一般人(?)が転生して魔王になりました
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帰国、驚愕、約束、また驚愕
前書き
お久しぶりです。ノリと勢いで話を書いているビヨンです。
学校の第一の魔王(試験)を倒すものの、第二の魔王(試験)が迫る中、そんな事気にしてられるかという気持ちで書いた話です。
第二の魔王(試験)を倒しても第三の魔王が現れ、勇者(作者)を襲う。だが勇者の前には最凶の敵(英検)が現れる。
何この4キルは。5月後半と6月前半がキツイ。
ああ、長期休みが恋しいです。けど、今年は忙しいんですけどね。
作者の愚痴となってしまいましたが、相変わらずの駄文ですが本編をどうぞ。
目が覚めたらそこには青い空が広がっていた。
起き上がってみると少しだが煙が立っており、まだ火が消えきっていないのだろうと推測した。
「あ~、何か頭がボーっとしてるな」
何か途轍もなく貴重すぎる体験をした気がするんだが頭に靄が掛かっていて思い出せない。
しかも、何だ? この呪力の多さ。高位の術者が百人いても捻り出せる量じゃないんだが。
それに、ビックリしすぎて何か重要な話を聞きそびれた感じがするな。はて?なんだったか?
ん? ちょっと待て。
そこで昨日あった出来事を思い出していく。
へーパイストスと戦い、終式を使い肉体がボロボロになるも、へーパイストスの体全体を切り確実に殺すために頚動脈と心臓を切った。で、死ぬ筈だったのに生きており、更には傷も治っていると。そして自身の中にある力と膨大な呪力。それらを総合して考えると…
「……成ったわけか、神殺しに」
はあと溜息を吐きながら今後の事を考える。
膨大な呪力を撒き散らした者がいた筈なのにそれが唐突に何故か姿を消した考えるだろう。
そうなると何処かに消えたか誰かが倒したと考える。
何処かに消えたと皆さん考えればいいのだが、誰かが倒したと発想したのなら最悪だ。
誰かが神を殺し、神殺しとなったとなる。今いる王は確認されているのでも四人。
その四人の動向を観察している者がいて(まあ、バレたら王によっては死ぬだろうが仮にだ)、誰も動いておらず神が倒されたなんて知られたら新しい王が誕生したという答えに辿り着く。ならそれは誰だと言う事になり業界が荒れるのだ。そして、取り入ろうとする連中がいる。
「……果てしなく面倒だな」
逃げるか。幸いにもホテルに荷物は残して居らず異空間に閉まってあるため直ぐにでも移動が可能だ。結論としては即帰るべきなのだが…
「……そうは問屋が卸さなそうなんだよね」
神殺しとしての勘か、はたまた戦いに身を置いていた『御剣』としての勘かは分からないがその勘が当たり一騒ぎ、否。二、三騒ぎが起こるのはまた別の話である。
◇ ◇ ◇ ◇
御剣蓮華が神殺しとなり、四日後。アテナに一週間と宣言した蓮華は日本に戻ってきた。
ギリシャで色々在ったのだ。それはもう激動の四日間であった。
「………しばらく、ギリシャには行きたくないね」
ギリシャでヘーパイストスの他に三柱の神と戦い、打ち倒し権能を簒奪してきたのだから。
「……アレほど死を意識した日は無かったな」
倒したと思った次の日には別の神と戦い、のんびり出来ると思えばまた別の神と戦う。え?何これ?呪われているのか!と思ってしまうのは無理もないと思う。
「あ~、帰ってき…た……な………」
蓮華の声の音量は段々と小さくなっていった。
何故か?それは、
「…………な、な、なんじゃこりゃあああああああああああ!!?」
自分の家の庭の地面が砕け、捲れあがり、切り裂かれた跡があり、その土肌を晒していた。最も目に付いたのは無数のクレーターが出来ている事である。小規模ながら隕石が落ちてきたようになっており、これが一番目に付いた。
蓮華は気配が在るのを感じ、円・劣を使い、居場所を探す。カンピオーネになり円・劣の性能が上がり、索敵範囲がかなり上がった為、よく分かる。
そして、円の中に二人ほどの気配を探知した。一人は馴染み深いアテナ。もう一人は、誰だか分からないが、相当な実力者だと思える。
