八条学園怪異譚
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第二十六話 植物園その十
「うわ、大きいね」
「やっぱり人間って大きいね」
「踏まれないように注意しないとね」
「そうだよね」
「宜しくね」
二人は笑顔で彼等に応える。
「ちょっと今日はここでお花が咲くの見に来たけれど」
「見ていいかな」
「どうぞどうぞ、見ていってよ」
「怪談は見せる為のものだからさ」
怪談であることを自覚している言葉だった。
「だからさ、愉しんでね」
「今からね」
こうした話をしてだった、そのうえで。
コロポックルの一人が二人を見上げて残念そうに言ってきた。
「ただね、二人共ね」
「あれっ、何か残念そうだけれど」
「どうしたの?」
「スパッツはくのはないよ」
こう言ったのである。
「スカートの中にね」
「いや、精霊さんって小さいって思ったから」
「下からひょっとしてって考えてね」
こうしたことには鋭い二人だ、だからだった。
「あらかじめ体育のスパッツはいてきたけれど」
「正解だったみたいね」
「スカートの中のスパッツは絶望の証だよ」
このコロポックルは本当に絶望した顔で言う。
「せめてブルマやアンスコだといいのに」
「私達ブルマはいたことないから」
「どういう訳か時々この話が出るけれど」
「ブルマはね、浪漫だったんだよ」
コロポックルの顔が郷愁を見るものになっている、そのうえでの言葉だった・
「本当にさ」
「漢の浪漫かも知れないけれど女の子にとっては羞恥プレイだから」
「存在自体がセクハラじゃない」
それがブルマだというのだ。
「テニスでも考えてみれば半ズボンでいいわよね」
「そうよね」
「夢がないね、二人共」
このコロポックルは残念そうに首を振って二人に言う。
「そういう考えはよくないよ」
「いや、よくないとかじゃなくて」
「女の子にとってはなのよ」
二人は女の側から話す。
「ブルマってどう見ても下着じゃない」
「下着で外を動き回れないから」
今の視点ではそうなる。
「体育の時とかただでさえ男子見るのに」
「この半ズボンでもスパッツでも」
やはりスタイルが出る、それで思春期の男子が見ない筈がない。
「それでブルマって」
「見て下さいっていうどころじゃないわよね」
「もうじろじろ見られてね」
「性犯罪の基よ」
「昔は普通だったんだけれどね」
コロポックルは残念そうに呟いた。
「それが」
「今は全然普通じゃないからね」
「今着せたら訴えられるわよ」
「もうそうしたお店かアニメにしかないから」
「アニメでも相当減ったわよ」
「世知辛い世の中だよ」
コロポックルは肩を竦めさせてその首を悲しそうに振った。
「ブルマがないとこの世はどれだけ寂しいか」
「女の子にとってはいいの」
「それにスカートの下がスパッツって特撮でもじゃない」
今ではそうなっている、大抵黒だ。
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