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万華鏡

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第二十九話 兵学校その十五

「それでなのよ」
「あっ、それでなんですか」
「言われてみればわかるでしょ」
「はい」
 彩夏も先生のその言葉に頷く。
「そういうことですね」
「そうなの、要するにね」
「じゃあ食べないよりも」
「食べる方がいいの」
「今まで通りですね」
 実は彩夏は食べる量自体は節制したことがない、そうしたことはしたことがないのだ。
「そうすればいいんですね」
「ええ。ただ食べるものはね」
「それは気をつけないといけないんですね」
「アメリカ人とかそうでしょ」
 先生は具体的な例を出した、カレーを食べながら。
「アメリカでは太ってる人は出世出来ないっていうけれど」
「普通じゃないからですね」
「アメリカ人の太り方は知ってるわよね」
「あれ凄いですよね」
 彩夏もこのことはよく知っていた、よくテレビやネットで言われていることだからだ。
「お腹のお肉が膝までとか」
「そんな感じでしょ」
「あそこまで太ってるからですか」
「自己管理も出来ないってみなされるのよ」
 それで出世が出来ないというのだ。
「そういうことなのよ」
「そういうことなんですね」
「そうよ」
「食べるものをですか」
「アメリカ人の食事も聞いてるわよね」
「ハンバーガーに」
 まずはこれが出る。
「ピザにフライドポテトにアイスクリームに」
「チキンナゲットやパンケーキもね」
「太るものばかりですね」
「そういったのをいつも多量に食べるとね」
 もうそれでだというのだ。
「流石に駄目だから」
「あそこまで太るんですね」
「出世どころじゃなくてね」
 先生は真剣な顔で語る。
「命の危険があるわよ」
「ですよね、ああいう太り方は」
「太り方もそれぞれなの」
 日本人の多くが考える太り方もあればアメリカ人の太り方もあるというのだ、そしてその太り方こそがだというのだ。
「とはいっても日本だとね、ハンバーガーばかりとか食べないわね」
「フライドポテトばかりとかもですね」
「ああいうものばかりっていうのは」
「そう、ないから」
 だからだというのだ。
「少なくとも和食であそこまでは太らないわ」
「普通に食べていればですよね」
「それですと」
「普通以上に食べてもね」
 和食ならというのだ。
「というか日本人の食べ方なら滅多にあそこまで太らないわ」
「じゃあ私達もですか」
「あそこまで太ることは」
「ないわ、多少太っても気にすることはないから」
 先生はこうまで言う。
「安心してね、ただそれでもね」
「甘いものとかお酒も過ぎれば」
「あとビールとかもですね」
「そういうことは気をつけてね」
 例え極端に肥満せずともだというのだ。
「若いうちからね」
「飲んでもですね」
 美優はおかわりから戻って来てから応える。その皿の上は御飯もルーもたっぷりと乗せられている、二杯目もまた。
「その後で」
「気をつけてね」
「わかってます」
「じゃあこれを食べて」
「はい、それじゃあ」
 こうした話をしてだった、五人は先生や先輩達と共にカレーを楽しみ午後の部活もした、そしてその夜もまた風呂と酒だった。 
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