八条学園怪異譚
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第二十七話 教会の赤マントその十四
「神父様はいい人だ」
「ううん、妖怪が教会に住むことを許すって」
「凄い神父さんですね」
「阪神甲子園球場の魔物は勝手に住みついているがな」
まさに誰の許可も得ずにだ。
「そして阪神に災厄をもたらしている」
「何か阪神限定でやたら変なことが起こりますからね」
「本拠地なのに」
甲子園の七不思議だ、ここぞという時にそうなる傾向がある。
「巨人相手になればいいのに」
「そうなりませんからね」
「君達は本当に巨人が嫌いだな」
「だって関西人ですから」
「阪神ファンですから」
だからだとかだ、日下部は二人に返した。
「あんなチーム百年位最下位だったらいいのに」
「勝率一割台で」
「一割台か」
日下部は聖花が言ったその数字に注目した。
「それは流石になかったな」
「一番低い勝率で二割六分位だったかな」
赤マントも野球の話に加わってきた。
「確かね」
「二割六分が一番低かったんですか」
「うん、一割台はなかったよ」
赤マントは愛実に答えた。
「それで百敗だったからね」
「夢のですか」
「今横浜でも百敗はいかないね」
「昔の阪神でも」
「そう、そこまで弱いというか」
ここで赤マントはこうも言った。
「崩壊しているチームもなかったね」
「というかそれ何処のチームかしら」
「ある意味凄いわよね」
愛実と聖花は二人でその負けに負けたチームは何処かと興味を持った、流石にそこまで負けると関心が沸くというのだ。
「阪神じゃないみたいだけれど」
「じゃあ何処かしら」
「近鉄だよ」
赤マントはこのチームを出した。
「今で言うオリックスバファローズだね」
「ブレーブスはなくなってしまったがな」
日下部はここでぽつりと言葉を出した。
「残念ン なことにな」
「まあそれはね」
赤マントも日下部の言葉に応えて残念な顔を見せた。
「ブルーウェーブはもうね」
「阪急、いいチームだったが」
「誰か復活させてくれないかな」
「何か今回ってね」
「そうよね、レトロよね」
愛実と聖花は日下部と赤マントを見て二人で話した。
「赤マントさん自身戦前だし」
「日下部さんは海軍で」
「お話すること自体昭和とかで」
「古いわよね」
「たまには懐古もいいものだ」
日下部はその二人に言った。
「そこから良きものも見つけられる」
「温故知新ですね」
聖花が日下部にこう返した。
「つまりは」
「そうなる」
日下部もこの考えを否定しない。
「とにかく過去を見ることもだ」
「いいことなんですね」
「そういうことだ、それでだが」
「まあ今のオリックスバファローズは昔はそこまで弱かったんだ」
赤マントがまたこのことを話した。
「只でさえ戦力が整ってなかったのにチームが崩壊してね」
「それで百敗ですか」
「ある意味夢の」
「そう、巨人から来た人が監督になったけれどね」
ここからチームの名前も変わった、それまではパールズという名前だったがその監督千葉茂が巨人での現役時代猛牛と呼ばれていたことからバファロー、そしてバファローズになったのである。
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