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魔法少女リリカルなのはStrikerS~青年と機動六課物語~

作者:雪月花
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第二部 過去・無印編
  第18話『それは不思議な出会いなの?』

 ここは、海鳴市。海に面した小さな町。物語はとある少女の目覚めから始まる。




 ~♪、~♪、~♪


なのは「んん~ん…」


 アラームの音が鳴り響く。布団から手だけを出して手探りで探してもなかなか見つからない。音は布団の外から聞こえてくる、どうやらいつの間にか落ちたみたい。

私は手を伸ばして携帯を取りアラームを止める。そのまま持ち上げてまだ少し眠たい目を擦りながら身体を起こす。


なのは「……なんか、変な夢……見ちゃったな」


 そう呟き身体を伸ばし窓の外を見る。うん、今日も良い天気。


なのは「よし、着替えよっと」


 パジャマを脱いで制服に袖を通す。そして、髪を結ぶために一階の洗面所に向かう。
ここが私の朝一番の戦場です!


なのは「ん~……うん今日も、バッチリ!」


 今日は早く結べましたが、なかなか上手く結べない時は30分以上かかるときもあります。
次はキッチンに行ってお手伝いです。


なのは「おはよ~」

桃子「あ、なのは。おはよう」

士郎「おはよう、なのは」


 キッチンに行くとお父さんとお母さんがいました。
二人ともいつも私より早起きなんです。


桃子「はい、これお願いね」

なのは「は~い」


 お母さんから飲み物の入ったカップが乗ったお盆を受け取ってテーブルまで運ぶ新聞を読んでいたお父さんに渡します。


士郎「ちゃんと、一人で起きれたな。偉いぞ」


 この人が私のお父さん、『高町士郎』さん。駅前の喫茶店『翠屋』のマスターさんで一家の大黒柱さん。


桃子「朝ご飯、もうすぐ出来るからね」


 そして、お母さんの『高町桃子』さん。喫茶翠屋のお菓子職人さん。綺麗で優しい、私の大好きなお母さん。
ちなみに、翠屋は駅前商店街の真ん中にあるケーキやシュークリーム、自家焙煎コーヒーが自慢の喫茶店。学校帰りの女の子や近所の奥様達に人気のお店なの。


なのは「お兄ちゃんとお姉ちゃんは?」

士郎「道場に居るんじゃないか?」

なのは「そうなんだ…それじゃあ、私が呼んでくるね」

士郎「ああ、頼んだよ」

なのは「うん♪」









 ◇◇◇◇◇









 道場の近くに来るとヒュンッ!ヒュンッ!と風を切る音が聞こえてくる。扉を開けると中でお姉ちゃんが木刀を持って素振りをしていた。


なのは「お姉ちゃん、お兄ちゃん、おはよ~。朝ご飯だよ」

恭也「おはよ」

美由希「あ、なのは。おはよ」


 この二人が私のお兄ちゃんとお姉ちゃん。


なのは「はい、お姉ちゃん」

美由希「ん、ありがとう」


 お姉ちゃんにタオル投げて渡す。それを、受け取り汗を拭う。


恭也「じゃあ、美由希。今朝はここまで」


 お兄ちゃんの『高町恭也』さんは大学一年生。お父さん直伝の剣術家でお姉ちゃんのお師匠さま。


美由希「はい。じゃあ続きは帰ってからね」


 ―――で、お姉ちゃん『高町美由希』さんは高校二年生。









 ◇◇◇◇◇









士郎「今朝の料理は美味しいな♪特にこのスクランブルエッグが」

桃子「ほんと?トッピングのトマトとチーズとそれからバジルが隠し味なの♪」

士郎「みんなあれだぞ、こんな料理上手なお母さんを持って幸せなんだから、わかっているのか?」

美由希「わかってるよ。ね、なのは」

なのは「うん」

桃子「もうやだ、あなたったら♪」

士郎「ははは、照れるなよ。こいつぅ~」

二人「あはははぁ~♪」


 こんな感じで、高町家の両親は未だ新婚気分バリバリのバカップルさんです。時々、見ているこっちが恥ずかしくなったりします。


恭也「美由希、リボンが曲がってるぞ」

美由希「え?本当?」

恭也「ほら、直してやるからジッとしてろ」

美由希「うん」


 お姉ちゃんとお兄ちゃんもとっても仲で私も愛されている自覚はあるんだけどこの一家の中では微妙に浮いているかもしれません…。









 魔法少女リリカルなのはStrikerS~青年と機動六課物語~
 第18話『それは不思議な出会いなの?』









なのは「いってきま~す」


 学校までは、バスで通学なのでバス停に向かいます。
あ、そう言えば私の自己紹介をしていませんでしたね。私は『高町なのは』、私立聖祥大附属小学校に通う小学3年生です。

