ソードアート・オンライン~神話と勇者と聖剣と~
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フェアリィ・ダンス~両刃の剣と天駆ける龍~
世界樹へ《6》救世の双刃、真紅の双翼、鋼の相貌
「……シャノン…どうしてここに…」
「な~に。ちょっと助太刀してやりに来たのさ。行くぜセモン。この戦いで、ハザードの奴の目ぇ覚まさせてやろうぜ」
「……ああ」
「行くぜ!『ジェネレート、《バルムンク》!!」
シャノンが叫ぶと、彼の右手に大ぶりの、暗い真紅の両手剣が出現した。
「もう一本!『ジェネレート、《オズワルト》!!」
今度は先ほどの剣よりも金色の装飾が多くなった剣。
「セモン、お前の剣もカスタムしておいたぜ。使いな」
「あ、ああ…」
あの剣。皆を救うために託された双刃。セモンは、その名前を、決めていた。
呼ぶ。その名を。
「…『旋風は吹いていく。この世のすべてを浄化させ、その旋風はどこまでも吹いていく』…出でよ、我が剣!世界を救う、二つの刃!『ジェネレート!《救世天薙剣》!」
セモンの右手に、緑の疾風が吹いた。集まったその風は、弾ける太陽のような光を発し、爆散した。
そして。光が消えた時、セモンの右手には…
かつて彼の使った剣、<草薙の剣>と<天叢雲剣>の刀身が、柄の両側から延びた双剣が握られていた。
「さぁ、はじめようぜ。竜と栗鼠と鳥の三つ巴を」
「…お前が栗鼠か?なんかにあわねぇな」
「うるせぇ。お前だって鳥はにあわねぇよ」
二人が剣を構えると、ハザードもまた、その三本の大剣を構える。
――――――――――戦闘、開始。
ハザードが大剣を突き出す。シャノンが回避。体勢を崩したハザードにセモンが切りつける。
その瞬間、異変が起きた。
「ガァァ!!?」
ハザードが苦しみはじめ、彼のアバターがぶれ始めたのだ。
「!?……なんだこれは」
「《SYANONNS-MADE》の能力…スレイヴ・プレイヤーの除去能力だ。ハザードのアバターはスレイヴのものよりもプロテクトが強固だから、一撃で消滅させることはできない。だが…奴のあの三段重ねのHPバーを削りきれば、スレイヴ化の呪縛から解き放つことができる」
「なるほど!……よし、行くぞ!!」
「言われなくても!」
二人が剣を構えなおし、ハザードに切りかかる。ハザードのアバターもすでにブレが収まり、三本の大剣を握りなおしていた。
「セモン!その装備でなら、ソードスキルが使えるぞ!!」
「やっぱりか!……ようし、そうと確信できれば…」
セモンは両剣の上刀身を上に向けると、それを左斜め前に突き出した。同時に激しいオレンジ色のエフェクトライト。
「一回やってみたかったんだよな、空中でソードスキル使用ってやつ!食らえハザード!!《アラブル・ランブ》!!」
「お前ばっかりずるいぞ!」
シャノンも二本の大剣を構える。
「《シャヘル・ヴォイス》!!」
大剣を振りおろし、ハザードに叩き付ける。
「グガァ…アアあああアアアアアッ!!」
「!!」
ハザードの声が、一瞬だけ、元の人間のものに戻った。
「行ける!このまま押し切るぞ!!」
「おう!任せなセモン!」
ふたりはもういちど、それぞれの剣を構えなおした。
*
「おお~。すっごいな。やるようになったなぁ、清文も。それに秋也にかげっちも大活躍じゃん。どれ、私も干渉するかな……」
「何を勝手なことをしようとしてる、小波」
「ギクッ!!」
「干渉することは許されていない。仕事に集中しろ!二回目だぞ!!」
「はいはい…」
*
「!!馬鹿な!!」
世界樹のてっぺんで、妖精王は驚愕する。
「あり得ない……ファーヴニルに、コントロールが効かないだと!!?」
「(!!……セモン君たちが何かしたんだわ……!!)」
*
「……清…文……陰斗…」
「秋也!!」
「洗脳が解けかけている!!きめるぞ、清文!!」
「任せろ!!」
ハザードに向けて、最後の一撃を放つ――――――!!
「くらえ、秋也ぁぁぁぁ―――――――――――ッ!!」
両剣の二つの刃が、それぞれ激しい輝きを宿す。
シャノンの二振りの大剣も、金色の光を宿す。
「暴れろ!《救世天薙剣》!!《モエサカル・アラブル・ヴァルヴレイヴ》!!!」
「唸れ《バルムンク》!喚け《オズワルト》!!《アメンラー・インティカ》!!!」
「グォアアアアアア!!」
ハザードも三つの大剣それぞれに、かつて《バーティミアス》、《アスモデイモス》、《ザブルガン》と呼ばれた重攻撃を宿す。
セモンの双刃、シャノンの双大剣、ハザードの三連剣……七つの閃光がきらめき、弾け………
「セモン!!」
「お兄様!!」
「いや~疲れたぁ……」
「あんまり長くはなかったけどな……しかしこんなに疲れたのは初めてだぜ……」
セモンとシャノンは、無事閃光の中から姿を現した。
セモンの背には、双翼と竜尾を失ったハザードが担がれていた。
「……お兄様」
「ご苦労様、グリヴィネ。僕の鎌」
「はい。お役にたてて光栄です。……マスター」
コハクは、ここでふと気づいたことを声に出した。
「そういえば…何でグリヴィネは、シャノンのことをたまに《マスター》って呼ぶの?お兄さんなら、別にそんな呼び方しなくても……」
すると、グリヴィネはしばし目を伏せてから、何かを決意したような表情をして、口を開いた。
「セモンさん、コハクさん。お二人に、お話しておかなければならないことがります。……いいですよね?マスター」
「問題ないよ。ぞんぶん語るといい」
グリヴィネは、セモンとコハクに顔を向けなおすと、驚くべき言葉を発した。
「……私…グリーヴィネスシャドウは、天宮刹那は、天宮陰斗の妹ではありません。それ以前に……人間ですら、ありません」
*
「くそっ!!まさかファーヴニルが敗れるとは……」
いら立ちを隠そうともしない妖精王のもとに、外界からメッセージが届く。
「なんだ!!……そうか。分かった」
会議があるから至急ログアウトせよとのことだった。
妖精王はいとしい妖精妃に、また来る、と言って、ログアウトしていった
「……早く助けに来て、キリト君」
後書き
超・久々の投稿!!
やーっと内容が思いつきましたよ!!いやー長かった……。一週間以上もたってしまった……。
さて、そろそろALO編も終盤が近づいてきました。天宮兄弟によって語られる衝撃の真実とは!?
一週間以内の更新を目指しますので、こうご期待!!
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