IS インフィニット・ストラトス ~さびしがり屋の少年~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
序章 僕は...
大切なものを護れなかった少年
「...」
茫然とするしかなかった。
12歳の少年には受け止められない現実だった。
目の前では、自分たちの家であるアパートが燃えていた。
2時間前に、涙が枯れるまで泣いたのに、また涙があふれてくる。
2時間前、僕の腕の中で、死んでしまった彼女の顔が思い浮かぶ。
なんで僕の大切なものはこうも簡単になくなって行くのだろう。護るために古武術と剣術を習ったのに。力を手に入れたのに。
僕はまだ弱かった。
何も護れなかった。
古武術や剣術の世界大会で優勝したくらいで浮かれてたんだ。
趣味を捨てて、自由も捨てて、毎日毎日稽古を積んでたくらいで。
心の中には後悔の念しかなかった。
こんな力じゃ何も護れない。
もっと強くならないと。
僕は、持っていた携帯でとある人に電話をかける。
『ハロハロー。篠野乃束さんだよー♪』
「...僕です」
『そろそろ来るころだと思ってたよ。用件はアレのことでしょ?』
「はい。...僕には力がなかった。何も護れなかった」
ひとり言のような感覚で言う。
『知ってるよ。だからあれが必要になった』
「はい。そうです」
『でも、本当にいいのかな?アレを手に入れてしまったら、もう元の生活には戻れない。それでもいいのかな?」
「はい。承知の上です。それに...」
そこで一旦、止める。
そしてゆっくりと息を吸い、言う。
「...あの二人に会えますから」
後書き
矛盾してるかもだけど、許して。
ページ上へ戻る