久遠の神話
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第四十五話 二度目の激突その一
久遠の神話
第四十五話 二度目の激突
上城と樹里は今学校の屋上でパンを食べていた。丁度昼で購買のパンを買ってだ。一緒にパックの果物のミックスジュースを飲んでいる。
そのパン達の中のハムサンドを食べながら樹里は言う。
「購買のパンもひょっとして」
「あのお店のパンかも知れないっていうんだね」
「同じ味がするけれど」
それでそう思うというのだ。
「違うかしら」
「どうだろうね。そういえば商業科に」
「あのパン屋さんの娘さんがいるらしわね」
「うん、いつも一緒にいる娘が食堂の娘さんでね」
上城はロシアパン、やたら大きな柔らかいコッペパンを食べながら樹里に応える。
「そこのトンカツとカレーが凄い美味しいんだって」
「ふうん、そうなの」
「うん。それでこのパンもね」
上城はロシアパンの味を確かめる。その味はというと。
「あのお店の味かな」
「そうよね。この味って」
「あのお店うちの学園にもパン出してたのかな」
「そうじゃないかしら。パン屋さんにしたら学校の購買って」
それがどうかというと。
「かなり大事だから」
「契約先としてだよね」
「だって。皆買うのよ」
実際に今彼等も食べている。
「それを考えたらね」
「学校の購買にパンを出せたら」
「大きいわよね」
「うん、それこそそれだけでお店やっていけるだけだね」
「それだけ売れるからね」
「じゃああそこのお店かな。けれど」
しかしだと。上城はそのロシアパンを食べながらこう言った。
「あのお店普通のお店だったけれど」
「商店街のお店よね」
「うん、だからね」
それでだというのだ。
「学校の購買にまで出せるかな」
「そこまで大きくないのね」
「購買のパンって多いじゃない」
上城はこのことを樹里に対して言う。樹里は今はハンバーグサンドを食べている。そのハンバーグのボリュームも中々だ。
「数もね」
「特に量はね」
「そうだよね。だから」
「うちの学校に出すには」
「普通購買のパンって木村屋とかじゃない」
老舗の企業だ。明治帝にアンパンを提供した企業でもある。
「そうした企業だからね」
「ちょっと、なのね」
「うん、ないんじゃないかな」
こう言うのだった。
「あのお店じゃね」
「それか購買で独自にパンを作ってるとか」
「そうじゃないかな。うちの学校大きいからね」
とにかく巨大だ。日本はおろか世界随一のマンモス校だ。
「だからね」
「学校でパンを焼いてるのね」
「給食みたいにね。それ専門のパン屋さんがあるとか」
「あっ、だったら」
サンドイッチの合間にフルーツジュースをストローで飲んだ。それから樹里は再び上城に対して言ったのだった。
「あのお店の親戚かご兄弟の人がね」
「うちの購買で働いてて」
「パンを焼いてるんじゃないかしら」
樹里はこう推理した。
「これだったらあるわよね」
「そうだね。あるね」
上城も樹里のその言葉に頷く。
「充分ね」
「だったらこの味も納得がいくわよね」
「兄弟だったら。同じ人に教えてもらってたりするから」
親だ。親がパン屋ならそうなるというのだ。
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