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ヘタリア大帝国

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TURN70 ドクツ軍の崩壊その三

 その撤退の姿を見てプロイセン妹は笑顔で言った。
「イタちゃん達らしいね」
「ああ、あれがいいんだよ」
 プロイセンも暖かい笑顔である。
「イタちゃん達のよさだよな」
「そうだね。ああじゃないとね」
「不思議とな。嫌味がない」
 ロンメルも彼等を見送りながら笑顔になっている。
「イタリア君達は嫌いになれないな」
「どうもドイツの兄貴はイタちゃん達に厳しいけれどね」
「けれど相棒も決して嫌いじゃないからな」
 友達と思っているからこそ厳しくしているのだ。
「まあ。イタちゃん達はこれで行ってくれたし」
「俺達もかかるか」
「そうだ。撤退する」
 ロンメルはあらためて二人に告げた。
「とはいってもこのまま逃げてもだ」
「それでもだね」
「今はちょっとだな」
「足止めをしないとエイリス軍は即座にナポリに来る」
 そうなっては撤退しても意味がないというのだ。
「だからだ」
「足止めするんだな」
「そうしなければならない」 
 ロンメルは確かな声でプロイセンに告げる。
「今は。ただ戦うとなると」
「こっちは三個艦隊でな」
 ロンメルとプロイセン兄妹がそれぞれ率いている三個艦隊、それが北アフリカのドクツ軍の戦力である。
 そしてそれに対してエイリス軍はだった。
「二十個艦隊だからな、向こうは」
「まともに戦える相手じゃない」
 数が違い過ぎた。
「足止めすらだ」
「出来ないよな」
「戦っての足止めは無理だ」
 ロンメルはまた言う。
「とてもだ」
「ならどうするんだ?」
「既に策は仕掛けてある」
 ロンメルは微笑んでプロイセン達に答えた。
「俺達も無事にナポリに撤退する」
「じゃあここはか」
「ロンメルさんに期待していいんだね」
「そうさせてもらえると有り難い」
「じゃあ今からな」
「撤退しようね」
「芝居を打ったうえでな」
 ロンメルは芝居の話もした。そしてだった。
 彼等はまずはエイリス軍を迎え撃った。モンゴメリーはそのエイリス軍を率いて今ドクツ軍を見ていた。
 そして彼はあることに気付いた。
「おかしいな」
「はい、そうですね」
 モニターからイギリス妹が応える。
「三個艦隊と聞いていましたが」
「前方には三個艦隊、いや」
 ロンメル達の他にまだいた。
「五個艦隊ですね」
「ドクツ軍の援軍、いや」
 モンゴメリーは真剣な顔で述べた。
「今のドクツにそうした余裕はない筈ですが」
「そうですね。それは」
「妙です。しかし援軍ならば」
 慎重さ故にだった。モンゴメリーは援軍の可能性を否定出来なかった。
 その為イギリス妹にまずはこう言った。
「迂闊に進んでは危険です」
「そうですね、ここは」
 イギリス妹もモンゴメリーと同じく慎重派である、それが為だった。
 彼等は今は慎重に進むことにした。しかも。
 彼等のレーダーには五個艦隊だけではなかった。さらにだった。 
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