ハイスクールD×D ~銀白の剣士~
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第1話
Side 渚
皆さん初めまして、兵藤渚です。名前からわかるように兵藤家に転生したのです。イッセーとは双子。イッセーが兄で、僕が弟です。一人称が変わったのは、両親の強要です。神のせいで、見事な男の娘しかも、鈴白なぎさ似になってしまった俺に対し、両親は俺というと、一日中女装して過ごさせるようにしました。髪を切って短くすることもできません。見た目は女の子でも心は男なのです。女装は嫌です。したくありません。よって、一人称を変えるしかなかったのです。
「おーい! 渚~」
僕の名前を呼びながら、走ってくる人物に目を向ける。
「どうしたの? 兄さん」
みんなご存じ、僕の兄にして主人公の兵藤一誠。ちなみにクラスは別になった。まあ、イッセーは原作の通りスケベだ。ただ、僕の容姿が影響したのか、こいつは僕を男じゃなくて女と見ているような気がする。まあ、この学園の全員(一部を除く)がそうだろうが。
血縁関係は、この学校ではもっぱら嘘の扱いだ。一方はスケベな普通の男子。もう一方は、美少女にしか見えない男子。まあ、信じられないのはわかる。
ちなみに、この学園には僕専用のトイレと更衣室がある。原因は男子の「鼻血が出る」やら「男のはずなのに着替える姿が色っぽい」などの苦情?があったせいだ。まあ、正直男色の気がある人っぽいのもいたので、よかったといえばよかったのだが。
「一緒に帰ろうぜ」
「まあ、構わないよ」
周りの男子からは
「あいつ、抜け駆けしやがって」
「兵藤死ね」
の声。女子からは
「渚ちゃん、逃げて!」
「あのエロガキ・・・・」
「兵藤死ね」
の声。・・・・・・・我が兄ながら、ここまでの嫌われようは泣けてくる。
ちなみに、俺のちゃん付けは言っても直らないので諦めた。僕をくん付けで呼ぶのは一部しかいない。
そんなことで、僕は帰ろうとすると、急に腕を掴まれた。
「渚、今日は僕と剣道の約束をしていただろう? 部長さんもたまには参加してくれって言ってたし」
振り向いて、見てみるとこの学園で一番イケメンと名高い、木場祐斗だ。言い忘れていたが、僕は剣道部に所属している。去年は全国大会で優勝もした。僕は鈴白なぎさ本人とは違うので、試合で緊張して実力を出せないと言うこともなかったので優勝できたのだ。まあ、優勝してからは顧問の先生から『お前は、他のみんなと実力が離れすぎているから来なくていい』なんて言われてしまって、現在は幽霊部員のようなものだ。
『キャーーーーーーーーーーッッ!!』
女子の歓声が廊下に響き渡る。
「木場くん×渚くんのカップリングよ」!
「いいえ、もしかしたら、渚くん×木場くんかも!」
そう僕をくん付けで呼ぶのは、腐った女子の皆さんと僕をちゃんと男として見ている人だけである。後者はうれしいが、前者はちっともうれしくない。
「あ~、そうだっけ?」
木場とは、授業であった剣道の試合で勝ってしまったことと、僕が全国大会で優勝したことから、たまに試合をしてくれと頼まれるようになった。魔力を使うと気づかれるかもしれないので、四次元視は使わなかったが、それでも十分に剣筋が見えた。まあ、木場も悪魔の力を使っていないので、お互い本気でやったらどうなるか気になるところである。ちなみに木場は僕以外の剣道部員には勝っていた。
「そうだよ。約束はまもってね」
「あ~。兄さん、そういうことだから」
「ああ。(キッ」
一瞬、親の敵でも見るような目で木場を睨みつけてから、立ち去って行った。
その後、久しぶりに剣道場に行って、木場と試合をした。結果は僕の勝ち。木場が悪魔や騎士としての、力を使っていたら目で追えないかもしれないが、まだ大丈夫だろう。
Side out
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Side 祐斗
ああ、どうも。木場祐斗です。僕は今、剣道場で一人の男子と対峙している。名前は兵藤渚。外見は完璧に女の子にしか見えないが、彼の剣の腕は一流だろう。全国大会で優勝したのもうなずける。
周りには、何人もの部員が観客としている。何人かの女子部員は悶えているが放っておく。彼女たちを意識していて勝てる程、渚は弱くない。むしろ、意識していたら一瞬で負けるだろう。
「ふぅ・・・・・。それじゃあ、いくよ!」
彼女たちを意識から追い出し、駆け出して、竹刀を振るう。騎士の力は使わない。渚くん相手に使ってみたい気持ちはあるが、これはこれでいい。
