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ハイスクールD×D~まれびと~

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少年期 始まりの第一話 ~初めての戦闘のお話~ 後編

 
前書き
後編です
 

 

「反撃開始ってか? バカかオメェは。足はガタガタ、目の焦点はあってねぇ。
降参しろ、そんな状態で戦えるほど俺は弱かねえ」
「バカはてめぇだ。少なくとも審判は俺を負けとは言ってない!」
根性、根性、根性だ。
「はぁ、まあこういう童貞野郎(せんとうしょしんしゃ)を折るのが最初の模擬戦相手の役目とはいえ、4年も前は俺がこうだったとは笑えんな」
「ハァアアアッ!」
炎を纏い接近戦(どつきあい)
それが俺の勝てる唯一の方法だ。
少なくとも威力の低い炎のムチでは奴にダメージは与えられん。
ならば肉弾戦。接近戦しか勝ち目がねぇ!
「アオイな少年!」
その戦いに奴も乗ってきた。
アイツはそもそも遠距離から削っていれば俺を簡単に倒せるのだ。
そうしない理由は今やつが言った。
――初めて戦う奴を折るのが最初の対戦相手の役目。
ならば勝ち目はあるだろう!?
「おいおい、勝ち目があるとか思ってんのかヨ」
「・・・・・・」
「俺はテメェより六つ年上、身体能力に大きな差がある。もっと言うならば能力もかなり洗練されている」
視界が揺れる。
「勝てるわけねえだろ」
体の感覚がない。
何をされた?
振動。
そうだ、振動だ。
やつの力は振動。
かなりの振動を拳に乗せて顔面を殴られた。
脳みそを掻き回されて、人間は立っていられるように出来ていない。
どうしたら勝てる?
・・・・・・進化しかないじゃないか。
暗転した視界。
クリスタルでできたような部屋。
そこに螺旋に捻くれた炎の階段があった。
それは進化の(きざはし)
種の進化の象徴、DNAの二重螺旋構造に似ていた。
足をかける。
恐怖、恐怖、恐怖。
圧倒的な恐怖。
進化の、退化の恐怖。
その恐怖をねじ伏せる。
登るのだ。
やつに勝つにはソレしかない。

「こんなことで登れるかよ」
ただの模擬戦。
勝てない。だから登ろうなんて簡単に考えていいことじゃない。
ココロが弱くなっている。
負けそうになったら登ればいいなんて考えてしまっている。
そんなんで勝てる訳無いじゃないか。
逃げるのかよ、俺!
俺の憧れた存在は、その信念を貫き通すために登った。
大した思いもなく俺が登れるわけないじゃないか!
「負けん!」



side金垣伊豆木

「負けん!」
「おいおい、まだ立つのかよ」
俺は呆れ返ってしまった。
凄まじい根性である。
初めての戦いで天狗に成っていたところを、天津和正(結構遠くの村の大気操作能力レベル9、俺と同い年の十四歳)に鼻っ柱をおられてから、もう負けないように修行した。
模擬戦初めてのやつには実力者が当たる。
同年代で最も強い奴が模擬戦に出る、そいつらは大抵天狗になっているのだ。
その鼻をへし折ってやり、向上心を持たせる。
それがこの模擬戦の裏の顔の一つでもあるのだ。
「はっ目が霞むし、吐きそうだし、体の中はグチャグチャだ。でも倒れる理由にはなんねぇ。
俺は負けん! そう約束したし、俺の信念が俺が折れることを許さねえ!」
面白い、こんな根性持ってる奴は初めてだ。
洗礼を受けた者たちは、その自尊心を折られ、大半は潰れてそこそこの能力者になって、その成長は停滞する。
おれもそう言う奴になりかけたし、今村のために戦っている奴らのほとんどが折れたまま立ち上がれないやつらだ。
天才。
それが俺の頭によぎった。
本当に面白い、是が非でも折ってやらなきゃならないだろう。
折れてそのままならばそこまでの奴だが、もし立ち上がることができたならコイツはもっと強くなれる。


side out

戦闘経験において劣る。
身体能力において劣る。
能力の技術において劣る。
そもそも研鑽した年月に劣る。
いかに転生したとしても、その身体能力は八歳のものだ。
六つも年上の十四歳のやつにそうそう勝てるもんじゃない。
俺にあるアドバンテージは人生経験と知識くらいだ。
戦いを生業にしてきたやつとは鍛えた年月が違う。
前世で格闘技習っていたわけでもない俺は、この世界に転生してきてから基礎能力の向上しかしてこなかった。
それでもやはり年齢による差は大きい。
体格が全然違う。
小学一年生と中学二年生の喧嘩は中学生が勝つのが当たり前だ。
これはそういった戦いなのだと自覚した。
だがそれが何だ。
憧れた存在はこんなことで諦める存在じゃない。
―――信念は、炎にも似ている
不屈。
闘志を燃やせ、燃え尽きるほどに。
「ォラァ!」
「お返しィイイ」
拳を打ち付け合う。
奴は振動を載せて、俺は信念(ほのお)を乗せて殴り合う。
俺の体は炎で出来ている。
振動が効くはずないじゃないか!
俺の能力は肉体を転化するほどの能力じゃない。
単なる思い込みだ。
現に拳は砕けている。
それでも打つ。
「オラオラオラオラオラァッ!」
「無駄無駄ァ」
JOJOとは程遠いラッシュの打ち合い。
「―――クッソ」
負けたのは俺だった。

 
 

 
後書き
まあ当然の帰結です。
訓練を初めて二年程度の二次成長も始まらない少年に、十四歳の、それも四年も必死で研鑽した人間に勝てるわけがない。
というわけで久しぶりの更新です。
エタったワケじゃないよ!? 受験戦争が厳しかっただけなんだからね。と言い訳を。
とは言っても本当に厳しい。この一年は息抜きにしか更新できないかもしれません。
まあ一応プロットはあるのでゆっくり進めたいとは思います。
今回で二年も進めてしまいましたが、次回はなんで負けたくなかったかのお話だと思います。
キンクリはしないと思います。 
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