居場所を見つけた蓮華は、玄関扉を開け、階段を駆けていき、アテナがいる部屋の扉を勢いよく開けた。
「アテナ!! 俺が居ない間に何があった!?あと、もう一人は誰!?………って、はあ?」
部屋を開けた蓮華が見た光景は
「―――貴様の淹れる紅茶は美味いな。しかし貴様とは分かり合えないだろうが」
紅茶を飲みながらそんな事を言うアテナ。もの凄く機嫌が悪い。
「それはありがとうございます。流石は落魄したとは言え神々の頂点に立ったアテナ様。紅茶を飲まれている様は絵に成りますね。尤も本来の姿に戻れず、少女のままですが」
アテナの不機嫌の元凶と思われる者がそこにいた。紺色の髪に執事服を着用しスコーンを置いている青年がアテナに毒を吐いていた。お~い。そこの執事さん。死のうとしているんですか?守護神とはいってもアテナは神ですよ。バリバリの戦闘系ですよ。
「何だ貴様?余程死にたいらしいな」
アテナは鎌を手に持ち、呪力を撒き散らし、構えた。
「まさか。事実を言ったまでですよ。それにこれ以上戦えば屋敷を瓦礫の山に変えかねないとお互いに思い、休戦しているのですよ。そんな事も忘れたんですか?」
執事の青年も袖から銀製のナイフやフォークを指の間に持ち、いつでも投擲できるようにしている。
事態は一触即発の空気に成った。
正直言おう。これは、ヤバい……。
何がかって? ここで戦闘なんぞされたら此処を中心としている地脈が乱れ色々と影響を及ぼす。あと家が無くなったりする。
もしかしてこの二人、俺が居ない間、ずっとこんな事をしていたのか。そして険悪なのかこの二人は。
背筋に大量の冷や汗を滝のように流しながらもこの事態をどうするかを必死に考える。
そしてその答えが
「………えっと、何しているの?」
取り合えず声を掛けるである。
これで止まってくれれば御の字。止まらなければ最悪、蓮華の行動が引鉄に成り戦闘開始。そうなれば、止められる可能性があるのは現時点で蓮華ただ一人。ただ、神殺しになった蓮華は加減というものが難しくなっているので、無傷での制圧なんぞ無理。まあ、今のレベルではこの二人を無傷でなんていうのが無理なのだが。
そして結果は
「……ほう」
「……」
蓮華の声に反応しピタッ!と動きを止め、アテナは鎌を、執事はナイフとフォーク、それぞれの得物を納める。そして一触即発の空気は消え去った。
「帰ってきたか蓮華よ」
アテナが近寄りながら蓮華に問いかける。
「ああ、うん。まあ、帰ってきたよ」
タイミングが良いのか悪いのか分からないが。
「やはり、神殺しとして新生したか」
蓮華が神殺しに成ったのを見て、微笑するアテナ。先の空気が無けれかなり良かったと思う。
「……あははは、まあね。……って、その口振りからすると俺がそうなるって知っていたわけ?」
「ああ、そうだ。泉華から聞いていたぞ」
何を今更なという顔をしてそう言うアテナ。一体何処まで読んで(視て)いたんだ。泉華さんは?
「して、どうする?このまま戦うか?」
「遠慮しておく。ギリシャでの四日間と先の場面で今は戦う気力が起こらないし、疲れが溜まっているんだよね」
肩を叩きながらそう答える蓮華。アテナは蓮華の体全体の何かを見据えていた。
「ほう。その漏れている気配から察するに鍛冶の神と、習合している神に、死者を蘇生させた医術の神の権能を得たか?」
アテナが蓮華の戦い得た権能を当ててきたので、蓮華の肩はギクッ!と震えた。
鋭いな~と思う反面、何で分かったんだろと思うのは当然であるが直ぐに理解した。
「…智慧の女神だから分かったのか?」
倒した神はギリシャ神話系列の神だし。
「それもあるが……。まあいい。貴様は妾と戦いたくないようだからな。妾としては良しと思う半面、残念と思っている。暫らくは諦めるとしよう」
言い淀んだアテナ。何を言おうとしたのかそれはアテナのみぞ知るというものである。
「……暫らく?」
「ああ、暫らくだ。これは約定の内に入っている事だぞ」
泉華さんは一体何を約定としてアテナに結ばせたのか非常に気になる今日この頃でした。
「と言っても六年先の話だが」
「は?何故に六年?」
アテナの事だから少し先にすると思ったが、それが六年先と言う。何があったんだ?
