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なのは一途のはずがどうしてこうなった?

作者:葛根
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第二十三章 迷い幼女と常識人



久々の休日を新人達に楽しんで貰いたかったのだが、それは叶わなかった。
エリオとキャロが発見した幼女とレリック。
そして、現れた敵。
交差する事件。
不気味な静けさと不穏な空気の中、指示を飛ばす。

「俺は新人達の現場に向かう」
「勝手な行動はなしやで!」
「……、経験則からで申し訳ないが、嫌な予感がする。新人達に手に負えないような事態が起きる、と思う」

はやては若干、考えて、

「しゃあないな。新人達のフォローは任すわ。あと……」
「ああ、繋がっているから大丈夫だ。魔力量を気にせずに戦えってなのは達に伝えといて」

承認してくれた。俺のレアスキルの詳細を知っているからこそ、離れていても問題ないと判断したのだろう。



「当たりを引いたか、彼が現れれば個人的には大当たりなのだが……」
「確定はできませんが……。アレについては恐らく当たりでしょう」

画面に映る女性は、ため息混じりに、

「個人的な性癖を咎める事はしませんが、妹達の中から適任を選んでおきます」
「ああ、頼むよ。アレの確保もだが、彼の確保も重大な案件だからね」

話は終わりと、通信を切断した。
これ以上の無駄な話を聞きたくないといった感じで。

「優しいルーテシア聞こえるかい? レリック絡みだ……、そう、今回は一人でもいいよ。妹達を援護に向かわせるからね」
「そう……」

ルーテシアと呼ばれた少女はどこと無く、安心したような返事であった。



ギンガ・ナカジマ。
スバル・ナカジマの姉で、面と向かって顔を合わせるのは空港火災以来だ。
新人達と合流したのはいいが、どうやら敵は大部隊で攻めてきたようだ。
空でなのはとフェイトを足止めする物量に、後発で参加したヴィータも敵を落としながらも、足止めされている。
となると、はやての広域魔法が必要になってくるが、ランク限定解除が必要だろう。
そうなると、後々に問題が発生する可能性が高い。
よって、久しぶりに顔を見る奴らに物申さねばいけない事になりそうだ。
それよりも、まずは、

「ギンガか。久しぶりだな。うん、随分と、美人になったな」

久しぶりに邂逅したギンガに挨拶をした。

「あ、ありがとうございます……。久しぶりですね。本当に、久しぶりです……」
「……」

俺と、ギンガを見守るような新人達は無視していいだろう。
戦場だし。



「ねえ、スバル。ミウラさんとギンガさんて知り合い?」
「うん。昔にちょっと、事件に巻き込まれた時に救って貰った関係だよ」

薄々は気付いていたけど、ミウラさんって、フラグメーカーね。
久しぶりにあって、美人になったねとか、普通言うかしら?
それにしても、なんでミウラさんが私達の所に?

「ミウラさん、どうしてココに?」
「ん? ああ、ティアナが現場リーダーだったな。指揮系統は概ねティアナに任す。俺は、ギンガと同じく、外部協力者の扱いで、フォローだよ。他意はない」

不安だ。
隊長格が新人のフォローと言っているが、逆に言えば、隊長格がフォローしなければいけない状況になるという事だ。
レリックの確保と少女の確保が課せられた命令だ。
少女の方は既に達成しているから、レリックの方に問題が起きると、言うことね。



「久しぶりに全力全開! ディバインバスター!」
「私も、行くよ! トライデントスマッシャー!」

管理局の悪魔と、死神が舞う。
そして、

「フレースヴェルグ!」

勝利の鉄槌が下された。
限定された力ではあるが、威力は十分である。
供給される魔力を三人は受け止めて、飛ぶ。



「ミウラ……! また僕をネタにしたのは分かっているんだぞ……!」
「久しぶりのクロノくんがそれですか。いや、まあ、限定解除しなかったのは助かったよ。シスコン」

クロノ・ハラオウンは久しぶりの相手に嫌味を続ける。

「お前も知っているだろう。限定解除が出来るのは僕と、カリムの二人だけだ。再度の限定解除申請はほぼ通らないだろうって、知ってるからお前が動いてるわけなんだろ。男のツンデレは気持ち悪いぞ。ああ、気持ち悪いな」
「あ、あのクロノ提督。ミウラさんと何か遺恨でもあるのですか?」

クロノ・ハラオウンの普段の姿からは想像できない態度にカリム・グラシアは戸惑いながら聞いたのだ。

「あるとも。僕の苦悩の始まりと言って良い」
「はあ、そうなのですか……」

その話は長くなりそうだと、カリム・グラシアは直感した。
よって、話を戻すことにしたのだ。

「ミウラさんが動いているというのは?」
「ああ、アイツのレアスキルのことですよ。魔力の供給です。認めたくは無いが、アイツは魔力量だけは多いですから」
「だけって……。色々と技能も持ってますが? それでも総合ランクはクロノくんにはとても敵いませんけどねー。優秀なお兄ちゃんだな……」
「お前に、お兄ちゃんと呼ばれる筋合いは、無い!」

クロノ・ハラオウンは、それ以上ミウラ・ケイタと話すことは無いという感じで、通信を遮断した。
ありがたく思え。
限定解除しないでも対応できると僕は貴様の事を信頼してやっているんだ。



常識人のお仕事。
限定解除するだけの簡単なお仕事です。
配点:(クロノ)


 
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