ヘタリア大帝国
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TURN72 レーティア救出その九
「イタリンの首脳部が全員ね」
「それで警戒も緩いか」
「多分逃げられてもどうでもいいと思ってるのよ」
そこまでイタリンには適当なエイリスだった。
「実際エイリス軍はイタリン軍には何でもなく勝っていたというかイタリン軍はエイリス軍を見たら泣いて逃げ去っていたから」
「それは少し」
日本はそんなイタリン軍のことを聞いて引いていた。
「あまりにも」
「弱いっていうのね」
「戦力としてどうかと思いますが」
「そこがイタリア君達の可愛いところだけれどね」
グレシアもまたドクツ人だった、とにかくイタリンには優しい。
「私はいいと思うけれど」
「いいのですか?」
「可愛いでしょ。フォローはこっちですればいいし」
「そういうものでしょうか」
「あれで本気になってくれる時もあるから」
「それはどういう時ですか?」
「十一人以下で戦う時よ」
つまりサッカーの時である、戦争ではない。
「スポーツでは物凄く強いわよ」
「そのことは私も知ってはいますが」
「とにかく。統領さん達も入れて」
それでだった。
「日本に行きましょう」
「わかりました。それでなのですが」
「どうしたの、今度は」
「はい、総統のお姿が見えませんが」
日本は艦内を見たが確かにレーティアの姿だけはない。主だった顔触れは全員この艦橋にいるがそれでもだった。
「一体どちらに」
「総統はご自身の部屋におられます」
「そこにですか」
「脱出されてからずっとそこにおられます」
「船酔いではないですね」
「総統閣下は船に慣れておられます」
だからそれはないというのだ。
「ですがそれでも」
「お疲れなのでしょうか、また」
「ベルリンを出てからどうもお元気がありません」
ここでオーストリアもこう言う。
「塞ぎ込んでおられます」
「ドクツを見捨てて逃げたと思っているな」
東郷はその話を聞いてすぐに察した。
「ドクツを救えなかったと自分を責めそして何も出来なかったと無気力になっている」
「あの娘が、なのね」
「そうだ、だからここにも出て来ない」
東郷はグレシアにも話した。
「そういうことだろうな」
「まずいわね、折角命は助かったのに」
レーティアの虚脱状態はグレシアにとってもいいことではない、プロデースしている立場としてこう言うのだった。
「それではどうしようもないわ」
「どうするべきかな、ここは」
「とはいっても今はどうしようもないわ」
脱出している途中の艦内ではというのだ。
「時間を開けてそれでどうするかしかないわね」
「そうだろうな。だがレーティア=アドルフは人類にとって必要だ」
最早ドクツだけでなかった。
「何とかまた立ち上がってもらうか」
「ええ、日本に着いたらね」
グレシアもレーティアのことは心から心配して言った。そうした話もしながら一行はベルリンを脱出して日本に向かっていた。
レーティアがベルリンを脱出したことは連合軍の面々はまだ誰も知らない、カテーリンはモスクワにおいてモスクワに戻ってきていたロシアに対して言っていた。
「レーティア=アドルフは絶対に許さないから」
「この戦争を引き起こした張本人としてだね」
「そうよ、あの娘と宣伝相のグレシア=ゲッペルスは人民裁判にかけるから」
そしてだった。
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