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鋼殻のレギオス 勝手に24巻 +α

作者:
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六話(終)

 
前書き
 注意:ウルトラCな終わり方します。それと短い。 

 
 静かになった戦場、そしてそれを取り囲む都市からは歓喜の声が沸き立っていた。
「アイン」
「サヤ、これでお前の眠りを妨げるものは無くなったな」
 近寄るサヤに答えるアイレイン。だが、
「実はそうでもないのよ」
 横から割り込む声、その主は額に宝石を持つ黒猫だった。
「どういう事だエルミ」
 エルミ・リグザリオ、アルケミストの一人でこの世界の創世にも関わりがある者。外見は猫の姿だが実際には七色に光る宝石内の異空間にいる。
「簡単なことよ、あなたが月の姿をやめて元に戻ったからこの世界を維持できなくなるのは当たり前でしょう」
「いや、あれはエネルギーの供給をエルミに替わってやるためで、壊されたのを直す時間は十分に合っただろう」
「在ったわよ、時間は。やる気が無いからやってないけどね。当たり前でしょ、私にとってはイグナシスとその手下を殺す事だけが目的で他はどうだっていいんだから」
「なら俺が……」
「耐えられるかしら、昔のあなたなら兎も角今のあなたに」
「えーっと、話してるところ悪いんだけど説明してくれるかしら」
 よくわからないが不穏に聞こえるとアルシェイラが口を挟む。
「別にいいわよ。この世界はサヤが造ってサヤが維持している。でもサヤだけで完結してるわけじゃない。アインが必要だったのよ。この世界そのものはサヤの力によるものだけど環境だとかそういった人が生きるのに必要なものはアインがいないと成り立たないようになってたの」
「それじゃどうして対処しようとしないのよ」
「興味が無いからよ。もう私にとってこの世界があろうと無かろうとどっちだってかまやしないから」
「なんですって」
「やめろ、エルミはそういう奴だ。文句言っても始まらん」
 激昂してエルミに掴みかかろうとするアルシェイラをアイレインが止める。
「でもどうにも出来ないって言ってるわけじゃないわ、アインとサヤの代わりを作ればいいのよ」
「俺はともかくサヤまで必要なのか」
「それはそうよ、サヤにだって限界があるんだもの。サヤが存在することに問題は無くても機能として次第に劣化することは避けられないでしょ」
 つまるところこの世界という大枠を維持するサヤと、それに対しエネルギー供給という形で内部環境の継続性を維持しているアイレイン。この二人と同じ働きをするものが必要となっている事だ。
「そんなものどうしろって言うんですかね」
 重大なことは理解していても解決策など女王や天剣にだって見出せはしない。汚染獣と殴りあうことにかけては他の追随を許さないが所詮この状況で必要なものではない。
『サヤの代わりならば妾達が務める事が出来ましょう。そもそも電子精霊はサヤの機能を基にしたもの。みなの力を集め純化させればそれも可能でしょう』
 そう話してきたのは両手は鳥の羽だが姿は人、半鳥半人の姿をした電子精霊の母シュナイバルだ。
「ま、電子精霊は元々サヤの劣化コピーだし出来ると思うわよ」
 電子精霊をモノ扱いするのに皆不快感を禁じえないが文句を言っても始まらないことも分かっているため口には出さない。
「それに幾ら頑張っても核となる人物がいないとだめよ。それはあなたね」
 エルミの視線の先にはニーナがいた。
「私が?」
「そうよ、あなたは武芸者であると共に電子精霊でもある。ただ憑依しているだけじゃない、無理に延命するために欠損を電子精霊で補っているわけでもない。文字通り一心同体となってるって訳」
 廃貴族のように寄生と宿主の関係ではなく、ジルドレイドのように死に掛けた者と一種の生命維持システムのような関係でもない。
 完全に同一となっていて分かれるという事は不可能となっている。もしも強制的に分離させられた場合ニーナも幼き電子精霊も死ぬことになる。
「あなたはアイレインとサヤの子と言ってもいい存在なのよ。覚醒してないだけでやろうと思えばサヤと同じ能力を発揮できるはずよ。そんな人間は他にはいないわね」
「それなら」
「但しあなたは死ねないわよ。あなたが死ぬと言うことはこの世界の死を意味するのだから。今のあなたの知り合いが皆死んでも生き続けなければいけない。どれ程の孤独を感じようとも周囲の全てが変わっていく中で唯一変わることを許されないのよ。簡単じゃないわ」
 エルミは淡々と語るがその内容はゾッとするほどの迫力を備えていた。
「ニーナだけに背負わせるなんて出来ません、私達には何も出来ないんですか」
 クララの叫びに答える声はない。ニーナと言う人物が持つ状況の特殊性、それを鑑みるとただの武芸者に過ぎない自分達ができることなど何も無いと言わざるを得ないからだ。
「一応何も手が無いってわけじゃないだろ、エルミ」
「どういうことかしら、私が間違っているとでも」
 挟まれたのは予想外の人物、アイレインだった。
「サヤの力が発現するのなら俺の右眼も出ておかしくないだろ。俺みたいに取り込めば共に居る事も不可能じゃないだろ」
「そんなの詭弁ね、自分の意識の中だけなんて幻聴と同じじゃない。実際に会えないんだから……とは言ってもそれが限界かもね。それであなたはどうなの」
 蚊帳の外に置かれていたニーナに再び話が向く。
「例えそうだとしても私がやらねばならんのだろう」
「ニーナ、そんな事は……」
「これは私以外には出来ない事だ。それにこれからのことなどわからない」
 クララとしても引き下がりたくは無いが引き下がらざるを得ない。
「シュナイバル」
『ええ、分かっています』
 シュナイバルが答えると電子精霊が集結しニーナに向かっていく。
 余りの光に皆が目を閉じ、光が収まり目を開けると電子精霊の姿は無かった。
 そして両の目を閉じていたニーナが目を開けるとその右眼には茨輪の十字が刻まれていた。
 それと同時にニーナから見えない波動のようなものが生じ世界に波紋となって広がっていく。
 大気中の汚染物質を排除しエア・フィルター無しでの行動に支障がなくなったのだ。
 汚染獣による脅威が消え失せレギオス内に留まり、都市が移動することもないそんな世界が目の前に広がっていた。

