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リリカルなのは~優しき狂王~

作者:レスト
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第三十九話~家族を望む者と守る者~

 
前書き
はい、更新です。
展開を早めにするために話のテンポを上げ気味になった感じになりました。

では、本編どうぞ

 

 


機動六課・食堂


 フェイトとの模擬戦は、結局ライの負けという結果で終わる。序盤はライが押していた。しかし終盤になると空戦が主体となり、ライの魔力とカートリッジの消費が激しくなり、結果的にはフェイトの粘り勝ちになったのだ。
 その結果に多少の不満を感じているフェイトであったが、それはどうしようもないことであることも理解していたため、次回もライと模擬戦することを約束して彼女は自分を納得させていた。
 そしてなのはが六課の新人メンバーに午後からの訓練を休暇に当てるように言い渡した後、一同は食堂で朝食をとっていた。

「ライ君、自分の服を買いに行こか」

 朝食をとっている中、いきなりはやてがそう切り出した。なのはたちはいきなりのはやてのその発言に首を傾げる。だがライは心当たりがあるのか、少しバツの悪い顔をしている。

「こう言われることになる理由……もう気付いとる筈やけど?」

「ライ君、なんのこと?」

 ライに詰め寄るはやての様子が気になり、同じ机で食事をしていたなのはがライに尋ねる。その質問にライは少し苦笑いしながら答える。

「え~~と…その…実は……持ってないんだ」

「?」

「この世界に来たときに着ていた制服しか、私服持ってないんだ」

「「「「「は?」」」」」

 その場にいた、ライの言葉に耳を傾けていた人たちが呆けた声を発した。
 この機動六課にライが来てから既に三ヶ月以上経っている。その間、ライは管理局の支給品であるワイシャツやスラックス、訓練用のTシャツとズボンを借りることはあった。だが基本的にはアッシュフォード学園の制服を着ていたのだ。
 そのことを知ったはやては何度か服を買うようにライに言っていたのだが、デバイスの作成や訓練などやることが多すぎて後回しにしていたのだ。

「ライ、流石にそれは……」

「どうかと思うよ?」

「うぅ……」

 フェイトとなのはの言葉にライは少し落ち込んだ。

「と言う訳で、新人たちも出かけることやし街に行ってきてな?」

「………でもはやて、僕はお金持ってないよ?」

「あれ?管理局への協力で謝礼があるはずやけど」

「………あっ」

 貰ったことを忘れていたライは間抜けな声を上げた。ライにとっては戦うことイコール仕事と言う意識が無かった為、中身を確認する前に仕舞っていたのだ。
 問題がなくなり、ライが何を買うかのリストを頭の中で考え始めた頃、あるニュースが流れ始めていた。その内容は管理局の地上本部での中将を務めるレジアス・ゲイズの演説の様子を流し、それについての意見を評論家が語るというある意味当たり前に存在するニュース番組である。
 レジアス中将の演説は、昨今の社会の治安や犯罪についての私見から始まり、平和を維持するためには今現在、使用を禁止されている質量兵器、それを解禁し平和を守るために使用すべきであるという内容であった。
 その内容が流れたとき、食堂にいたメンバーは皆顔をしかめてその意見に否定的な言葉を紡いでいく。
 その中でライは彼女たちとは違う意見を考えていた。

「ランペルージはどう思う?」

 黙っているライが気になったのか、シグナムはライに自分の意見を言うように促す。その言葉が聞こえたのか、一同はライの方に視線を向ける。自分が注目されていることを確認したライは一度目を閉じ、自分の考えを頭の中で纏めそれを言葉にしていく。

「私的な意見になるけど、僕は彼の言っていることは間違ってはいないと思う」

 そのライの意見に何人かは驚いた顔をする。何故なら、元の世界で質量兵器の存在がどれだけ危険な物かを知っているライがそれを肯定するような事を言うとは思わなかったからだ。

「理由を聞いてもいいか?」

 質問したシグナムが再びライに聞き返す。

「………もしこの意見が公式的に認められて、一番“安心”するのは誰だと思う?」

 ライはその場にいる全員に語りかけるようにその問いを口にする。質問をされた彼女たちはそれを聞いて、質量兵器を密かに取り扱う、組織や企業を思い浮かべる。だが、ライの回答は違った。

「僕はこれを聞いて安心するのは、リンカーコアを持たない………力を持てない一般人だと思う」

 その言葉を言ったとき、ライの脳裏には虐殺される一般人の姿が過ぎった。

「魔法も兵器も力と言う意味では本質的には同じだと思う。だけどそこには非殺傷設定で安全性、そしてリンカーコアという先天的な才能の有無という条件の2つの要素がある」

 そこでライの話を聞いていた一同は一様に頷く。ライが今喋っているのは、この次元世界における社会の常識になっていることである。それは言われなくても分かっている事なのだが、ライが改めて言うということは何かしらの意味があると思い全員が真剣に聞いていた。

