久遠の神話
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第四十四話 不老不死その一
久遠の神話
第四十四話 不老不死
上城は工藤と高橋のところに来た。場所は自衛隊の地方連絡部だ。そこに入るとすぐに緑の制服の男が微笑んで言ってきた。
「志願かな。見学かな」
「あっ、実はですね」
「実は?」
「はい。工藤さんはおられますか?」
「工藤というと」
「工藤澄也さんです」
彼の下の名前も出した。
「確か海上自衛隊の二等海尉の」
「彼のことというと」
緑の制服の男は鋭い目になって述べた。
「君もかな」
「はい、そうです」
多くは語らなかった。ここはこれだけだった。
「僕もなんです」
「そうか。では」
「工藤さんはどちらですか?」
「こっちだよ」
男はこう言って上城をある部屋に案内した。そこは地方連絡部の一室だった。そこに彼を案内してこう言ったのである。
「高橋警部もいるよ」
「あの人もですか」
「うん、いるよ」
こう言ったのである。
「彼もね」
「そうですか」
「そうか。それにしても君も」
「御存知ですか、剣士のことは」
「上官としてね」
男は微笑んで答えた。
「この件の責任者でもあるし」
「じゃあ僕のことは」
「応援してるよ」
やはり微笑んでの言葉だった。
「剣士の戦いを終わらせたいね」
「そう思っています」
上城ははっきりと答えた。
「あんな戦いは」
「それは我々も同じだよ」
「貴方もですか」
「幸い今の政権。野党も多分そうだろうけれどね」
「剣士の力を使って何かをしようとは」
「思わないからね。このことはね」
「このことは?」
上城は彼と話していて何かを察した。そしてその何かを彼に問うた。
「といいますと何か」
「感じたかな」
「政府よりも上の」
「まあ。あえて言わないってことでね」
男もこのことはぼかした笑みで話した。
「それでいいかな」
「はい、そういうことですか」
「日本には首相に内閣、与党があるけれどね」
俗に権力の立場にあると言われる勢力である。
「それでもね」
「それよりも、ですね」
「上の方々がおられるからね」
「そうでしたね。日本は」
「日本は共和制じゃないよ」
この件に関して何よりも重要なことだった。
「だからね」
「首相よりも強い方ですか」
「そう。もうこれでわかるね」
「はい」
色々と謎が多い、何かと表の世界では実在すると言えない様々な存在を抱えられているとも言われている。そうした方らしい。
だからだ。上城もここではあえて言わないのだった。
「あの方もこの戦いのことは」
「どうだろうね。けれどね」
「御存知であってもですか」
「おかしくはないからね」
長い歴史を経ておられる方々だからだ。そこには上城や彼の目の前にいる男に詩tえも言うことはできなかった。
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