                  (終)

 唐突で申し訳ないがこれ以上の理論構成と展開に行き詰まったので。
 はっきり言って、これだとニーナの将来に絶望しかない。それを何とかしたかったが出来なかった。
 これ以上考えてもいい案が浮かびそうに無いのでぶつ切りで申し訳ないがこれで御仕舞いとさせていただきます。




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 以下小ネタとか

 ・周りの都市の連中が何もしなかった理由
 天剣が単独で出撃するのは天剣以外と連携できないから。と言うか一般レベルが参加しようとしたら間違いなく巻き込まれるだけ。
 それにイグナシスが居なくなって汚染物質(オーロラ粒子)を降らせるシステムが無くなって剄の元が少なくなるはず。
 さらにヴェルゼンハイムの炎は火神の炎なので周囲のオーロラ粒子を燃やして天剣クラス以外は剄を満足に練れなくなるはず。

 ・ヴェルゼンハイムが弱い理由
 戦場が荒野→都市の被害を気にせず全力を出せる。
 サヤが居る→遮断スーツを着なくていい→余計なこと(怪我とか)を気にせず戦える。
 天剣やアイレイン達が居る→フルボッコになる、というか苦戦する姿が思い浮かばなかった。

 ・レイフォンが居ない理由
 相棒(説得役)はクララにしちゃったし、連弾は使わない(嫌いだから)、もらった錬金鋼は簡易複合錬金鋼だった(と言うことは鋼糸は使えない。)。
 とすると周囲の雑魚を狩ってるしかないが描写が面倒だった。

 ・あんな終わり方をさせた理由
 倒して平穏におしまい、と言うのは面白くなかったので問題を発生させてみた。
 かといってあの世界なくなったら困るし、元の世界(本土)に戻すことも不可能じゃないと思うがそんな事されても皆して困るだけ。
 間違っても解除して全員をオーロラフィールドに叩き込むなんてのは論外。なので代わりを作ってみた。10巻でそんな事言っていたし。
 なんて考えたら非常に困ってしまい適当な終わり方になってしまった。反省。



