| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

なのは一途のはずがどうしてこうなった?

作者:葛根
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二十九章 問おう、貴方が最強か?



きっかけは、ヴィヴィオの何気ない一言であった。

「パパとなのはママとフェイトママ、誰が一番強いの?」



ティアナ・ランスター、スバル・ナカジマ、スターズ隊の主張としてエースオブエースの高町なのはを。
エリオ・モンディアル、キャロ・ル・ルシエ、ライトニング隊の主張として、育ての親でもあるフェイト・テスタロッサ・ハラオウンを。
しかし、ティアナ・ランスターは言った。

「ってか、六課で一番強いのって誰なのかしらね?」

その問が、機動六課に広がった。

「司会進行役のアルト・クラエッタでーす!」

機動六課の駐機場に集まった人々の前で、わざわざマイクを使い話す。

「機動六課で最強の魔導師は誰か知りたくないか~?」
「知りたいでーす!」

オーディエンスは答えた。
そして、アルト・クラエッタは続ける。

「最強候補は6人! 近接最強、古代ベルカ式騎士! ヴィータ副隊長とシグナム副隊長! 六課最強のSSランク! 長距離砲持ちの広域型魔導騎士、リイン曹長とのユニゾンって裏技もある八神はやて部隊長! そして、六課最速のオールレンジアタッカーフェイト隊長と説明不要の本命! エースオブエースなのは隊長! そして、不敗の名将ミウラ隊長! 最強は誰だーっ!?」



聞き取り調査。
八神はやての場合。

「個人での戦闘能力?」
「はい」

ティアナ・ランスターは最強は誰かを突き止める為に聞いた。

「私は弱いよー」
「え? でも総合SSって言ったら単純な魔力だけでも凄いんじゃないですか」
「まあ魔力はな。そやけど、高速運用はできひんし、並列処理も苦手やからなぁ。大魔力と高速・並列処理は衝突するんが普通や……。例外もいるけど。そやから私の魔力運用は「立ち止まって展開・発射」だけなんよー。後方支援専門に殴り合い用のスキルなんか無意味やからな。適性の低いスキルを鍛えた所で効率も悪いし、ぶっちゃけ六課の前線メンバーで私がガチンコで勝てるのなんてキャロくらいとちゃうかー?」

それでも適性の低いスキルを鍛える奴もいるけどなー、と。付け加えたが、それが誰なのだかは明言しなかった。



聞き取り調査。
ヴィータの場合。

「個人戦技能? 個人戦ったっていろいろあんだろ……」

エリオ・モンディアルは最強は誰かを突き止める為に聞いた。

「えーと、取り敢えず、平均的な「強さ」ってことで……」
「平均的な強さぁ? 追跡戦か、決闘か、戦闘状況や相性の違いにだって左右される。どんな状況でも平均的に強いってのは、要はなんでも屋ってことだが。マルチスキルは対応力と生存率の上昇のためであって、直接的な強さとは関係ねぇぞ? ひとりの人間がその時できるのはいつだってひとつのことだけだ。それが通用しなきゃ強いとは言えねぇだろ……。まあ、何事にも例外は存在するが。エリオ。お前は強くなりてーのか、便利ななんでも屋になりてーのかどっちだ?」
「あ……」

エリオ・モンディアルは強くなりたいのだ。
だから、ヴィータの言葉にあった例外の存在に気付けないでいた。



聞き取り調査。
シグナムの場合。

「隊長たち5人でトーナメントでもすれば、わかると思うぞ。一人を除いて、トーナメントの回数だけ優勝者は違うだろうがな。そのくらい力は伯仲《はくちゅう》している」

アルト・クラエッタは最強は誰かを突き止める為に聞いた。

「本局の戦闘披露会でやった高町なのは隊長との試合は心躍るものだったが、決着がつかなかったから、やはり、条件次第で勝敗は変わってくるだろうな」
「あれは、血戦でしたねー」

アルト・クラエッタは聞く。

「それで、トーナメントから除かれた一人って言うのは誰ですか? 強いんでしょうか?」
「ん? まあ、な。勝つには骨が折れる相手だ。誰がやってもそう言うだろう。そして、誰もが戦いたくない相手でもある」

ならば、その人が最強なのではないか。

「いや、アイツは最強ではない。負けないだけだ」



聞き取り調査。
高町なのはの場合。

スバル・ナカジマは最強は誰かを突き止める為に聞いた。

「隊長たちで誰が一番強いか、かぁ。よく聞かれることだけど。ねぇスバル。こんな問題聞いたことない?」
「はい?」
「自分より強い相手に勝つためには、自分のほうが相手より強くないといけない」

スバル・ナカジマにとって初めて聞く問題であった。

「えと、聞いたことないです」
「そっか。じゃあ問題「この言葉の矛盾と意味をよく考えて答えなさい」みんなで相談して考えてみて。答えが出たら訓練の時にでも聞かせてもらうから」
「は、はいっ。ありがとうございます……」

スバル・ナカジマが立ち去る背中に高町なのはが呟く。

「最強より、最高の結果を導く魔導師なら知ってるけどね……」



ギンガ・ナカジマとの相談。
新人達は高町なのはの問題を解決するために聞いた。

「自分より強い相手に勝つためには、自分のほうが相手より強くないといけない?」
「そうなんだよー。なのはさんが出してくれた問題でさ。その言葉の矛盾と意味をよく考えて答えなさいって。ギン姉ならなにかわかるかなーって……」
「その問題の答えはわからないけど。母さんが言ってた。刹那の隙に必倒の一撃を叩き込んで終わらせるのが打撃系のスタイル。出力がどうとか、射程や速度や防御能力がどうとか、自分と相手のどちらが強かろうが、そんなの全部関係ない。相手の急所に正確な一撃。狙うのはただそれだけ。私はそう思ってる」

ギンガ・ナカジマの強さがそうであるように、人それぞれ強さの定義が違う。
だが、高町なのはの問題の答えは徐々に紐解かれていく。



聞き取り調査。
ミウラ・ケイタの場合。

新人達は高町なのはの問題を解決するために聞いた。

「10年近く前の話になる。俺となのはとフェイトの三人がかりで勝てなかった人がいた」
「……」
「その当時でAAAランクのなのはとフェイト。んで、負け知らずの俺が負けたと思わされた相手はAAランク。その人に問われた問題だな。で、ティアナの問い方からして、問題解決は近いと思うよ」

誰が強いのか、ではなく、どうやったら勝てるのか。
八神はやては、広域戦闘に持ち込んで戦えば負けることはないからそうやって戦う。
あとは、集団戦やチーム戦で指揮をとれば誰にも負けない自信があると。
シグナム、ヴィータは接近戦に持ち込んで戦うと。
そして、ミウラ・ケイタは、

「仲間と戦う。個人戦技能だと、負けはしないと思うけど……。長期戦で相手を降参に持ち込むくらいしかできないし」

それはそれで凄いと新人達は思ったが、

「問題の答えは――」

ティアナ・ランスターとスバル・ナカジマは互いの顔を見合わせて言う。

「自分より総合力で強い相手に勝つためには、自分が持っている相手より強い部分で戦う。その為に自分の一番強い部分を磨き上げてこれなら誰にも負けないって自信と気概を持って戦いに当たる」

――答えが正解かはいつかきっと。
本当の答えが見つかる日まで。



本当の強さとは。
配点:(最強は誰か)


漫画ベースの話。
漫画喫茶で読んで書いていたら時間がかかった。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