「今の妾はある“物”が欠けている不完全な状態だ。そんな妾が成り立てとは言え神殺しと戦えば敗北する確率が高い」
なるほど。何かしらの物が欠けているアテナは今戦う気は無い。戦うのならその欠けた物を取り戻して戦うと。そう言う訳か。
「で、その六年って言うのは?」
「その欠けた物が確実に手に入る時期だ」
例によって、泉華さんによる未来視か。
「OK。じゃ、それまで休戦と言う事で」
「そう言うことだ。くれぐれも妾と戦う前に死ぬなよ_蓮華」
「出来れば十二年も過ごしている家族と戦いたくないけどね。……まあ、無理なんだろうけどさ。なら―――」
六年という時間が在るのなら自分をより高みへと上げる。そこで自身の全てを見せ付けてやろう。アテナが育てた神殺しは此処までの領域に至ったのだと。
「戦うからには全力で勝たせてもらうよ、アテナ」
六年後へ取り決められたこの戦いは蓮華とアテナの大切で、楽しい思い出となるのであった。
「ところでアテナ。あの執事とはやっぱり険悪なのか?」
執事の事を聞くとアテナの先の上機嫌さが嘘のように消え、機嫌が急降下していき、呪力が漏れ、周りが軋み始め、死を感じさせるそれへと変わった。
あれ?やっぱり地雷でも踏んだ!?俺が居ない間に何をしたんだあの執事は!?
「―――あの執事と妾は水と油だ。決して混ざらず、反発する。再び戦えば」
この屋敷が瓦礫と化すぞ。
そう言い、アテナは自室へと向かって行った。
「………一度戦ったのね。取り合えず、あの執事に聞いてみるか」
一体何があったのか聞きたいのもあるがアテナの様子からしてみるとかなり不快な事があった様だ。ぶっちゃけ聞くのが怖いので執事に聞いてみよう。
「……んで、誰ですか?」
「先ほどはお見苦しい所を御見せして申し訳ございませんでした。私、四百年ほど前に御剣家に仕えていた御剣家専属執事_シリウス・F(フォルベルツ)・マクラーゲンと言います。以後、よろしくお願いします。若き当主_蓮華様」
執事_シリウスはそう言うと腰を曲げて挨拶をした。その礼には年を重ね、磨かれたような礼であった。
「ご丁寧にどうも。…………ちょっと待て。四百年って言ったな」
何かもの凄い年月を聞いたのだが。聞き間違えか?
「はい」
「どうやって今まで生きていた?」
四百年もの長い月日を人間では生きられない。そこまで生きられるのは神か神殺しくらいしか知らかった。……いや待て。何処かで千年以上生きている奴がいたと聞いた気がするのだが、何だったかな?
「ああ、その疑問ならご尤もです。それに関しては長い話なので座って話しましょう」
とてもいい笑顔でそう言い、談話室へと向かったのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
「……何故だか今日一日でもの凄く疲れる気がするな」
自分の家なのに疲れるとはこれ如何に?まあ、理由は分かっているんだけどね。現実逃避しているんだよ。
そう思っていると扉を開けて元凶の一人である執事_シリウスがティーセットを持って入ってきた。
「お待たせしました。私の話は少々長いのでお茶を飲みながらお聞きくださいませ」
紅茶を置きながら話していくシリウス。
「ありがとう。………で、シリウス。君は一体何なんだ?」
取り合えず疑問に思っている事を聞く。
アテナと何があったのかは後にして、先にある疑問を処理しよう。
「そうですね。端的に申しますと、人であって人にあらず。化物であって化物にあらず。――まあ、吸血鬼のような者ですかね」
「吸血鬼ね。…………はあ!? 吸血鬼ってあの血を吸う!」
人を餌とし血を吸い、永遠の若さと力を手にする怪物。圧倒的な膂力は人では相手にならず、倒すことは困難を極める。十字架やにんにくを嫌い、鏡に映らず、太陽の光にあたると塵と化して死ぬ。または心臓を潰される事によって死ぬ怪物。
「その吸血鬼ですよ。尤も私は吸血鬼モドキというのが正しいのですがね」
「……モドキだと?」
「そうです。私は自身の異能と魔術の融合の末に生まれたそう言った存在なんですよ」
何だか凄い話になってきたな。おい!
後書き
今回はあらすじに書いていた吸血鬼モドキの登場でした。いやー、この話を投稿するまでに二週間近くも掛かるとは、遅くなりましたね。
試験は面倒だ。
まあ、将来なんかを考えると勉学は必要なんで頑張りたいんですけど、気がついたらパソコンと向き合っているので、中々勉強が進まないんですよね。はっはっは!
では、また試験へと向かうので更新は遅くなります。それでは次回まで作者が生きていればまた会いましょう。
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