「そして、魔法という力を持つことが出来なかった人たちは戦うための力を持つことが許されず、一方的に『私たちは魔法という力を持っているから貴方たちは力を持たずに私たちに守られます』と言われる。これはとても不安を感じることなんだよ」

「なぜですか?現に魔法という存在が一般人を守っているじゃないですか?」

 ライの言葉に疑問を唱えたのはエリオであった。彼は幼いからこそ自分の力の大きさを理解し、それを誰かの為に使える事を誇りに感じるところがあった。だが、彼の中ではライの言葉を聞こえたまま受け取ると、『魔法を使って、魔法を使えない人を助けるのはその助けた人を不安にさせる』となってしまったのだ。

「確かに魔法の存在に助けられた人がいないとは言わない。だけど、自分たちが使うことが叶わない力をどれだけ見せられても、結局その力の事を本質的に理解できるのは使える本人だけなんだよ」

 どこか諭すように言うライの言葉に一同は口を噤む。
 分からなかったのだ。魔法を生まれた時から使えないという事を。
 今自分が当たり前のように使っている力を自分が一度も使うこと無く、誰かに一方的に使われるという事を。

「それに、管理局は慢性的な人員不足っていう現実的な問題もある。だからレジアス中将が言っていた案は決して悪いものでは無いと思うんだ………言葉が少し過激とは思ったけどね」

「でも……質量兵器が危険なことには変わりないよね?」

 少し遠慮がちにそう尋ねたのはフェイト。彼女は執務官としての仕事で、犯人が質量兵器を使っていたのを見たことがあった為にその危険性を少なからず知っていた。

「それは否定しないけど………質量兵器の中にはスタングレネードみたいに怪我をさせずに無力化しようとするモノも多いから、一概に全てが危険というわけでもないんだよ」

 ライの言葉に何人かが納得の表情をして頷いていた。

(まぁ、この魔法社会の中ではそれ以外にも、質量兵器の導入には色んな意味があると思うんだけどね………)

 各々がライの意見について話し始めたとき、ライは内心そんなことを考えていた。



ミッドチルダ・繁華街


 色々あった朝食を済ませ、ライは繁華街に足を運んでいた。
 まず、ライは服屋に足を運び商品を見ていく。ここに来るまでにミッドチルダのある程度の物価を把握していたライは高くもなく、安くもないぐらいの服を見ていく。
 だがそのライの表情は優れない。別にそれはライの気に入った服がないとかそういうことではない。それにライの表情を言い表すのなら困惑しているというのがしっくりくる。
 何故ライがそのような表情を浮かべているのかというと理由は簡単である。元の世界でもライは自分で自分の服を選んで買ったことがないのだ。
 元の世界でライが着ていた服はルルーシュから借りたものか、もしくは黒の騎士団の制服などしか着ていなかったのだ。だからライは自分にどんな服が似合うのか全く把握していなかった。

(誰かについて来てもらうべきだった………)

 ライが心底後悔し、困惑顔をし始めたときライに声をかける人物がいた。

「お客様、本日はどのようなものをお探しですか?」

 それはその服屋の女性店員であった。
 服屋では一般的なその光景は少し普通とは異なっていた。何故ならその店員の後ろにはその女性店員の他に何人かの店員がライをチラチラ見ながら、幾つかの服を選んで取って行っていたのである。そんな後ろの光景が気になりつつもライは素直に店員に答えた。

「えっと、私服を買いに来たんですけど………何を選べばいいのか分からなくて」

「もしよろしければ、こちらで数点お客様に似合いそうなものを見繕わせていただいてもよろしいでしょうか?」

「………じゃあ、お願いしようかな」

 ライのその答えを聞いた店員は食いつく様にライに提案する。このまま1人で悩んでいたら買い物も進まないと思いライは店員に依頼することにした。
 そこからの展開は早かった。ライと話していた女性店員の後ろで動き回っていた店員が持ってきた服を片っ端から試着し、それを店員に褒められたりその店の他のお客から拍手をもらったりと、てんやわんやでもあった。
 ライの容姿は美形で万人受けする。その為、ライが着飾るだけでそこはファッションショーの会場のようになっていた。客は足を止めライの方に視線を向け、店員は他にライに似合う服はないかと在庫を確認する。それが一時間以上続いた頃、ライはやっと自分が買う物を決め、会計を済ませた。
 その際に買った服をそのまま着て行って欲しいと言う店側の要求を受け入れ、その分服の代金を割り引いてもらっていたりしていた。
 服屋を出てライは少しの間街を歩く。この機会に何か他に必要な物がないかライは考えながら進んでいく。
 そんな時、ライが不意に感じた。

「………」

 その場に立ち止まり無言で辺りに視線を向ける。ライの視界に映るのは、元の世界よりも近未来に感じる街並みとそこを闊歩する人しか見えない。

(………気のせい、か?)

