IS《インフィニット・ストラトス》 ~死神の序曲~
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本編
凰 鈴音
前書き
昨日投稿する予定だったのですが諸事情により遅れました。
ではどぞ!
~レイside~
僕は箒、セシリアさんと一緒に一夏とISで模擬戦をしようかという話になった。
僕はISを装着しないで一夏の動きを見て、逐一注意していた。
だけど箒とセシリアさんはヤキモチでも焼いたのかな?
箒は打鉄、セシリアさんはブルー・ティアーズで一夏に対して二対一で模擬戦をしていた。
まあ一夏が二対一で敵う筈もなく一夏はボコボコにされていた。
それを見て僕は一夏を慰めながら「まあまだ難しいかも知れないけど慣れれば大丈夫。頑張れ男の子!」と言って背中を軽く叩いてピットに引き上げた。
ピットに引き上げて僕は人に見られないように即座に着替えてその後、一夏と話していた。
「さっきの試合で気づいたことがあるんだけど良いかな一夏?」
「おう、頼む」
いつも模擬戦や練習の後にこうやって僕が一夏に教えて復習している。
「さっきの模擬戦で箒を無視してセシリアさんに肉薄した時に簡単にセシリアさんに距離をとられて後ろから背後から箒に切られたあげく、その後にセシリアさんのビット兵器で蜂の巣にされてたでしょ?あの時に何でセシリアさんに簡単に距離をとられたか分かる?」
「えっと…」
頭を抱えて悩んでいる一夏を見て僕は答えを先に告げた。
「動きが素直過ぎるんだよ。それと箒を無視して接近したのは良いけどセシリアさんに距離をとられたんだったらそこで箒の攻撃及びセシリアさんの反撃に警戒すべきだったね。まあまだまだ初心者なのにいきなり経験者相手に二対一なんか無茶をしてあそこまで持ちこたえたから十分合格点だよ」
僕は何処がいけなかったかを最初に言ってその後にフォローも入れておいた。
一夏は「分かったよ。いつもありがとうな怜」と言ってピットから出ようとした時に扉が開いて凰さんが入ってきた。
「お疲れ一夏。はい、タオル。飲み物はスポーツドリンクだけど良いよね?」
「あぁ、態々悪いな鈴。あ~、生き返る~」
そう言って一夏は鈴さんからすぐにスポーツドリンクを貰って喉に流し込みながらタオルで汗を拭いていた。
そのまま一夏は凰さんと話していたので僕は一言告げて部屋に先に帰ろうと思い、声をかけた。
「私は先にシャワーを使って部屋で休んでおくね。お先に~」
「おう、いつもありがとうな怜」
僕はそう言い先に部屋に向かった。
さてと、シャワーを浴びたらデスサイズの調整でもしようかな。
~レイsideout~
~一夏side~
「ねぇ、貴方も男と同室なんてイヤでしょ?気を遣うし。その辺、あたしはコイツと幼馴染みだしそこら辺は平気だから代わってあげようかなって思ってさ。というわけだから、部屋代わって」
怜が先に引き上げた後に俺は鈴に問い詰められた。
そして怜と同じ部屋ということを言ったら今の通り、部屋に突撃してきたというわけである。
それにしてもどうして俺と一緒の部屋が良いのだろうか?
そうか、久々に日本に来たということで心細いのか。
「ん~、悪いけど無理かな」
「何でよ !? ま、まさかアンタ、コイツに好意でも持ってんの?」
俺はそのやり取りを聞いて、飲んでいたお茶を吹き出してしまった。
な、何を言っているんだ鈴は !?
「鈴、何を言って「まあ友達としてなら好意は持ってるよ。からかいがいのある子だし♪」いるんだ……って俺がからかいがいがあるってどういうことだよ怜!」
俺の言っていることはスルーして怜は喋り続ける。
「でもそんなことに関係なく勝手にやったらいけないでしょ。寮の担当は織斑先生だったから織斑先生に許可を貰ってきたら私は構わないよ。それとも許可もう貰ってきてるの?」
怜に正論を吐かれて鈴は「うっ!」と言い、後ろに後退る。
だが俺は何故か怜があっさり千冬姉が認めれば出ていくということを知り、胸が少し痛んだ。
何だこの痛みは?
「くぅっ!い、一夏、ところで約束覚えているわよね?」
分が悪いと判断したのか鈴は話題を変える。
約束?
そんなことしたっけなぁ………あ、したなぁ。
「約束ってあれか?」
「うん。覚えてるよね?」
鈴が不安そうに見つめてくる。
怜は……興味ありげに見てるなぁ。
「鈴の料理の腕が上がったら毎日酢豚を……」
「そうっ!それ!」
「……奢ってくれるってやつだよな」
俺もよく覚えてたよなぁ。
良かった。
これで鈴にどやされないで済むな。
「………はい?」
「だから鈴が料理出来るようになったら俺にメシをごちそうしてくれるって話だろ?いやぁ、ちゃんと覚えていて良かっ…」
パアンッ!
