不思議なスライム
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薬草防衛戦②
怒りで身体を震わせ、スラ太朗が吠えた。
「ギュー(よくもスラクックをやったナ)!」
スラ太朗は普通のスライムより大きい。
そして、キングスライムに似た体型をしている。
巨体から放たれる威圧。
戦いを見ていたスライム達は震えあがった。
あと言いたい事が1つ。
スラクック、死んでないから!
「キュー!」
スラ子は怯まなかった。
薬草が待っている。
薬草の為に負けられない。
薬草に勇気をもらった。
・・・・・・・・・・・・・・・・うん。
食い意地が張っているだけだ。
「キュ!」
石コロを拾って、また投げるスラ子。
ところが!
ぽよ~んと、スラ太朗の筋肉に弾かれた。
「キュ!?」
「ギュー(みたカ、我が贅肉のチカラ)!」
贅肉かよっ!
それ自慢できないよ!
デカイじゃなくて、ただのデブだった!
「ギュー(次はこっちの番ダ)!」
転がりながら、スラ太朗は突撃する。
は、速い!?
まるで、シュートされたボールのようだ。
スラ子は間一髪で避ける。
「ギュギュギュ(くっくっく、これがスラ太朗の実力だ)。」
スラ吉が笑う。
では、説明をどうぞ。
「ギュー(ある3つが合わさる事で、あの爆発的な力が発動する)。」
ほうほう、その3つの力とは?
「ギュー(体重、怪力、キングスライムのような体型だ)。」
なるほど。
転がり易い身体を怪力で素早く動かし、体重を乗せて攻撃力を増加。
凄いぞ、スラ太朗。
「ギュー(俺はこれを、デスローリングアタックと名付けた)。」
ださっ!
別に名前つける必要ないよね?
「ギュー(スラ太朗、ぶっ飛ばしてしまえ)!」
「ギュー(了解ダ、おおおぉぉぉぉッ)!?」
勢いを殺さず、突撃しようとしたスラ太朗。
だが、向きを変えようとした場所は・・・。
急な斜面だった。
自分の重い身体と、猛回転中の速度。
踏み止まる事が出来ず、そのまま転がり落ちた。
ゴロゴロ、ゴロゴロ、ゴロゴロ、ゴロゴロ、ズドン!
木に激突して、スラ太朗は止まった。
ピクピクと小刻みに、痙攣している。
「「「・・・・・・。」」」
スラ子は目を逸らした。
スラ吉は目を逸らした。
スライム達は目を逸らした。
目が覚めた彼は、恥ずかしい思いをするだろう。
でも、安心していい。
誰も何も見なかった。
見なかった・・・事にした。
スラ太朗・・・・・・・・・・・・・・・自滅。
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