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めだかボックス 〜From despair to hope 〜

作者:じーくw
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第5箱 「2歳児にはちょっときついよぉ………。」






























その後、暫くの間……。

3人で遊んでいた。

めだかの表情はとても柔らかく……素晴らしかった。

あの時の表情が嘘のようだ。



時間がたつのを忘れるくらい……本当に楽しい時間だった。

めだかちゃんと話をしてみると、今度入園が決まっている幼稚園が同じらしい。

そう、箱庭幼稚園。


その事に善吉は大喜び!


僕も笑っていた。

そしてめだかも同様に笑っていた。

本当に皆子供らしい笑顔だ。

……当然でしょ?2歳児なんだから…… 苦笑










暫くして、何かをして遊ぼう!っとめだかが言い出した。









でもこの部屋の遊戯は全てめだかちゃんが制覇してしまったので……。

めだかちゃんがどこからかオセロゲームを持ってきた。



「よし!劉一 私と勝負をするぞ!」



ビシッ!! 凛ッ!!


……っと指を突きつけられた。

その剣幕にはちょっと怖かったけど…… 苦笑


「うんっ、良いよぉ!」


劉一は笑顔で承諾。

そしてオセロゲームがスタートした!

善吉はワクワク!って感じで見ている。


「ふむ。先攻後攻を決めるぞ。」


そう言ってじゃんけんをしようとする……が。

「めだかちゃん。僕白が好きなんだ!だから後攻で…… ダメかな?」

そう言うと……。

「む……ふむ。それならば構わないぞ!」

軽く承諾してくれた。

「ありがとー!じゃあ……… 勝負!」

そう言って白熱したオセロゲームがスタートした……。





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「よしっ!もう一度だ!」

めだかの声が響いた。

「ええっと…… めだかちゃん……また……?」


7回目だよ……?


「劉一!貴様はすごい!私に凄いといってくれたが、貴様も凄いぞ!だからもう一度だ!まだまだ!」


……何がだからなんだろう? 苦笑

そう……劉一がめだかちゃんにゲームに≪勝ってしまった≫のが始まりだった。


再戦に次ぐ再戦………。


そして、気がつけば6回戦になってしまったんだ。


その戦跡が劉一のの4勝2敗の戦績だ。


いやっ! 違う。


僕が2回目の勝利の次からワザとめだかちゃんに勝ちを譲ったっていたのがばれてしまって……。

それがめだかに更に火をつけたようだ。



「情けは無用だ!私は全力の貴様と戦いたい!」



そう言って……気がつけば更に1勝……!

そして7回戦が終了。

めだかは徐々に打つ手の鋭さを上げていく。

即ち 同じような手は二度通用しない。

回を重ねるごとにさらに白熱していく!!





だけど……。





「ううん…zzz むにゃ……」



善吉はもうオネム状態になっちゃって。


実際僕も眠いんだ……。


白熱したって……。

どんだけ、うち筋が鋭くったって………。

僕……基本は2歳児の体だし。






ウトウトしてると……。




「さあ!貴様の番だぞ!」


たたき起こされ……まではしないけど起こされる。


「はぁ………い。」


(さて、ここまできたらちょっと、しんどくなってきたよ……。でも、万全じゃないとまためだかちゃんに言われるし……。集中集中)

「あ!!」





そうだ!いい事、思いついた!

ワザと負けようとしたらめだかは分かってしまうけど。

これなら…… きっとバレないよね?