「……へ?」
俺は気づいたら鈴に頬に平手打ちされていた。
俺は鈴にゆっくりと向き直ると鈴は瞳に涙を浮かばせていた。
「女の子との約束をちゃんと覚えていなかったなんて最低!犬に噛まれて死ね!」
それだけいうと鈴はすぐに部屋から出ていった。
ヤベェ、鈴を怒らせちまったか。
だが俺はあそこまで言われるようなことしたか?
そう思っていたら後ろから肩を掴まれる。
そして一気に引き寄せられたかと思ったら俺はぶっ飛ばされていた。
俺はいきなり殴り飛ばされた後、戸惑いながら顔を上げると怜が冷やかな視線で俺を見ていた。
「私は全てのことは分からなかったけど一つ言えることがあるよ一夏。さっきの一夏は最低だってね。私は、まあ予想だけども凰さんの言いたいことはよく分かったよ。凰さんも悪いところはあったけどさっきのことは一夏が察してあげるべきだったね。さっきの言動に今考えてたこと全てひっくるめて反省しときなさい!私は凰さんのところに行ってくるから」
怜は俺をぶん殴った後にそう言うと鈴を追いかけようと部屋を出ようとしていた。
「待ってくれ怜!行くなら俺も…」
俺がそう言って怜と一緒に行こうとすると、怜はこちらに顔を向けずに俺にこう告げた。
「一夏が今行ってどうなるの?何が悪かったかも分からないで追いかけたって何も解決しない所か余計に傷つけるよ?そんなに傷つけたいなら代わりに行けば?ただ私はその行動を起こした瞬間に一夏と友達の縁を切らせてもらうけどね」
俺はそう告げられてその場で足を止めた。
「まあよく考えるんだね一夏。じゃあね」
俺にそう告げると怜は鈴を追いかけて部屋を出ていった。
よく考える…か…。
さっき何処がいけなかったか考えてみるか…。
俺はそう思いながらベッドに腰かけて座った。
先程殴られた頬より胸が痛む感じがしたがそれよりもさっき何処がいけなかったのか考えることにした…。
~一夏sideout~
~レイside~
僕は部屋を出た後に凰さんを探していた。
凰さんは泣いていたからたぶん人目のつかない場所に移動したと思うんだけど……居た。
あまり使われていない寮の裏口の近くにある自販機コーナーで椅子に座って泣いていた。
僕は後ろに歩み寄り、凰さんの肩に手を置いて話しかけた。
「凰さん」
「ひゃわ !?」
後ろからの声にびっくりしたのか凰さんは可愛らしい声を上げてこちらを振り向いた。
そして僕の顔を見て嫌な顔をしながらいかにも不機嫌ですみたいな感じで話しかけられた。
「何の用よ?」
「凰さんにお話があってきたんだ」
僕がそう言うと凰さんは声を荒げた。
「うるっさいわね!放っておきなさいよ!」
僕はそれを聞き、ため息をつきながら話しかける。
「凰さん、怒るのは勝手だけど怒鳴り散らしても意味ないよ」
「 うるさいうるさいうるさいうるさいうるさーい!何よ?笑いにでも来たわけ?そういうのならさっさと帰りなさいよ!」
凰さんは僕の言葉に耳を傾けずに怒鳴り散らす。
それを見て僕は少し大きな声で怒鳴った。
「いい加減にしなさい!」
「っ!」
僕がこんなに声を荒げて怒鳴るとは思っていなかったらしくびっくりとした様子で静かになった。
それを見て僕はいつもの口調に切り替える。
「ゴメンね、いきなり怒鳴って。でもこれで落ち着いて話が出来るね」
「こちらこそゴメン。ちょっと頭に血が上ってたわ」
凰さんも冷静になったのを確認し、僕は話を続けた。
「凰さん。さっきの話の『酢豚が何とか』ってやつだけど、もしかして『毎日味噌汁を~』とかの酢豚バージョン?」
「……えぇ、そうよ……」
僕が質問すると顔を真っ赤にしながら囁くように呟いた。
「まあ察せない一夏が悪いんだけど、凰さんも悪いところがあったと思うよ」
「…何でよ?」
僕がさっき怒鳴ったせいか逆ギレはしなかったが不機嫌そうな話し方をしながら理由を聞いてきた。
「凰さんは一夏と幼馴染み何だよね?そしたら一夏が相当な鈍チンってことも分かっている筈。なら遠回しに言わずにストレートに告白しなかった凰さんも悪いよ。まあそれを察することの出来なかった一夏が全面的に悪いんだけどね」
「うっ!」
私が理由を言うと凰さんも心の何処かで分かっていたんだろう、声を少し上げて黙ってしまった。
「凰さん、今回こんなことがあったけどまだ一夏のこと好き?」
僕がそう言うとコクンッと頭を縦に振る。
「なら仲直りしようよ。私も可能な限りお手伝いするから」
「…そうね、お願いしても良い?えっと…長岡さん」
「怜で良いよ。そのかわり鈴ちゃんって呼んで良い?」
「良いわよ。よろしくね怜」
僕はその後、 鈴ちゃんの愚痴や話を聞きながら消灯時間ギリギリまで自販機コーナーにいた。
部屋に帰った時は一夏は眠っていたので起こさないように自分のベッドに入った。
殴るのはやり過ぎたかな。
明日謝っておこう。
鈴ちゃんも素直に謝れるかな?
~レイsideout~
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