【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
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役者は踊る
幕間 「その日少年にあったこと、あの日少年が思ったこと」
前書き
ストーリーはほとんど進まないし、無きゃ無くてもいいかなってレベルの話。
どうでもいいが我が友が最近寝坊しまくっている。パチスロのしすぎで・・・
前回のあらすじ:負けた一夏ェ・・・
ベルーナは久方ぶりの休息を満喫していた。クラス代表決定戦を見物するために多くの生徒が出払った結果、ベルーナは本当に久しぶりに保健室で一人きりのゆったりとした休息の時を迎えていたのだ。(保険医さんは保健室内の別室でお茶を啜っている。)
「・・・今日はオリムラもノホトケも流石に来ないだろう・・・」
遠くに見えるアリーナを見ながらそう呟く。オリムラは試合に参加するから当然保健室には来ない。ノホトケも自分のクラスの代表が決まるのだから当然見に行っているはず。この1週間、自分の采配ミスのせいで余計に接近してくるようになったクラスメートは、今日は会わずに済む。
――ガラガラガラ・・・
「・・・?」
何の音だろう。滑車が回るような音が保健室に近づいて―――
「おりむーしっかり~。保健室着いたよ~」
「う、うぅーん・・・」
「・・・・・・」
「あっ、べるる~ん!おりむーをベッドに移すの手伝って~」
「・・・・・・」
既に保健室を出て行くモーションに入っていた足がピタリと止まる。バレないうちにと思ったが、そういえば保健室に出入り口は一つしかないから気付かれず出ていくなんて無理だった。何故ノホトケがオリムラを連れてきたのかは分からないが、ノホトケの目は少し潤んでいるように見えた。・・・一瞬懐に目薬をしまった様な気もするが。
正直、関わりたくない。この学校の馴れ馴れしい生徒筆頭であるノホトケに少しでも好印象を与えてしまっては彼女たちを拒絶した意味が無くなってしまう。曲がりなりにも自分が行った事には責任を持つのが僕の流儀だ。が・・・
ちらりと一夏の方を見る。一夏はそれなりに筋肉があるため相応の体重があるだろうし気絶している。完全に脱力した人間というのは想像以上に重く感じるもの。女性の細腕だけで移動させるのは一苦労なんだろう。僕の腕の方が細いけど。
ベルーナは考える。保健医さんを呼ぼうかとも思ったが、ノホトケが焦った様子を見せないことから差し迫った危機ではないのだろう。ならばわざわざ呼ぶのも気が引ける。それに、倒れている人間を見て見ぬふりしてさっさと退散するというのも、それはそれで何となく気が引ける。
気が付けば体が動き、オリムラの足を抱えていた。
「・・・足を持つ。ノホトケは上半身を」
「本音って呼んでくれると嬉しいな~」
無視無視。僕はあくまで人道的立場から手伝っているだけであって君に心を許した覚えはありません。
・・・っていうか、重い!?手がプルプル震える・・・き、筋力が足りない・・・!!ちょっとずつでいいから筋トレしようかな。というかホンネ、そちら側の方が重いと思うんだがキミ結構筋力ある?僕の助け全然必要なかったよね?などと考えながらもどうにかオリムラの身体を保健室のベッドに寝かせる。
「・・・・・・っ」
「よいしょっと。ありがとーねー!べるる~ん」
「・・・・・・帰る」
満面の笑みを浮かべるホンネの顔を、僕は直視できなかった。
――やはり駄目だ。君は・・・君たちは、余りにも、“かつての僕の友達”を思い出させすぎるよ。
無事に作業を終えた僕は、力を使い果たしてふらふらしながら逃げるように自室へ戻っていった。
翌日、このことを知ったオリムラが元気1,2倍増しでやってきて、手伝ったことを軽く後悔した。
胃が痛い・・・っていうかオリムラ、お願いだから近づかないでくれ。ホンネも。
= = =
~翌日~
「代表は織斑君に決定です!」
「「「わー!」」」
「・・・解せぬ」
セシリアは一夏に勝ち、ユウ相手にも本人が引き分けと言っただけで実際には勝っている。だから本来代表になるのはセシリアの筈。が、セシリアは自分が気絶している間に辞退してしまったらしい。
となるとより善戦したユウが代表になるのが筋なのだが・・・ユウのISが調整不足を理由に最上重工に送り返されたため一夏が務めることになった。
「何か納得いかねー・・・」
「まぁいいじゃない?セシリアさんも多少は僕たちのこと認めてくれたみたいだし、どっちにしろあんなトンデモIS人様には見せられないよ」
「今日からお前が代表だ。これからも訓練に付き合ってやるから元気を出せ」
「箒・・・お前が天女に見えるよ・・・」
「褒めても何も出んぞ?」
軽口をたたく一夏だったが、内心では結構沈んでいた。自分がクラス代表になったことよりも別に、あの模擬戦の結果にである。
(セシリアには一撃も当てられずに完敗・・・ユウは一応が付くものの引き分けまで持ち込んでいる)
皆に顔を見られないように、口惜しげに歯噛みする。1組の専用機持ちの中で一番弱いのは、自分だ。今回だって散々大口を叩いておいて、結果は自分の身一つさえしっかり守れていないという体たらく。
ふと自分の愛機を思い出す。束さんが開発し、チカさんが改良し、姉の愛機と同じ力を備えたIS、白式。
俺はその操縦者に相応しいだろうか?皆に恥じない存在だろうか?答えはNoだ。
少なくとも今の俺は、それに相応しくない。知識も経験も覚悟も、何にも足りちゃいない。だから―――
(強くならないと・・・皆と並んで無限の成層圏を飛ぶのに恥じないくらいには、な)
決意を新たにした一夏の横顔を見ながら、千冬は静かに、そして小さく微笑んだ。
力を求めるだけではなく、何故力を求めるのかを忘れてはならない。もし忘れればその先にあるのは・・・神様気取りの愚者になるか、悪鬼となるかの二つに一つ。
3つ目の道。私がかつて見つけることが出来なかったその道を行こうとする一夏。その姿を見るのが、楽しみだった。
(お前なら出来るさ・・・だってお前は私の弟で、もうその道を見つけたのだから。それでも道から逸れた時は―――)
その時は正してやればいい。私でも、友達でも。お前は一人じゃないのだから。
・・・ところで一夏とユウは気になっていることがあった。先日激戦を繰り広げたセシリア・・・その後ろに、一人の少女がずっと付いてきているのである。昨日までは見かけなかったその少女は朝食の時間からというもの、授業中を除いてずっとセシリアの後ろか隣にいる。
「ねぇセシリアさん。つかぬ事を聞くけど・・・何でその娘はさっきから付き人みたいに後ろに控えてるの?」
「付き人とは失礼な!腰巾着と呼んでもらいたいです!」
「ランクダウンしてる様な気がするんだが!?」
このやたらとハキハキした少女、どうも一癖も二癖もありそうだ。セシリアは頭を抱えながら一言返事を返す。
「・・・・・・不本意ながら、懐かれたようで」
「「・・・はぁ、さいですか」」
「不本意だなんてそんな・・・何と謙虚な!流石はお姉さま!!」
このポジティブ娘の正体は・・・まぁ、後日語るとしよう。
後書き
べるるんは勘違いキャラを目指して・・・いるわけではないですね、はい。普通に過ごしたいけど心の傷が邪魔してるんです。本人は意外とエキセントリックな性格してますが。
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