『言霊使いと幻想郷』
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第十七話
「さて……どっから説明をしたらいいかなっと……」
雄飛はそう言って口にタバコを加えて火を付けた。
「士夏彦様、此処は当館は禁煙です」
紅魔館のメイド長である十六夜咲夜はそう言いながら時を止めて雄飛の前に灰皿を置いた。
「メイド、これは薬タバコだ」
雄飛はそう言って灰皿にトンとタバコを置いた。
「まぁあれだ。誠は半妖……此処の言い方だと半獣になるな、それになっているのはお前らも知っているな?」
雄飛の言葉に皆は頷いた。
「誠は偶然かつそうなる運命で堕とされた。それは誠本人も納得しているはずだ。少なくとも桜新町ではな。だが誠は巻き添えを食らう感じで堕とされた。主として堕とされたのは誠の幼馴染みだ。そいつを止めるべく戦闘をしていたが、残念ながら誠は破れた。その時にスキマが誠を助けた」
「そうよ。正確にはそこの執事君も助けたのよ。ただ、あの時はスキマの出す場所を適当にしていたから何処に落ちたか分からなかったけどね」
「貴女が助けてくれたのですか。それはありがとうございます」
紫の言葉に孝之が頭を下げた。
「いいのよ。たまたま私も桜新町に来ていた時だったからね」
「話を続けるぞ?」
雄飛はそう言った。
「まぁスキマが助けた事は良いんだが……誠は祓わず幻想郷(此処に)来てしまった。本来なら祓う必要がある」
「で、でも誠兄はあんたが言う暴れては……」
「そりゃあそうだ。幻想郷は忘れ去られた者が住む土地、妖怪もその一つだ。そのため、誠に堕ちた妖力は暴走する事はなかったはずだ。これはあくまでも推測に過ぎないがな」
雄飛は薬タバコを吸う。
「だが、そこの妹吸血鬼によって瀕死の状態に陥ったために妖力が暴走したんだろう」
「雄飛さん、誠が暴走するような事は……」
「それに関しては大丈夫だ孝之。俺が既に祓っといたからな。まぁ結局は妖力が残って誠は半妖になってしまってるがな」
そう言って雄飛は近くの窓を見た。
「そう言う事だ鴉天狗、不用意に記事なんぞ書くなよ?」
「……あややや、バレてましたか」
ひょっこりと文が顔を出した。
「馬鹿野郎、これでも俺は神なんだよ。妖怪に気づかないわけないだろ」
雄飛は文にそう言って立ち上がる。
「さて、俺はこれでおいとまする。そろそろメシの時間だからな」
「あら? 異変も解決した事ですし宴会には来ませんの?」
帰ろうとする雄飛に紫はそう言った。
「マリアベルが晩メシを作ってるからな。宴会はまた今度だ」
「分かりましたわ。ならスキマで送りますわ」
「お礼にパンツ見せてくれたらな」
「………」
紫は問答無用で雄飛をスキマに落とした。
「……容赦ないわね紫……」
「馬鹿な事を考えてたからね。それより霊夢、そろそろ誠君を見に行けば?」
「それもそうね」
「部屋に案内します」
霊夢は咲夜の後をついて行った。
「ところで……その吸血鬼はどうするのかしら?」
紫は縄で拘束されているフランを見た。縛られたフランの周りにはニンニクが置かれている。
「……謝罪するわ。私の勝手で今回のような事態になってしまった。私の首を取れば博麗の巫女も治まるでしょう」
レミリアはそう言った。要は自分のはねる代わりに妹を助けてほしいとの事だった。
「私に言う事じゃないわ。それを判断するのは誠君よ」
紫はそう言ってスキマに消え、残ったのはレミリアとパチュリーの二人だけであった。
「……知らない……天井だ……」
いきなりで済まないな。何せ電波を受信したもので。
「えっと……確かもう一人の吸血鬼にやられたはず……」
……そこからの記憶が無いな。何か俺の中で何かが起きたと思ったんだけど……。
「誠兄ッ!!」
そこへ霊夢とメイドさんが部屋に入ってきた。
「よう霊夢ってわッ!?」
れ、霊夢がいきなり抱きついてきた。デレ? デレなのか?
「グス……心配したんだから……」
「……ありがとうな霊夢。ところで俺が倒れてた後はどうなったんだ?」
「そ、それは……」
何で口ごもるんだ?
「それは俺が説明しよう」
そこへ孝之がひょっこりと顔を出した。
~~青年説明中~~
「成る程、俺も祓えずに幻想郷に来てたからな。それは不思議に思ってたな」
孝之の説明に俺はうんうんと頷く。
「まぁ雄飛さんが祓ったから暴走はしないそうだ」
「雄飛さんか……久しぶりに聞いたな。あの人はまだスカート捲りをしているんだろうか?」
よく雄飛さんを見たが大抵がマリアベルさんのスカートを捲ってたからなぁ。
「後で永遠亭の永琳さんに診てもらうか」
起き上がるとちと痛むからな。
「八雲誠」
「御嬢様」
そこへ今回の異変の首謀者であるレミリア・スカーレットが入ってきた。
「この度は申し訳なかったわ。謝罪代わりに私の首をあげるわ。その代わりフランには手を出さないでほしい」
「御嬢様ッ!!」
レミリアの言葉に孝之が驚く。それは俺もだ。
「控えなさい孝之。今回のは誰かが責任を取らなければならないのよ。それが私よ」
レミリアはそう言って俺に視線を向ける。
「私を八つ裂きにしても構わない。でもフランには手を出さないでほしい」
「……急すぎる展開だけどな……」
俺は冷や汗をかく。こういう場合はどうすんだろね。
……まぁいいか。
「それじゃあな……」
俺は皆に聞かれないようにそっとレミリアの耳に当ててそれを言った。
後書き
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