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八条学園怪異譚

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第二十六話 植物園その一

                 第二十六話  植物園
 二人は動物園の象のコーナーの傍にあるベンチに並んで座っている、そこでアイスクリームを食べながら猫又、送り犬と話をしていた。
「いや、水族館実際に行ったけれど」
「凄かったわ」
「だろ?あそこはまた別なんだよ」
 猫又は今は周囲を気にして四本足で立ってそのうえで二人に応える。尻尾も残り一本は尻から腹に回して隠している。
「宙を泳ぐ魚なんてさ」
「うん、壁も水槽も通り過ぎてね」
「実体じゃ無理だからね」
「実体なんてあれなんだよ」
 猫又は二人に言う。
「檻みたいなものでさ」
「魂を囲ってる?」
「そんなの?」
「うん、ただ食べる楽しみがなくなるよ」
 このことが問題だというのだ。
「これは辛いだろ」
「確かに、トンカツが食べられないっていうのは」
「サンドイッチも」
 二人は何気にそれぞれの好物を出して言う。
「あと鯖の煮付け定食もだし」
「ジャムパンも」
「それどれもお店で扱ってるのだよね」
 送り犬は普通の犬の格好で応じる。
「そうだよね」
「うん、他にも色々好きだけれど」
「そうなの」
 その通りだとだ、二人も普通に返す。
「お店でもトンカツが一番売り上げfがいいし」
「私達もよく食べるのね」
「二人共お店の娘の鏡だね」
 送り犬も感心することだった。
「これはいい娘さんになるね」
「有り難う、これからも頑張るからね」
「応援してね」
「今度お邪魔させてもらうよ」
 猫又はここでこう言った。
「是非ね」
「いや、猫とか犬がお店に来たら」
「ちょっとね」
 二人はこのことにはあからさまに嫌そうな顔を見せて応えた。
「不衛生って思われるし」
「他のお客さんも困るから」
「飲食店に動物系はね」
「お店で飼ってる動物でも五月蝿い場合あるから」
「じゃあ裏手から行くからさ」
「そうするね」
 二匹は全く怯まない、それならというのだ。
「それだといいよね」
「お金もあるからね」
「まあそれならいいけれど」
「お店の裏手なら」
 二人もその妥協案に納得して返す。
「表じゃなかったらね」
「まだいいから」
「そういうことでね」
「他の皆も一緒に行くかもね」
「って他の妖怪さん達も来るの」
「そうなのね」
 二人はこのことには少し違和感を覚えて言った。
「そういえば妖怪さん達って気配消せるから」
「それでもいいのね」
「気配消せたらお店の中に普通に入れるけれど」
「これはどうかな」
「お店来る前にちゃんとお風呂入ってね」
「それならまだいいけれど」
 二人は妥協案を出した。とにかく清潔にしろというのだが二人の言い分である。
「毛も気になるけれど」
「蚤とかの心配があるから」
 特に蚤だった、二人の心配することは。 
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