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宇宙を駆ける一角獣 無限航路二次小説

作者:hebi
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第一章 四話 大海賊ヴァランタイン

 
前書き
主人公は有名な海賊や軍人みたいに単艦で活動するのか、艦隊を率いるのか。迷いがあるが、恐らくは前者になる。私に艦隊行動を描写する程の表現力はない。
 

 

ユニコーン食堂

ラーメンを啜っていた白野は切迫した艦内放送に呼び出された。

『白野艦長、至急ブリッジへ!』

白野は残りのラーメンを神速で飲み干すとブリッジへかけて行った。

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ユニコーン ブリッジ

『どうした?』

ブリッジに駆け込んだ白野がメインオペレーターのゲイケットに問う。

『これを…』

ゲイケットが艦長席のモニターに情報を転送する。

『これは………グランヘイムか!』

常に冷静を心掛ける白野もこれには驚いた。オーバーロードの件でいずれ接触したいとは思っていたが、よりによってこんな所で遭遇するとは思わなかった。

『グランヘイムから通信です。』

『出よう。』

そして、モニターに全ての0Gドッグにとっての恐怖と憧れの対象である男が表示された。

『大海賊ヴァランタイン………何の用だ?』

『ふん。お前の持っているエピタフに用がある。大人しく渡してもらおうか。』

やはり…白野の脳裏には自分の所持しているエピタフが浮かぶ。恐らく、グランヘイムにはエピタフの所在を特定するためのレーダーが積んであるのだろう。白野がエピタフを所持している事は本人以外知らない。

『エピタフ…か………』

白野は決断する。ここでヴァランタインと戦って得るものは何もない。今のユニコーンでは高確率で宇宙の藻屑にされるだろう。グランヘイムはそれほど強い。
選択肢はエピタフを渡すか、自分もエピタフの真実を知る者である事を明かすか………
白野は後者を選んだ。

『ヴァランタイン。』

『返事を聞こうか。』

『………………………オーバーロード。』

『!!』

ヴァランタイン以外には聞こえないよう小声で呟いた。
その単語だけでヴァランタインの表情が変わる。白野は通信回線を切り替え、周りには何も聞こえないようにした。
ヴァランタインもそれを承知したのか声量は変わらなかった。

『………どこでそれを知った?』

第一関門、情報の出処である。まかり間違っても原作知識など口にできない。頭がどうかしていると判断されれば、協力関係など結べない。
白野はヴァランタインと接触するときめた時から考えていた台詞を使う。

『知り合いに………観測者と追跡者がいた。あいつらはどういう経緯かオーバーロードの事を知り、奴等の管理から脱する方法を探していた。』

『続けろ。』

『最終的にアッドゥーラの外れにあるパルメリアという星に辿り着いた。二人は………始祖移民船のターミナルルームで死ん…いや、消された。』

『何かわかったのか?』

『ああ。』

『何だ。』

『ファージ。奴等が宇宙を終わらせる時に送り込む尖兵の名だ。』

『………信じよう。エピタフは持っておけ。』

『いいのか?お前の方が………』

『いや、いい。』

『そうか。』

それから通信は切れ、グランヘイムは遠ざかって行った。

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『………あー、怖かった………』

去って行くグランヘイムを見送りながらゲイケットが安堵の声をあげる。他のクルーも同様である。いきなりトップランカーが現れ、去って行ったのだ。当然の反応だ。

『ゲイケット。惚けてないで仕事しろ。』

『あ、ああ………ところで艦長、ヴァランタインとなにを話したんだ?あの大海賊が引き返すなんて、よほどだぞ?』

『お前にも話せない事はある。今は我慢してくれ。』

『む………分かった。』

納得はしていないようだが、今は仕事に集中すべきだ。マゼラニックストリームの中継地点、カシュケントはもうすぐだが、油断大敵とよく言う。

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『艦長。』

『ン?どうした?』

艦長室へ向かう白野をユニコーンの船医、アンヌ・ジャン・エーヴァが呼び止めた。

『カシュケントに着いたら補給してもらいたい薬剤があるのだが。』

そう言って補給対象のリストを渡してくる。

『ふむ………ビタミン剤、抗生物質、胃薬、船酔い止め、各種ワクチン………分かった。バウトに話しを通しておく。………しかし、君はあまり動揺していないな?先程までグランヘイムがいたというのに。』

『特に気にはしない。』

豪胆な女性である。
皆、マゼラニックストリームに突入してからかなり忙しい。こういう時のために艦長という雑用係が役に立つのだ。
白野は進路を艦長室から事務室に変更した。

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マゼラニックストリーム突入からはや二日。ようやく中継地点、カシュケントが見えてきた。

カシュケント。大マゼラン、小マゼランのあらゆる物資が集結する交易の中心地である。
ここで手に入らないものは寿命だけとも言われている。
さて、白野たちはこの地でなにを見つけるのか………


続く





 
 

 
後書き
今回は戦闘も無く、短めでした。解説もなしです。
あの大海賊があっさり話を信じた件について………私の表現力が足りないせいです。すいません。御都合主義万歳!

ここで重要な質問。
わかる人にはわかるいわゆる、どちくしょうルートはありにするか無しにするか………皆さんの意見を伺いたく存じます。
早めにネタを考えたいので、八話投稿までに感想板に書き込まれた数が多い方を採用したいです。
わかる皆様のご協力、お待ちしております。
 
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