八条学園怪異譚
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第二十七話 教会の赤マントその十
だがそれだからこそだと、博士はこうも話した。
「争うものではない」
「ですよね、それはわかります」
「私も」
「ただ、うちのお店お坊さんが般若湯とか言って檀家の人達とお店でビール飲みますけれど」
「うちのお店の常連の神父さん巫女マニアですけど
「ほっほっほ、微笑ましいのう」
博士は二人が話すそれぞれの宗教家としてどうかという話も笑って済ませた。
「わしも僧侶じゃが肉も酒も好きじゃしな」
「ですよね。特にいいと思いますよ」
ろく子も笑って博士の援護に回った。
「悪い妖怪にはお坊さんは怖いですけれど」
「よい妖怪とは友達じゃからな」
「はい、いいと思います」
「ううん、何か教会に妖怪さんがいるのも」
「普通なのかしら」
その僧侶の博士と妖怪達が一緒に仲良くやっているのならとも思う二人だった、そうした話を学校の茶室でしてから。
夜は日下部と合流して教会に向かうことになった、その教会への道で。
日下部も二人の話を聴いてこう言った。
「博士のことか」
「はい、お坊さんで神主さんって」
「神父さんで教会長ってないですよね」
「確かに普通はない」
日下部もこう言うことだった。
「それはな。だが」
「だが、ですか」
「それでもですか」
「それでいい。宗教で争うことは愚の骨頂だ」
「それはそうですね」
「それでの戦争とかは」
歴史において宗教で起こった戦争は数多い、とはいっても実際は国益や対立を解決する為の大義名分であったことが多い。
「嫌なことですよね」
「それでも殺し合いとかは」
「そうした戦争は最も無残な戦争になる」
軍人だった者の言葉だ。
「だからこそだ」
「宗教での対立はですね」
「絶対にあってはならないんですね」
「日本でもだ。私もそう思う」
「ですか、それでなんですけれど」
「今から行く教会って」
「怪人赤マントだな」
如何にもという名前だった、怪人というだけで何かが違う。
「あの人だな」
「はい、その人です」
「今からお会いしに行きますけれど」
「趣味は人を驚かせることだ」
妖怪の定番である。
「そして好きな食べ物はトマトを使った料理、好きな飲み物は赤ワインにトマトジュース、後は苺のジュースだ」
「赤尽くしですね」
「だから赤マントなんですか」
「元々は学校の怪談だった」
怪談の定番fがはじまりだったというのだ。
「それでこの学校にも住んだ」
「教会に、ですか」
「そうなんですね」
「元はトイレにいた」
そぷだったというのだ。
「そこの扉からいきなり出たりして人を驚かせていた」
「何か花子さんみたいですね」
「それですと」
「近いかもな、トイレも異世界との境目だ」
「花子さんの時と同じですね」
「そういうことですね」
「そうだ」
まさにそうだというのだ。
「トイレには頑張り入道さんの頃からそうした話が多い」
「なんですね」
「そういうものなんですね」
「それで最初はトイレにいたのだが」
教会に移り住む様になった経緯がここで話される。
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