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ペルソナ4 プラス・エクストラ

作者:小狗丸
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#04

「シャドウ?」

「それって一体何ですか……て、あら?」

「オヒエー!」

 北斗とキャスターが聞こうとするがクマはすでに凄まじい速さで逃げ去っていた。

「あらあら、中々の逃げっぷり。思わず追いかけたくなりますね、狐として」

「呑気なことを言ってる場合か。……来るぞ!」

 不穏な気配を感じて北斗が辺りを見回すと、マンションの壁から床から天井から、仮面をつけた泥人形みたいなのが何体も這い出てきた。

「これが……シャドウなのか?」

 悠の見ている先でシャドウと思われる泥人形達は宙に浮かび上がると、歯の生えた風船みたいな姿となる。

「変身した!? 皆、急いで逃げるぞ!」

 北斗と合図で全員が駆け出し、襲いかかってくる風船の姿となったシャドウの攻撃を避けながらマンションの外に出た。

「と、とりあえず、あの旧校舎まで逃げ……きゃっ!?」

 ベロン☆

 旧校舎に繋がる扉に向かおうとした千枝は、いつの間に前に回り込んでいたシャドウに顔を舐められて気を失ってしまう。

「里中!」

「うわっちゃ~。乙女にあの攻撃はツラいですよね」

 気絶した千枝を陽介が助け起こそうとし、キャスターが心底気の毒そうな表情をする。

「くっ! このままだと追いつかれる! ……キャスター!」

「お任せください。ご主人様、お下がりを」

 北斗の命令にキャスターがシャドウから皆を守るように前に立つ。

「キャスター?」

「おい、青野! 何をやっているんだよ!? キャスターさんを止め……!?」

「黙ってろ」

『…………!?』

 キャスターがシャドウの前に出る光景に悠と陽介は抗議の声を上げようとするが、北斗の有無を言わせない迫力に気圧されてしまう。二人が黙ると北斗は前方のシャドウの姿を確認する。

「敵は三体か……。もっといた気がしたが……まあいい、キャスター!」

「はい!」

 キャスターは何もない宙に円形の鏡を取り出すと、手を使わずに鏡をシャドウの一体に投げつける。

 ザシュ!

「グギュアアア!?」

『…………!?』

 鏡が独りでに回転しながら飛んでいき、更には刃物でもないのにシャドウの体をいとも容易く切り裂く光景に悠と陽介が目をむいて驚くが、キャスターはそれを気にすることなく次の目標を見定める。

「まずは一体! 次っ!」

 ザン!

「グギャア!」

 キャスターが鏡に思念を送ると、鏡は空中で軌道を変更して二体目のシャドウを切り裂く。

「なーんだ。外見は不気味ですけど案外チョロイじゃないですか? ……あれ? 最後の一体はどこですか?」

「キャスター! 上だ!」

 北斗の叫びにキャスターが上を見ると、そこには上空から襲いかかろうとする三体目のシャドウの姿があった。この位置からでは鏡は間に合いそうになかったが……。

「させるか! 【shock】!」

 ズバァン!

「………!?」

 北斗が右手を指鉄砲の形にして叫ぶと、人差し指から光の矢が放たれてシャドウの体を貫き、光の矢に貫かれたシャドウは声にならない叫びを上げて空中で動きを止めた。

「今だ! キャスター!」

「ご主人様、ナイスです!」

 ズバン!!

 シャドウの動きが止まった隙にキャスターは鏡を上空に移動させ、真下に降り下ろすと同時にシャドウを切り裂き、自分の手元に戻ったところで鏡を停止させた。

「これでよしっ、と。」

「すっげぇ……。あいつら魔術師っていうのは本当だったんだ……な!?」

 三体のシャドウを簡単に倒したキャスターと北斗を見ていた陽介は、自分と悠が別の三体のシャドウに囲まれていたことに気付く。

「こ、コイツらいつの間に!? 悠、早く逃げるぞ!」

「え、ああ、…………!?」

 ドクン!

『我は汝、汝は我……』

 陽介と一緒に北斗達のところに逃げようとした悠だったが、突然頭の中から聞こえてきて謎の声に足を止めた。

『今こそ双眸を見開きて……』

 気がつけば悠の右手には見たこともない一枚のカードがあった。

『今こそ……発せよ!』

 頭の中の声が終わると、悠は全く意識せずに口を動かし、その言葉を呟く。

「ペ……ル……ソ……ナ……!」

 ゴォッ!

 悠の言葉を応えるように彼の周りに光が渦巻き、そこから放たれる力の波長にその場にいる全員が動きを止めて注目する。

「悠!? お前、何を……あれは!?」

 その時北斗は悠の体から人影が浮かび上がるのを見た。

 鉄仮面を被り、漆黒のロングコートを羽織り、手に槍を持った異形の怪人。

「このプレッシャー……サーヴァントか!?」

「いえ、サーヴァントとは少し違うような……というよりこの匂いって、もしかして父!?」

 悠から現れた怪人を見たキャスターの言葉に北斗は信じられないといった顔をする。

「父!? お前の父って……あれが『イザナギ』だというのか!?」 
 

 
後書き
サーヴァントとペルソナと色々と共通点があると思いませんか? そのこともこの作品を書こうと思った理由の一つです。

【ペルソナ側から見たキャスター】
名前  :キャスター
アルカナ:太陽
耐性  :物弱 火耐 氷耐 雷耐 風耐 光無 闇無

【フェイト側から見たイザナギ】
クラス :セイバー
真名  :イザナギ
能力値 :筋力B 耐久B 俊敏B 魔力B 幸運B 
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