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救世主の生活

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1.5ページ目 夢列車2

1.5ページ目 夢列車2

ドアの向こう側………

そこには何も無い……
別車両が無いと言う意味ではなく本当に何も無い………

真っ暗な……闇………

「何だよこれ……」

男は夢なのかと一回頬を殴るとそのまま放心してしまった。

「あなたも捕まったのですか」

後ろから掛けられた言葉に振り向く。

肩まで届いている白髪、長い前髪から覗かせる蒼い瞳、フード付きの黒いローブを着ており、パッとした見た目は低学年位の子供の印象を受ける。
その白髪は驚く男を無視し続けて言う。

「いつ印を付けられたか分かりますか?」

落ち着いた物腰で言う言葉を男は理解出来ないでいた。

「あ…いや…印?……何の事なんだ?意味が分からない…」

白髪はたどたどしい男の言葉を聞くと、向かい合うように座る席に案内した。

白髪「とりあえず落ち着いて話しましょう。私の名前は……そうですね……シロと呼んで下さい。」

男「シロ?髪が白いからシロなのか?」

今考えたかのような間で見たまんまの名前に男の目が点になる。

シロ「名前が無いんです。それよりあなたの名前を教えてくれませんか?」

男「ああ、すまない。男の名前はガスパール・サン=テグジュペリ、好きに呼んで構わない。」

ガスパールは、この異質な列車内で唯一まとも?な人に出会い少し安堵する。

ガスパール「で?印とは何の事なんだ?それに何故ここから出られない?何故ここにいる他の乗客らは、なんかこう上手く言葉に出来ないが‘変’なんだ?」

それを聞くとシロは通路を挟んだ隣の席に座る若い男に指を差した。

シロ「あの男の額をよく見て下さい。赤い逆十字架のマークが見えますか?」

ガスパールはシロが指差す男の額を見ると、そこには確かに小指の爪程の小さな逆十字架のマークがあった。

ガスパール「なんだあれは…まさか俺にも同じのが付いているのか?」

するとシロはおもむろに瞳しか見えなかった長い前髪をたくし上げ額を見せる。

シロ「私にも付いてますよ……そして、あなたにも……」

ガスパールは驚く。

ガスパール「お前………男だったのか?」

―――――――――――
シロ「ここまでの説明は分かりましたか?」

ガスパール「えーと、その逆十字架のマークがこの列車内でなにかしらのタイミングで付いて、この列車から出られないんだっけか?それに気づいた時には籠の中だって話しだろ?」

ガスパールは赤くなった右頬を撫でながらこれまでの説明を繰り返した。
シロ「ま…まぁいいでしょう……」

ガスパール「で?ここから出るにはどうしたら良いんだ?なにか当ては…当てがあったらすでに此処には居ないか…」

シロ「異変に気づいた時は、他の乗客に話しかけたのですがお察しの通りです、あと窓を割ろうとしたのですが割れなかったですね。」

ガスパール「仮に割れたとしてどうやって走行中の列車から出るんだよ……死ぬ気か?」

それを聞いたシロは頬を膨らまかす。

シロ「いくら私でも走行中に飛び降りなんかしませんよ!!あなたはどうやってこの列車に乗ったのか忘れたんですか!!」

ガスパール「冗談だ、それくらい俺でも分かる。」

ガスパールが一段落笑った後、言葉を続けた。

ガスパール「理由は知らないが、ここにいる乗客は罠に掛かったって訳か……シロは何時からこの列車に?」

シロ「大体1ヶ月前からですかね…」


それを聞いたガスパールは驚き、疑問に思った。
ガスパール「1ヶ月!?飯はどうしたんだ!?それに、仮にずっと列車が運行されているとしては乗客の数が少なくないか?」

二人の声以外は列車の一定音しかない静な列車内で話しを続けた。

シロ「不思議とここに着てからは、お腹は空いて来ないんですよね。あと確かに乗客が少ないような気がしますが、私が列車に乗り込んだ後に来たのは、あなただけなんです。この列車に乗り込む前は何かなかったですか?」

ガスパール「何か?」

シロは頷く。

シロ「何でもいいです、ここに来る前いつもと違う事を教えてくれませんか?なにかヒントが有るかもしれません。」

ガスパールは、しばらく考える仕草をすると腕を組む。

ガスパール「何でもって言ってもなぁ……ニワトリで目が覚めて朝食を食べた後、いつもの用にコロッセウムルで賭け事しに列車に乗ったらこんな事になったからなぁ……変わった事と言ったらこの列車の事位か?」

シロ「共通点は……特に無いですね……」

ガスパール「所で気になってたんだが、貫通扉の向こう側の暗闇に入ったらどうなるんだ?」

シロは貫通扉へと視線を向ける。

シロ「ここに迷い込んだ時、私も調べてみたんです。」

そう言いながらシロとガスパールは席を立ち、貫通扉の所まで行き扉を開けた。


ゴクリ

扉の向こう側……漆黒の闇に思わずガスパールは生唾を飲む。

シロ「言うより見てもらった方が早いですね。あそこにお金を投げて見ましょう。」

シロはローブから白く綺麗な手のひらをガスパールの胸元まで持っていく。

ガスパール「なんだ??お前女みたいな手してるな、手繋ぎたいのか??」

列車内に切れの良い音が響いた。

ガスパール「じょ…冗談だって!ああ!男らしい手だな~!!てか俺の金かよ!!」

赤い右頬を更に赤らませ、渋々シロにコインを渡す。 
 

 
後書き
頑張った……俺

さっき知った事ですけど電車の車両と車両を繋ぐ部分を貫通扉って言うんですね……知らなかった

続きはノンビリ待って頂けると幸いです、ではノシ 
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