 ・ディックを元に戻すのも考えてはみた。
「先輩はもう元に戻ることは出来ないのか」
「場合によっては不可能じゃないな。此処はサヤの領域だからな、オーロラ粒子の濃度が十分にあってそれに働きかけられるだけの意志があればな」
 (中略)
「おい」
 空に穴が開きアイレインがニーナに呼びかける。
「今ならオーロラ粒子の濃度は十分だ。後はお前次第だな」
 それを聞くと一直線にヴェルゼンハイムに向けて突進する。
 活剄衝剄混合変化、雷迅。
 ヴェルゼンハイムの炎を衝撃波で飛ばしながら一気にその身に上る。
 空白となった所を炎が埋めようとするのを断続的に放つ衝剄で取らし、両の鉄鞭を突き刺し体を固定する。
「先輩、先輩はこれでいいんですか」
(ああ、お前か。そうだ、これでいい)
「でも私は納得できません。必ず取り戻します」
(俺はお前らが居るのならそれでいい)
 ヴェルゼンハイムの片隅で僅かに残ったディックの欠片にその声は届いていた。
「先輩がどう思っているのかはわかりません。ですが欲しいものは力ずくでも、勝手を通せばいいと先輩が教えてくれたことです」
(そんなこともあったな、それでどうする心算だ)
「だから先輩にも決めてもらいます。私に協力するか、それとも私に引っ張り出されるかを」
(俺が記憶を剥ごうとしたときあいつに言ったことじゃねえか)
「そもそもヴェルゼンハイムを此処に引き落とすことが目的だったのならもう達成されてるはず。なら私は先輩を助け出します」
(そうだな、こいつが逃げられない以上心中してやる必要は無い、か。いいだろう)
「(うおおおおぉぉぉぉぉ)」
 その瞬間眩い光が奔ったかと思うと傍に誰か降り立つのを感じた。
「ったく、お前はそんなヤツじゃなかったと思ってたんだがな」
「先輩の強欲がうつったんじゃないですか。会うたびに先輩の強欲に巻き込まれてましたから」
「ま、そうだな。じゃあ、いくぞ」
「はい」

 見たいな感じで。レジェンド一巻でアイレインを戻したときと同じ方法。
 ついでに思いついた小ネタ
「うおおおおぉぉぉぉぉ」
 そのときニーナには時間が停止したように感じられた。周囲の炎さえ揺らめきを止め意識のみが動いている。
「おめでとう、ニーナ・アントーク」
 何処からか差す光の逆光の中に何かがいる。猫のようなシルエットをした小型のものだ。
「君の願いはエントロピーを凌駕した。さあ、君が望むのはなんだい」
「私は……先輩を元に戻したい」
『魔法少女ニーナ・マギカ』始まり……ません。

 ・天剣(所持者が居ない物)の扱いについて
 周囲の都市から持てるのが六人出てくるなんて無茶すぎるので放置しました。
 でもディックを戻すなら一本はあげてもいいかな。
 更に他の五本にも持ち主をつける場合こんな感じになるかも。

 戦場に所持者の居ない五本の天剣が浮いている。
 そのうちの一本が光を放ち、収まった時そこに一人の武芸者が居た。
 復元状態の天剣を手甲、足甲として装備している。
「天剣か、懐かしいものだな」
 呟きに誘われtるように念威端子が近づく。
『あなたは、グレンダンの者ではないようですが』
「グレンダン……知らんな。私は始原都市サヤの王に仕えし初代の天剣授受者だ」
『初代天剣授受者ですか、そんな馬鹿な』
 その男は重厚な体つきと大樹のような安心感を併せ持っており、サヴァリスとは似ていなかったが何処か通じるものを感じさせた。
『まさか、あなたは初代ルッケンス……なのですか』
「我が武門が未だ残っているかは知らぬ、だが私がルッケンスの武門を造ったことは確かだ」
 そんな話をしている間に他の四本の天剣も光り、人影を現す。

 ま、こんな感じで千人衝を使って証明したりして。
 初代ルッケンスはディックと関わって裏に入ったみたいだしそんな感じで過去にディックと関わりすぎて裏に踏み込んだ天剣級がやってくる、と。
 はい、ご都合過ぎです。うんわかってます。
 始原都市サヤ。グレンダンは廃貴族グレンダンが来てからグレンダンと言う名前になった筈でそれ以前の名前が当然あるはず。と言うことで捏造。 
 

 
後書き
無茶苦茶な終わり方ですが感想等あったらぜひお寄せ下さい。
終と名ついてますが最後に本物の感想を入れるつもりです。 
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