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問題児が異世界から来るそうですよ?~あれ?なんか人数が多い?~

作者:ほにゃ~
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第三話 箱庭の説明だそうですよ?

「あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは。学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス。ルーシャも助けてくれませんし」

「悪かった、悪かった」

へらへら笑いながら黒ウサギの頭を撫でてご機嫌をとるルーシャ。

「いいから、さっさと説明しろ」

取りあえず、話だけ聞くことになり全員で黒ウサギの前の岸辺に座る。

黒ウサギは気を取り直したのか咳払いをし、両手を広げた。

「それではいいですか、皆様。定例文で言いますよ? 言いますよ?さあ、言います!ようこそ“箱庭の世界”へ!我々は皆様にギフトを与えられたものたちだが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召還いたしました!」

「ギフトゲーム?」

「そうです!既に気づいていらっしゃるでしょうが、皆様は、普通の人間ではございません!その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます」

「『ギフトゲーム』はその“恩恵”を用いて競い合う為のゲーム。そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者が生活できる為に造られたステージなんだよ」

黒ウサギとルーシャの説明に飛鳥が手を上げて質問する。

「まず初歩的な質問からしていい? 貴女の言う“我々”とは貴女を含めた誰かなの?」

「YES! 異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって、数多とある“コミュニティ”に必ず属していただきます♪」

「「嫌だね(よ)」」

十六夜と栞が無情にも断る。

「属していただきます!そして『ギフトゲーム』の勝者はゲームの“主催者(ホスト)”が提示した商品をゲットできると言うとってもシンプルな構造となっております」

「主催者って誰?」

耀が控えめに手を上げ聞く。

「様々ですね。修羅神仏が人を試すための試練と称して行われたり、 コミュニティの力を誇示するために独自に開催するグループもあります」

「前者は自由参加だが、“主催者”が修羅神仏のため、凶悪かつ難解で中には命を落とす物もあるが、その分見返りは大きい。場合によっては新しい“恩恵(ギフト)”を手に入れることもある。後者は、参加にチップが必要。参加者が敗退すれば“主催者”のコミュニティに寄贈される」

「後者は俗物ね。チップには何を?」

「様々です。金品・土地・利権・名誉・人間……そして、ギフトも賭けることができます。新たな才能を他人から奪えればより高度なギフトゲームを挑む事も可能です。ただし、ギフトを賭けた場合、負ければご自身の才能も失われるのであしからず」

そういう黒ウサギの顔には黒い影があった。

「そう。なら最後にもう一つ。ゲームそのものはどうやって始めるの?」

「コミュニティ同士のゲームを除けば、期日内に登録すればOK! 商店街でも商店が小規模のゲームを行っているのでよかったら参加してください」

「……つまりギフトゲームとはこの世界の法そのもの、と考えてもいいのかしら?」

お? と驚く黒ウサギ。

「ふふん? 中々鋭いですね。しかしそれは八割正解二割間違いです」

「この世界でも強盗や窃盗は禁止だ。金品による物々交換も存在する。ギフトを用いた犯罪なんかもってもほかだ。そんな不逞の輩は悉く処罰される」

「しかし! 先ほどそちらの方がおっしゃった様に、ギフトゲームの本質は勝者が得をするもの!例えば店頭に置かれている商品も、店側が提示したゲームをクリアすればただで入手することも可能だと言うことですね」

「そう。中々野蛮ね」

「ごもっとも。しかし“主催者”全て自己責任でゲームを開催しております」

「早い話、奪われるのが嫌な腰抜けは初めからゲームに参加しなければいいだけの話だ」

黒ウサギは一通りの説明を終えたと思ったのか、一枚の封書を取り出した。

「さて皆さんの召喚を依頼した黒ウサギたちには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。が、それら全てを語るには少々お時間がかかるでしょう。新たな同士候補である皆さんを何時までも野外に出しておくのは忍びない。ここから先は我らのコミュニティでお話させていただきたいのですが………よろしいですか?」

黒ウサギが確認を取るように聞いて来る。

その中、十六夜が手を上げた。

「待てよ。まだ俺たちが質問してないぜ?」

その声は威圧的でいつもの軽薄な笑顔が無かった。

「……なんの質問だ?ルールか?それともゲームそのものか?」

ルーシャは十六夜達から何かを感じ取ったらしく含み笑いで尋ねる。

「そんなのはどうでもいい。腹の底からどうでもいいぜ、ここでお前に向かってルールを問いただしたところで何かが変わるわけじゃない」

「世界のルールを変えようとするのは革命家の仕事であって、プレイヤーの仕事じゃないわ。私たちが聞きたいのは………たった一つ」

十六夜が目を細めて、栞は不敵に笑う。

四人を見まわし、天幕に覆われた都市を見上げる。

そして、何もかも見下すような視線で一言






「「この世界は………面白いか(かしら)?」」

十六夜と栞の目は至極真面目だった。

『家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨てて箱庭に来い』

手紙にはそう書いてあった。

俺達は全てを捨てて箱庭に来た。

それに見合うだけの催し物はあるのか?

それは、ここにいる六人には重要なことだ。

十六夜の質問に黒ウサギはニッコリとルーシャはニヤリと笑いながら宣言する。

「YES。『ギフトゲーム』は人を超えたものたちだけが参加できる神魔の遊戯」

「箱庭の世界は外界より格段に面白いと、保証する」 
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