ヘタリア大帝国
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TURN66 過労その五
「そこを占領してね」
「そのうえで、ですか」
「そこでソビエトが降伏すればよし」
モスクワを攻略されてだというのだ。
「そうでなければさらにね」
「攻めるのですね」
「ウラルから東方に向かうよ」
まさにそこにだというのだ。
「そうなるよ」
「ですか。では」
「順調だよ。本当に」
ヒムラーも戦局には満足している。カテーリングラード攻略は確かに大きい。
そしてそれだけでなくだった。
「親衛隊の武勲も総統に認めてもらえるよ」
「あの方にですね」
「そうさ。そして」
ヒムラーは彼の考える未来も見た。だがそれは今は彼だけが見ているものでありこう言うだけであった。
「まあそれからだね」
「それからとは」
「ああ、何でもないさ」
隊員にも何も言わない、隠したままだった。
「それじゃあベートーベン提督の指示に従ってね」
「次はカフカスですね」
「うん、そこに行こう」
こうしてだった。南方では親衛隊が武勲を挙げカテーリングラードを攻略していた。そして中央でも同じだった。
ベラルーシは難しい顔でスモレンスクにまで撤退しながら呟いていた。
「ここで防げなかったことは」
「はい、残念ですね」
「全く以て」
ソビエト軍の将兵達も難しい顔で彼女に応える。
「スモレンスクまで撤退ですね」
「ここまでやられては仕方ないですね」
「ドイツ、覚えておくことね」
ベラルーシの顔が怖くなる。
「この恨み、忘れないから」
「ではその恨みをスモレンスクでこそ」
「晴らしましょう」
ベラルーシでも撤退することになってしまっていた、ソビエト軍はここでも無残なまでに破れてしまっていた。
マンシュタインはベラルーシを占領しそのうえで己の乗艦アドルフからこうモニターの向こうのドイツに言った。
「まずはです」
「いい流れだな」
「はい、順調です」
そうだというのだ。
「この流れは。ただ」
「ただしか」
「ソビエト軍の状況もわかっていましたが順調過ぎると怖いですな」
「確かに。あまりにも順調だとな」
「好事魔多しといいます」
マンシュタインはこの言葉も出した。
「ですから」
「そうだな、油断は出来ないな」
「はい、人は勝ち過ぎるとどうしても奢ってしまいます」
マンシュタインはこのことを恐れているのだ。
そしてドクツの過去のこともこでドイツに話した。
「ましてや我がドクツは二年前までは絶望のどん底にいました」
「あの時は国民全てが沈みきっていた」
無論ドイツ達国家もである。
「何も希望はなかった」
「ですが今は総統がおられます」
彼等に希望をもたらしたレーティア=アドルフがだ。
「あの方が世に出られたので」
「ドクツの今がある」
「あの方がここまで導いて下さいました」
マンシュタインのレーティアを語る言葉は熱い、伊達に自身の戦艦に彼女を描いているわけではないのだ。
だからこそその口調は、だった。
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