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魔法少女リリカルなのはStrikerS~赤き弓兵と青の槍兵

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後日談
  ⑯~『魔法使い』がやってくる(後編)

 
前書き
ネコアルク「宴の終わり……それは唐突にやってくるのにゃ」

はやて「今回のは唐突でもなんでもあらへんからな」

ネコアルク「出会いがあれば、別れもある、それが人生なのにゃ」

はやて「少しは人の話聞けや」

ネコアルク「293話、猫と真祖と殺人貴、始まるよッ!」

はやて「勝手に題名変えるんやない!!」 

 
side ヴィヴィオ


あれから一週間がたち、ようやく帰るための手掛かり……凛さんが言うには元の世界の座標を掴んだそうだ。


「で、問題は魔力なんだけど……」
「凛の魔力でなければならないのだったな。地道にやっていくしかないだろう」


しかし、帰るためにはかなりの魔力が必要らしい。
期間にして一週間。その間ずっと魔力を溜め続けていくそうだ。


「魔術って大変なんだなー」
「いや、これは第二魔法よ。魔術に比べても大変なのは仕方がないわ」


と、魔術に対しての感想を言ったら凛さんに指摘されてしまった。


「ま、とりあえず……もう一週間お世話になります」
「む…君は相変わらずの無計k「はい!こちらこそ!」……なのは」
「うん?何かな?あ・な・た?」
「……いや、何でもない」


ママ、強し。我が家の上下関係を思い知った私であった。
……しかし、財布も台所も基本的にはパパが掌握してるはず何だけど……何でだろうね?
ランスさんの所なら分かるんだけどね。あの人は仕事の時以外は家でゴロゴロしているか、お酒を飲んでるか、ナンパしにいっているかのどれかだし。
パパにニート認定されてるし。


「やはり嫁には勝てないんだな……」


そう言う士郎さんの背中からは哀愁が漂っていた。




side 凛


その日の夜、私はアーチャーと公園にいた。


「で、わざわざこんな所まで来て何の用だ?」
「私は聞きたいだけよ。アンタ……帰る気はないの?」
「帰る、か」


私はアーチャーが元いた世界に対する執着を持っているのかを確かめたくてここまで呼び出したのだ。
なのはちゃんとかヴィヴィオちゃんの前では言えないだろうし。


「その表現は違うぞ、凛」
「え?」
「私の帰る所はなのはとヴィヴィオの所だからな」


一瞬コイツが何を言ってるのかわからなかったが、落ち着いてみれば答えは既に出ていたのだった。


「そう。ならいいの。アンタがいいならもうこの話は終わり。帰りましょう」
「まさかこれだけのために……?」
「そうよ。アンタが今の生活を大事にしていることはよくわかったから。私はもう何も言わない。幸せになんなさいよ」


そう言って一足先に公園を出る。私が先頭を行き、アイツが後ろからついてくる。まるで聖杯戦争の時みたい、と一瞬だけ思った。





side なのは


寝室で布団に入ろうとした時、凛さんが話しかけてきた。


「ねえ、なのはちゃん」
「なんですか?」
「アイツのことなんだけど………」


アイツ、というのは士郎君のこと。


「あなたといる時ね、凄く優しい顔してるのよ。私との別れの時に見せてくれた顔をね。だから……幸せにしてあげてね」


そう言ってこちらを見る凛さんはまるで士郎君の母親のようだ、と私は思った。


「はい。任せてください。私と、ヴィヴィオと、この子で彼を幸せにしますから」
「そう……ありがとう。私が言いたかったのはそれだけ。それじゃあお休み」


そう言って凛さんは布団に入った。
士郎君は凛さんのサーヴァントだった時、一体どんな感じだったのだろうか。
凛さんがこんなことを言うのはその時の彼が荒んでいたからなのだと思う。
教えてくれるかはわからないけれど、聞いてみようと思った。




side 士郎(遠坂)


「なあ、ちょっといいか」


凛となのはさん、ヴィヴィオちゃんが寝静まった後、俺はアーチャーと二人でリビングにいた。


「なんだ?」
「お前さ、変わったよな。俺を殺そうとしていた時とは別人みたいだ」
「ふっ……それはそうだろう。あの時の俺は衛宮士郎という存在そのものを嫌悪していた。お前を殺したところで英霊エミヤというシステムが消える保証などどこにもないのにな」


そう言うアーチャーはどこか悟ったような様子だった。


「なら今は……?」
「はっきりと言うならばもうそんなことはどうでもいい。衛宮士郎を憎んだところで英霊エミヤが刈り取ってきた命が戻るわけではない。とは言え、俺がいくら本体とは別の存在になったとしても英霊エミヤが行ってきたことは自身への戒めとして忘れることはしないがな」


そう語るアーチャーはどこか吹っ切れたような顔をしていた。
しかし、本体とは別の存在になった、とはどういう事だろうか……?


「くくく、その顔は別の存在になったという発言の意味が気になるのだな?」
「う……ま、まあな」


どうやら顔に出ていたらしい。
アーチャーは笑いながら語りだす。


「俺も気が付いたのは一年程前のことだ。俺はどうやら令呪によってサーヴァントとして繋ぎ止められていたみたいでな。令呪が失われるとゆっくりと体の内部に変化が訪れた。英霊のコピーとしてではなく、一つの『個』としての命としての感覚が生まれたんだ。だが、それは世界の修正だったみたいでな。どちらかと言えばこの世界の使い魔になったような感じなのだ」


この世界の使い魔は魔法生命体。アーチャーはどうやらそれに近い存在になった、という事らしい。
厳密に言えばかなり違いはあるらしいのだが、俺にはさっぱりわからない。


「まあ魔力はリンカ―コアのおかげで自分で賄えるし、今の現状には満足している。なのはとパスも繋がっているから戦闘時に魔力を供給してもらうことも可能だしな」


結論は今のアーチャーは身体能力以外はほぼ人間と変わりないらしい。
しかし、聞いてもいないことを教えてくれるなんて、アーチャーも本当に変わったな。
話を聞きながら俺はそんなことを考えていた。 




side ヴィヴィオ


そしてついに凛さん達が帰る日がやって来た。


「見送りは良いわ。どうせ結界で見えなくなっちゃうしね」


万が一を考えて、という事で移動は早朝に行う、という事なので起きたのだが……眠い。


「そうですか……」
「そんなに落ち込まないで。この世界の座標は記録してあるから遊びに来ようと思えば来れるわよ」
「またお前はそう言う事に魔法を使う……」


士郎さんは呆れていたが、私もまた遊びに来てほしいと思った。


「それじゃあね。いろいろありがとう。なのはちゃん、またね」
「はい!またいつでも来てください!!」


そう言い残して凛さんは出て行った。
こうして私の魔法使いとの遭遇劇は幕を閉じる。
後日、パパが掃除をしていると凛さんが小さな宝石箱を忘れて帰ったことが判明したが、パパはさして気にしていないようだった。
この宝石箱に何が入っているのかは再び凛さんが我が家を訪れるまではわからないのかも知れない………。 
 

 
後書き
お待たせした上に短くて申し訳ございません。

次回はなるべく早めに上げられるように頑張ります\(゜ロ\)(/ロ゜)/ 
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