「ん?どうした?」



劉一の表情が変わった為めだかが聞いてみると……。

「えへへ…… いや、なんでもないよ!ほら、めだかちゃんの番だよ!」

不敵な顔をしてめだかに言った。

「ふふふ……。望むところだ!」

その表情にめだかは喜び……。

試合が再スタートする。






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どちらも引かぬ接戦……。



そして……



めだか (黒) 34個  劉一 (白) 30個



めだかの勝利だ。



「ふ……っ!やっと貴様に勝てたな!」

「ははは!そうだね。」



めだかちゃんが喜んでいる。

その顔を見れたこと、それも凄く嬉しかった。

それだけの笑顔だったから……。




「ここから声がしたんだな!!!」

「はいッ!!他の患者さんが言ってました!」






部屋の外が慌しくなってきた

「む……そうだったな。忘れていた。 私は逃げていたんだった。まだ貴様のほうが勝率高かったのだが仕方あるまい……。」

そう言うと立ち上がり劉一と善吉の方を向いた。

「今日は楽しかったぞ!劉一に善吉!では またな!」

善吉は眠ってしまっていたが、とりあえず僕は笑顔で手を振った。

そう言ってめだかは手を上げ先生たちのほうへ向かった。




いろいろと注意を受けていたが彼らと遊んでいたと説明し、

とりあえず医者達は納得した。

如何に|異常性(アブノーマル)があっても子供……。

遊びたいと言う気持ちは止められないだろう。

めだかは最後にもう一度世話になった劉一と善吉に礼を言おうと振り向くと………。




「………ッ!!!あれは………。」



めだかは驚愕した。

その表情は初めて見る顔だった。

オセロゲームのボードを遠くから見てみると。

それは……その配置はある模様になっていた。

近くにいたから気付かなかったのだろう。

それに白熱していた事もあるだろう。

それは……。



「ははは…… オセロでパンダを作っていたのかい?」

「ふふふ…… かわいいわね!」



普段のめだかと違って、子どもらしいめだかを見てその場にいた大人たちは微笑んでいた。

そうオセロ盤を遠くから見てみると一目瞭然だ。

模様がパンダのようになっていた。

めだかはというと……

「誘導されてたのだな……。それに私は全く気付いてなかったのか……。」

そう呟いていた。

そして、部屋の方を振り向いてみると。

善吉が眠っている劉一為1人片付けをしていた。

そして目があう。

劉一はめだかちゃんの目をしっかりと見据えて……。





“ニコッ………”





笑顔でめだかを見つめた。

どうやらこの勝負の意図をめだかが理解したことに気付いたようだ。

その証拠にオセロ盤だけは片付けてなかった。




「ふふふ………劉一……か。 面白い…… やはり。」




めだかも笑った。

不思議と悔しさとかは全くなかった。

めだかは………超えるべき男が現れた事に純粋に喜んでいた。

単純なオセロゲームに過ぎないと傍からはそう思うかもしれない。

しかしそんな単純な遊びであっても、自分より上にいる者などにあったことは無い。

そう……、これまでは大人でさえそんな人に合ってなどはいなかったからだ。

自分より上の男が現れるなど………。

心踊らないわけが無い。




それに私に「生きる意味」を教えてくれた善吉。




自分にとって かけがえのない者達との出会い。




「これからも楽しみにしておるぞ。 劉一!それに善吉もな!」




そう言って託児室から出て行った。




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「最後の笑顔が何か怖いような気がしたけど…… 大丈夫だよね……? 仕掛けは分かってもらえたみたいだけど……。」


そのめだかちゃんの最後の笑顔……。

それにちょっと寒気が走るような………。

そんな感じが………。


「ふああ……。 むにゃ………。 あっ あれ……?めだかちゃんは?」


そこで善吉が目を覚ました。



「あ!おはよ 善吉君、めだかちゃんなら帰って行ったよ。看護婦さん達に呼ばれてさ。」

「そーなんだ……。 ん~~……寝なきゃよかったよ……。」




善吉はちょっと残念そうにしていた。

「幼稚園も一緒なんだし、また合えるさ!」

落ち込んでいる善吉を慰める。

すると、直ぐに元気になった。

あれだけ ハイテンションだったからかな?? 苦笑

でも……うん。元気が一番だね。

そして。



「2人ともー 帰るよ!!」



瞳先生が迎えに来た。

「あ!はーい!」

「うん。」

2人は託児室をでた。

そして、しっかりと瞳先生……お母さんの手を握り……

夕日の中へと歩いていった。








 
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