「ハァ!」
僕にできる限りの速さで、振った竹刀は完璧に見切られて空気を切る。
「速い!」
おそらく初めて見る人が、驚いて声を上げているが、外野の声なんて聞いちゃいられない。
渚は、僕の攻撃を避けて、横なぎに竹刀を振るってくる。
「ヤァッ!」
僕はなんとか体をそらして、渚の竹刀を避ける。渚のスタイルはカウンター型。恐ろしいほどいい目で、攻撃を見切り相手を一撃で倒す。そういうスタイルだ。なので、僕は攻撃をしながら、一カ所にとどまらないように移動する。足を止めたら、間違いなく渚の竹刀が僕に当たるだろう。
「セァッ!」
できるだけ速く攻撃を繰り出す。上下左右考えられるだけの攻撃をするが、渚は完全に見切って体捌きだけで、僕の攻撃を避けていく。竹刀で受け止めることもしないなんて、なんという出鱈目。目で攻撃を追えることもさることながら、その目についていける身体能力も目を見張るものがある。
「面ッ!」
そして、攻撃の一瞬の停滞をついた面。僕はその隙を見事に突かれてしまった。渚の竹刀は僕の頭上数センチというところで、止まっている。
「僕の勝ち」
「・・・・・そうだね」
畜生・・・・・。結果はいつも僕の負けだ。
「それじゃあ、僕はもう帰るよ」
彼はそう言って、テキパキと防具を片づけて去っていった。
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「あら、祐斗。遅かったじゃない?」
「すみません」
あの試合の後、僕は剣道部の部長さんにお礼を言って、オカルト研究部にきていた。室内のいたるところに文字が書き込まれている。普通の人からしたらかなり変わった部屋だ。
「どうかしたの?」
出迎えてくれたのは、部長にして僕の主のリアス・グレモリー。見ると、僕以外の眷属は僧侶の一人を除き全員そろっていた。
「いえ、僕もまだまだだなと」
確かに、騎士としての力は使ってないけど、彼と僕では地力が違いすぎる。以前に悪魔の身体能力も使わないでやったことがあるが、彼は僕の初撃をカウンターで合わせ、一本を取っている。おそらく、騎士の力を使っても、ギリギリ勝てると言ったところだろう。いや、もしかしたら勝てないかもしれない。うぬぼれではなくて、僕には才能があるだろう。しかし、渚の前ではその才能は霞む。
「・・・・・・どういうことですか?」
この子は、塔城小猫ちゃん。小柄で無口な子だ。駒は戦車。
「うん。部長? 兵藤渚って知っていますか?」
「ええ、知っているわ。女の子みたいな男の子でしょう。去年は剣道の全国大会で優勝していたし、彼、有名ですもの」
どうやら、知っていたようだ。確かに、渚はいろんな意味で有名なので知っていてもおかしくはない。
「あらあら、その子がどうかしたのですか?」
この女性は、オカルト研究部副部長の姫島朱乃。ポニーテールが特徴のいつもニコニコ笑っているが実はドSな先輩だ。駒は女王。
「実は、彼と剣道で試合をしてきたんですが、結果はボロ負けでしたよ」
全員が驚いた顔で僕を見てくる。
「もちろん、騎士の力は使ってませんが使っていませんが、それでも彼は僕の竹刀を受けることはありませんでした。全部見切られて、体捌きだけで避けられたんです。地力の差、才能の差を感じました。全国大会優勝は伊達じゃないですよ」
「・・・・・・・・それは、事実なの? 駒の特性を使用しなかったということは、悪魔自体の身体能力で戦ったのでしょう?」
みんな、「驚愕」という言葉がぴったりな表情をしている。
「はい。周りに剣道部員もいましたから、間違いありません」
「・・・・・・・・・・・・・・・祐斗は決して剣の腕は悪くないわ。その祐斗の剣を竹刀で受けることすらしないで、全部避けたですって・・・・・・・・」
「・・・・・・・びっくりです」
小猫ちゃん、そんな無表情で言っても説得力がないよ。
「だとしたら、その子欲しいわね」
部長が、あごに手を当てて言う。
「そうですわね、部長。いい騎士になるかと」
同意するように朱乃さんがそう言う。
「いいと思います。彼が味方になってくれるのは心強いです。それに本人は気づいてないようですが、かなりの魔力を持っているように感じます」
「本当に? だとしたら、かなりの逸材ね。」
そして、彼をどうやってこちら側に引き込むかの話し合いが始まった。
Side out
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