 ライが感じたのはこちらを観察する視線。それは先ほどの服の店の中でライを見ていたお客や店員の視線とは違うものであった。

「………行くか」

 ボソリとライは呟き、その場を離れるように歩みを進めていった。

(………まさか気づかれた?ほぁ~~“兄さん”は勘が鋭いなぁ~~)

 ある人物がそんなことを思いながら、ライが立ち止まった位置から少し離れた位置にいることをライはこの時気付かなかった。



ミッドチルダ・路地裏


 早足で路地裏に入ったライは首にかけていた蒼月を取り出す。

「蒼月、センサーの限定使用。半径五百メートルを円形にスキャンしたい。できるか?」

 ライの声は真剣味を帯びており、蒼月は街中でのデバイスの使用をしてもいいのかを聞くことをせずにライの指示に従った。

「スキャン、開始……………………終了。歩行者の中に魔力反応は多数。但し、魔法を使用中の者、または高ランク魔導師の反応はなし」

 そこまでの報告を聞いてライは『自分の考え過ぎか?』と思ったが、最後の蒼月からの報告で警戒心を解くことをしなかった。

「地下から鉄と布を引き摺る音があります。その音源は現在移動中。その音源は移動物体であると予想。音の大きさからその移動物体は小型と推定」

 それを聞くと同時にライは辺りに視線を巡らせる。そして目当てのもの見つけるとその場に駆け寄る。ライが近寄ったのは地下に繋がるマンホール。マンホールの傍にしゃがみ込みライは蓋を開ける。

「蒼月、その音源までのナビゲートを頼む」

「イエス マイ ロード」

 買った服の入った紙袋を蒼月の収納スペースに格納し、ライは地下の下水道に降りていく。地下の通路にたどり着くと独特の異臭がライの鼻をつく。

(せっかく買った服が台無しだな)

 ライはどこかズレたことを考えながら進み始めた。
 蒼月のナビに従いながらライは複雑な迷路のような地下通路を進んでいく。

「次の通路を右に曲がれば音源の発生源がいるはずです」

「蒼月、パラディン、警戒を」

「イエス マイ ロード」
「ラジャー」

 首にかけた蒼月とポケットに入っているパラディンからの返答を確認し、ライはその角を曲がった。
 ライが曲がったそこにいたのは―――

「子ども?」

 ライは思わず呟いていた。
 ライが言った通り、そこにいたのはボロボロの大きな布を被り、黒い箱がつながっている鎖を足に括りつけられたままヨロヨロと進んでいる幼い少女であった。
 ライの呟きが聞こえたのか少女は俯いていた顔を上げ、視線をライの方に向ける。

(目があった)

 特に理由はないがライはそう感じた。

「………………………………パパ…………………」

「え?」

 一瞬聞こえた言葉をハッキリと聞き取ることができずにライは思わず声を漏らした。

「……ッ!」

 そんな中、急にその少女の体が前のめりに倒れ始める。それに気付いたライは直様彼女を受け止める。
 抱きとめて、その少女がきを失っていることが分かるとライは機動六課への通信回線を開いた。














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ラ「毎度お馴染み、司会進行役のライです」

セ「ギアス代表のセシルクルーミーです」

シャ「リリなの代表のシャマルです」

ラ「お二人は今回、またはこれまでの話で質問はあります?」

セ「ライ君、どうしても確かめたいことがあるの」

ラ「は、はい」(なんだ?笑顔なのにすごく怖い)

セ「ある話で、料理の不味さには上には上がいるみたいなことを言っていたのは誰のことかしら?」

ダッ!!(ライは逃げ出した!)

ガシッ!!(しかしライはバインドに捕まった!)

セ「うふふ♪」

(セシルはサンドイッチを取り出しライの口にねじ込んだ!)

ラ「ムグッ!?」

(ライは気を失った)

ででっででっで~~~ん♪(某世界の不思議を見つけるバラエティの人形没収のSE)

(その後シャマルとセシルの料理談義が盛り上がり、2人の創作料理スキルのレベルが上がった!)

(そして、司会がいなくなった為このコーナーは終了した)




 
 

 
後書き
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