なのは一途のはずがどうしてこうなった?
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第十章 新人と機動六課
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「まずまずだな。二人共良い感じのコンビというのに間違いはない。けど――」
「まだ、実力と実戦が足りない、でしょ? ミウラ教導官」
新人二人の様子を俺となのはで見守っていた。
仕事である以上、呼び方が固くなる。
「高町教導官。彼女達、たぶんゴール付近でやらかすと思うのでサポートを頼みます」
「ん、了解」
誰も見ていないからと言って不意打ちでキスとは。
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スバル・ナカジマは憧れの人物を前に試験の是非など忘れて高揚していた。
「あ、あの私、高町教導官に憧れて……。それに、ミウラ教導官も尊敬していて……。とにかく、私、人生の最大の幸福にいると思います!」
憧れの二人。尊敬の二人。
「ちょっと、スバル! いい加減にしなさいよ! 私だってミウラ教導官のサイン欲しいんだからね!」
スバル・ナカジマは体術の心得を持っており、ティアナ・ランスターは射撃の心得を持っていた。
私は嬉しかった。
体術の心得の作者であるミウラ・ケイタに会えた。
だから、ちょっと周りが見えなくなっていた事に反省した。
「ごめーん。ティア。私、ちょっと周り見えなくなってたよ」
「わかればいいのよ……」
ティアの眼。
マジマジと上官であるミウラ・ケイタを見る目は、期待出来る。
今度の同人誌のクオリティが楽しみだ。
「書籍のファンはありがたいが、仕事中だ」
怒られた?
「スバル・ナカジマ二等陸士。近接戦闘は目を見張るものがある。先ほどのは高町教導官の真似事か?」
アレは、なんというか……。
憧れの人の技名を拝借したものだ。
「ティアナ・ランスター二等陸士。射撃と幻術、状況判断もなかなかだ。兄と比べるのはあれだが、潜在的な能力と成長性を見ると、いずれ兄を超えるだろう」
ティア。う、羨ましいな。
もっと私を褒めて欲しい。
私はほめられて伸びるタイプだ。
「スバル・ナカジマ二等陸士は体力と魔力が恵まれているみたいだから、鍛えればいずれ近接戦闘に欠かせない主戦力になるだろう。まあ、試験自体はダメダメだが」
褒められたが、試験の合否が告げられた。
試験終了後直接合否を告げられるのは初めてだ。
「不合格……。スバル! アンタが悪い!」
「そんなぁ~。試験中は私を置いて合格しろって言った癖にぃ~」
落胆する私達にミウラ教導官はさらに告げる。
「と、まあ口頭で不合格通知を出した所で、これは正式な合否発表ではないので心配しないで欲しい」
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「ティアナ・ランスター二等陸士はまず、左足の治療だな」
そう言ってミウラ教導官が私に近づいてきて、挫いた左足のブーツを、脱がそうと屈んだ所で、
「ち、ちょっと待ってください。ブーツは自分で脱げますから!」
苦言を言うのであれば、今の私のブーツを脱がそうとしないで下さいと言いたい。
汗臭いかもしれないし、足が臭うかもしれない。
それを上官である人物に言えるはずもなく、されるがまま治療をされる。
「捻挫だな。この足じゃあ碌に動けないから遠隔の幻術に切り替えて味方のサポートに徹するか」
簡単に見抜かれていた。
あぁ~。やっぱりこの人、良いなぁ。
本局で不敗の名将。
エースオブエースと肩を並べる人物。
非公式だけど、若手女性局員の付き合ってみたい男性アンケート1位。
さらに、将来玉の輿ランキング上位。
ついでに、私の同人誌で攻め受けどちらを書いても売上上位。
人気があるのは兄のティーダ・ランスターとの絡みだ。
それはどうでもいいわ! このアングルの顔を脳に叩きこまなければ!
やばいわね。ちょっと濡れてないかしら……。
「自分の身を守る事も優先すべき事だ。残量魔力も少ない。その辺りは今後、機動六課に入れば解決していける」
それは、つまり、
「再試験があるって事ですか?」
左足の治療を終えたミウラ教導官が笑顔で頷く。
「そうゆうこと。頭の回転もよろしい。今後の活躍に期待するよ」
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「サービスにも気をお配りですか? ミウラ教導官」
「八神二佐。それはどういう意味でしょうか?」
自覚ナシかい!
先程のやり取りだ。
褒めて貶して、持ち上げて褒める。
トドメに笑顔や!
多感な時期の女の子相手にようやるわ。
「いえ、見事な勧誘でしたので……」
「サインのことでしょうか? 試験は終了していたので私としてはセーフだと思いましたが」
話が交差していない気がする。
「その辺りは私としては兎や角言うつもりはありません」
頭の上に疑問マークが浮いていそうな顔だ。
女の子にフラグを立てた事に自覚は無いらしい。
これは新人に対して注意が必要な案件だと確信する。
職場恋愛ナシにしてやろうか……。
「なあ、ケイタ。実際あの二人どうなん?」
「放置しておくには惜しい。入隊するかは彼女達の判断に任すが出来れば機動六課に入れておきたい人材だな」
まあ、あの二人の様子だと確実に入隊するだろう。
確かに能力の伸びしろを鑑みるとミウラっちの言うとおりだ。
ついでに、勇気を持って呼び捨てにした事に関しては何も反応はないのはなんでやろ?
「はやて、別に呼び捨てで構わないし、今更って感じだがこれからもよろしく頼むわ」
何を頼むかはわかりきった事だ。
こういったコチラの欲しい解答を自然としてくれる辺りがミウラっちの良い所であり、悪い所だ。
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二人の新人。
特急フラグメーカーの主人公。
配点:(フラグ)
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