 バス停に着くとすでにバスは来ていて急いで乗り込みます。


なのは「おはようございま~す」


 運転手さんにもキチンと挨拶をします。


すずか「なのはちゃん」

アリサ「なのは、こっちこっち」


 バスの一番後ろに座って私を呼ぶこの二人は、アリサ・バニングスちゃんと月村すずかちゃんです。一年の時からの友達で今年からは同じ塾にも通ってます。









 ◇◇◇◇◇









なのは「将来か……」


 お昼休み、私たち三人は屋上でお弁当を食べています。
そんな中、私はポツリと呟く。自分が将来何になったらいいのか全然決まってもいないしわからないからです。


なのは「アリサちゃんとすずかちゃんはもう結構決まっているんだよね?」

アリサ「まあね、うちはパパもママも会社経営だからいっぱい勉強して後を継がなきゃなってぐらいだけど?」

すずか「私は機械系が得意だから工学系で専門職がいいなって思っているけど」

なのは「そっか、二人ともすごいよね…」


 やっぱり、私だけなのかな二人みたいに漠然とでも将来が決まっていないのは…。


アリサ「でも、なのはは喫茶翠屋の二代目じゃないの?」


 私の中ではそれも未来のビジョンの一つなんだけど…。


なのは「うん。それも候補の1つなんだけど、私にはやりたい事が他にもあるような気がするんだ。それが何かハッキリしないんだけど。それに、私には特技も取り柄も特に無いし―――」

アリサ「馬鹿ちん!!」


 その声に驚いて私が顔をあげるとぺちゃ!っと顔にアリサちゃんが投げたレモンが当たる。


アリサ「なに自分からそんなこと言ってるの!」

すずか「そうだよ!なのはちゃんにしか出来ないこときっとあるよ!」

なのは「アリサちゃん、すずかちゃん……」

アリサ「だいたい!」


 ビシッ!と私を指さす。その勢いに少し驚く。


アリサ「あんた、理数の成績はこのあたしよりいいじゃない!それで取り柄が無いとはどの口が言う訳!」

なのは「いたい、いたいよ~!」


 アリサちゃんに思いっきりほっぺたを抓られます。アリサちゃんはいつもこんな風に私を慰めてくれます。

だけど…自分に出来る事、自分にしか出来ない事……かぁ。









 ◇◇◇◇◇









アリサ「あ、あったあった。ここを通ると塾に行くのに近道なんだ」

すずか「え、そうなの?」

アリサ「少し足場が悪いけどね。それじゃあ、行きましょ」


 道を歩いていると何か不思議な感じがした。


なのは(私……この道、見たことある)


 それは、昨日見た夢…よくは覚えていないけどこの風景だけは覚えてる。


すずか「どうしたの?なのはちゃん」

アリサ「なのは?」

なのは「ううん、何でもないよ」


 慌てて、否定するけどやっぱり気になるな……。









 sideカズマ・キサラギ









ブレイブハート[マ………スタ……おき………さい]


 頭の中に声が聞こえる…。この声は、ブレイブハートか?疲れてんだよ、このまま寝かせてくれ…。


ブレイブハート[マスター!!]

カズマ「!?」


 ブレイブハートに大声で呼ばれてハッ!と目を覚ます。


ブレイブハート[やっと起きましたか、マスター]

カズマ「ブレイブハート……ここはいったい…?」

ブレイブハート[今サーチをかけていますがとりあえずミッドチルダではありませんね]

カズマ『はぁ?ミッドじゃない!?じゃあ何処なんだよ!』

ブレイブハート[それをいまサーチしています………サーチ完了。ここは、第98番管理外世界通称『地球』です]

カズマ『……は?』


 いま、なんて言った?地球だって?地球ってこの前出張で来たなのはさんとはやてさんの故郷の……。


カズマ『あの地球か!?』

ブレイブハート[はい、その地球です]

カズマ『………』


 まてまて、よく考えるんだ俺……確かスバル、ティアと一緒にロストロギアの回収に行ってそんで回収できてその後ティアともみ合いになって崖から落ちてロストロギアを取ろうとして触ったらロストロギアが……まさか。


カズマ『アレのせいか……?』

ブレイブハート[恐らくは…]

カズマ&ブレイブハート[『はぁ~…』]


 上手いこと溜息のタイミングがあった。なぜいつもいつも、こうやって面倒事が起きるのか。
 まあ、ここでジッとしている訳にもいかないのでとりあえず身体を起こして立ち上がる。一瞬目眩がしてふらつくが何とか耐える。


カズマ『とりあえず、町にでも出るか』

ブレイブハート[そうですね]


 そう、決断して歩き出す。町に出れば翠屋の場所も解るしな。


声「ちょ、ちょっと、なのは!」

声2「なのはちゃん!」


 声が聞こえてきた。しかも、聞いたことあるような声だった。


声3「多分、こっちの方から―――あっ!?」

カズマ「え!?」


 突然茂みからツインテールの女の子が現れて俺にぶつかる。女の子はぶつかった衝撃で後ろによろめいた。


カズマ(な、なのはさん!?)


俺はその顔を見て驚いた。なぜなら、幼いが俺の知っている女性(ひと)だったからだ。


女の子「ご、ごめんなさい!」

カズマ「あ…」


 女の子は一言謝るとそのまま走り去ってしまった。そして、その後を、アリサさん、すずかさんその場に残された俺はただその方向を見つめていた。


カズマ「今のって…なのはさん……だよな…?」

ブレイブハート[はい。幼いですが、高町なのは一等空尉です]

カズマ「わけわかんねぇ…」


 林を抜けた俺は、そのまま公園のベンチに腰掛けて少し考える。
ここは、地球……だけど、なぜここに幼少期のなのはさんがいるのか……解らないことだらけだ。


カズマ「はぁ~……」


 答えが出るわけもなく深い溜息を漏らした………だがこの時の俺はこれが後に運命の出逢いになるとは思っていなかった。
 
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