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八条学園怪異譚

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第二十八話 ご開帳その八

「まあ最初からないからね」
「気にしないの」
「そうなのね」
「そうだよ、そういったことは気にしていないから」
 そのつるつるでしかも弾力もありそうな、餅の様な頭を右手で撫でながらそのうえで二人に楽しそうに話す。
「最初からないとね」
「成程ねえ」
「まああるのはわかったから」
 だからいいというのだ、そして。
 二人はここでこうも言った。
「のっぺらぼうさんのことはわかったけれど」
「その他にはね」
「ああ、お寺だね」
 今度は一つ目小僧が言って来た。
「ここのことだね」
「うん、お不動さんの仏像があるよね」
「凄く怖いっていうけれど」
「僕達いい妖怪には問題がないけれどね」
 それでもだというのだ。
「悪い妖怪はどんなのでも退治されるんだよ」
「相当強いみたいね」
「ありとあらゆる魔を降すっていうから」
「お不動さんは大日如来のもう一つの姿って言われてるんだよ」
 衝撃の事実である、二人にとっては。
「それだけに力も凄いんだ」
「えっ、そうだったの」
「お不動さんって」
「そう、この辺りは言う人によって違うけれどね」
 明王は明王として分けている場合もあるのだ。
「明王は仏さんの憤怒した姿と言われてるんだ」
「そうなのね」
「だからお不動さんもなの」
「そう、それだけに強いんだよ」
 一つ目小僧はこう二人に話す。
「明王の中で一番強いとされているんだ」
「外見は一番普通だけれどね」
 のっぺらぼうも話す。
「顔も手の数も僕達と同じだからね」
「顔は怖いけれどね」
 それはだというのだ。
「もう極めつけにね」
「うん、凄く怖いわね」
「確かに」
 それは二人も言う、不動明王の憤怒の顔はというのだ。
「子供の頃見て閻魔様より怖いって思ったわ」
「こんな怖い仏様いるのかしらって」
「だからその怖さで魔を降すんだよ」 
 それが明王だ、憤怒は魔に対するものである。
「後ろの炎だってそうじゃない」
「普通は後光じゃない」
 一つ目小僧もそのことを言う。
「けれどそれが違うのがね」
「明王なんだよ」
「後光は優しいけれどね」
「炎は燃え盛っていて激しいわよね」
「そう、そこね」
「怒りの激しさでもあるからね」
 妖怪達もさらに話していく。
「悪、つまり魔に対するね」
「だから怒って炎を巻き上げてるのね」
「姿も怖いのね」
「そうだよ、それでだよ」
 一つ目小僧が話す。
「明王の方々はそうなんだよ」
「最初見て鬼かって思ったわ」
 愛実は子供の頃のことを思い出して述べた。
「実際ね」
「鬼なんだ」
「そう、悪い鬼 に違いないってね」
 そこまで思ったというのだ。 
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