銀河英雄伝説~物騒な副官~
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04平穏
前書き
すみません………提督達が狂うところまで行き着きませんでした…
「はあ~やっと終わった!」
ワーレンの執務室でドーラは大きくのびをした。
「大分仕事に慣れたようだな。」
とライブル。
「はい、参謀長。」
「卿の記憶力には驚いた。どんな些細な事も覚えている。羨ましい限りだ。」
とビュルメリング(ワーレンの参謀の一人)。
「そんな年寄りくさい事を言ってどうする。これからも覚えなければならない事は増え続けるんだぞ。」
その言葉にビュルメリングは顔をしかめる。
「その時は有能な副官を使いますので。」
「有能と一口で言っても、筋肉ムキムキの体育系が来る可能性も有るんだぞ。自分で覚える努力をしろ。」
「では、参謀長はどのように覚える努力をなさっているのですか?」
「決まっている。もし出来なくて軍を辞めさせられたら女房に殺害されると思えば良い。」
「見事なまでの尻のひかれっぷりですね。しかし、私はまだ独身です。」
「当たり前だ。あれを敵にまわしたら…相当ヤバいぞ…泣かれたら、もう…どうしようもなくなる…あれは、きちんと事を成さないと納得しないからタイプだからな。」
「(もしかして奥さんは参謀長を無自覚で尻にひいてるのか…?てか、堂々と惚けてるし…)……幸せそう、ですね…」
思わず遠い目をして言うビュルメリング。
「さっさと結婚しろ。相手がいる事くらい、おれは知ってるんだぞ。」
「まだ、人生の墓場には入りたくありませんよ、参謀長。」
「今更、何言ってるんだ。」
などと、二人が冗談口を叩きあっていると、会議の為に部屋を留守にしていたワーレンが戻ってきた。
「ライブル、ビュルメリング、今何を話していたんだ?」
「はっ。結婚生活の素晴らしさについてビュルメリングに語っておりました。」
「そうか。ビュルメリングには相手がいたのか。」
「閣下、参謀長に何とか仰ってください。小官の自由を奪おうとしているのです。」
「ビュルメリング、こいつに結婚生活の素晴らしさについての知識をもっと叩き込め。」
「了解しました。」
「閣下!!!!!!!!」
「今日は定時にあがってビッテンフェルトやミュラーと飲みに行くつもりだから、仕事が一段落したら早く帰れよ。」
「「「はい。」」」
「ビュルメリング、一つだけ忠告しておく。」
「何でしょうか。」
「戦いがまた始まる前にはプロポーズしろよ。」
「は?」
「自分の愛しい恋人を他人様にとられる前にな。」
「はあ。」
「プロポーズの言葉の文句が思いつかないんだったら、俺からロイエンタールに相談するが?奴はなかなかの文才だぞ。」
「結構ですっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「それは残念だ。まあ頑張れよ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ワーレンがあがってから30分後ーーー
「あれ?」
「どうした、トンクス大尉?」
「閣下の机の上に端末が…」
ドーラはライブルに机の上に放置してあった端末を指した。
「閣下…意外に抜けてるとこあるんだよな…」
「そういえばそうでしたね…」
はあ、とライブルは大袈裟に溜め息をつく。
「どういたしますか?」
ドーラは至極当然の質問をライブルにぶつける。
そんなドーラをライブルはちらりと見ると、若干彼女から目を逸らして答えた。
「閣下の居場所なら分かるんだが…」
「それはどちらですか?参謀長。」
「言わずと知れた海鷲だ。ローエングラム公の元帥府の提督方は大抵そこを利用する。軍の経営だから警備の面も安心出来るからな。覚えておくと後々役に立つぞ。」
「そうなんですか。……あの、閣下にお届けしないと不味いですよね?」
「ああ、不味いな。しかし私は行けない。」
「小官もであります。」
さらりとそう言う男二人にドーラは焦る。
「でもっ!閣下の指揮下でこれを触って良い方は御二人ぐらいしかいらっしゃいません!」
「卿は副官だから触って良い人間の一人だ。問題ない。」
「でもっ!わた…小官は大尉です!海鷲には将官以上の位を有する方しか入れません!参謀長は中将ですし、ビュルメリング少佐も佐官で私よりはまだ入れる余地がありますよ!」
「残念ながら、私はもう帰らないと女房に殺される。」
「私は…人と会う約束をしている。」
平然と言うライブルと少し顔を赤らめて言うビュルメリング。
「………で、小官にこれを届けろ、と?」
「そういうことだ。では宜しく頼む。」
「………了解…」
横暴だ、と小さく呟かれた言葉は、面倒な任務から逃れることが出来て思わずルンルン気分になっている男達の耳には全く入っていなかった。
後書き
次回、今度こそ提督達が狂います。(狂ってます)
内容は…分かる人には想像がつくかも?
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