
「……無属性?」
「無属性だ。ただの魔力を収束させて放つだけだしな。でも属性変換ができる奴の場合はその属性になるかもな」
どうやらなのは嬢は吾輩の天敵みたいだ。あんなモノ喰らったら死んでまう。
「いつの間にかフェイト嬢が居なくなってるな」
「あの管理局の執務官がなのはに焼かれたときに逃げていったぞ」
逃げたのか、いや誰でも逃げたくなるよな。
「てか管理局ってなんだ?」
「それを含めてペットが帰ってきたら教えてやるよ」
管理局ねぇ……なんか穏やかじゃないな、なのは嬢も無事だといいんだけど。
『またフェイトちゃんに逃げられたの!? こうなったのも全部邪魔したあなたのせいなのぉぉぉぉぉぉぉ!! ディバインバスタァァァァァァァァァ!!!』
『ぐあぁぁぁああっぁぁぁぁぁ!!!』
『クロノ(君)ーーーー!?』
「「追い打ちかけやがった!?」」
なのは嬢、恐ろしい娘やで。
今回の食事
ミスリル合金
後書き
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